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NO.286 低血糖症 その10 「低血糖症に対する食事のとり方」

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低血糖の症状を改善するのに、食事は一番重要な治療になります。
低血糖症を治す薬は存在しません。
低血糖症にとっての薬は「食べ物」です。つまり「なにを食べるか」が、薬を飲むこと以上に大切だ、ということです。

低血糖症の改善を得るためには、適切な食べ物の摂取が重要なのですね。

さて、その食事指導ですが、先生によって違う場合があります。頻繁な食物摂取を勧める人もいれば、頻繁な食物摂取を回避することを勧める人もいます。また高タンパク質、低炭水化物摂取が勧められるケースと複合多糖類、低タンパク質摂取が勧められるケースもあります。一般に高タンパク質摂取は、新糖生による一定のグルコース供給源となり、合理的とみられていますが、人によってはタンパク質も摂りすぎるとインスリン放出を刺激する可能性があるため逆効果になることもあります。

また低血糖症の食事は、野菜が多くなり、カリウム摂取量が増加する場合があります。もし副腎機能低下症(次回のblogでお話します)の合併がある場合は、カリウムレベルが既に高い状態なので、カリウムがさらに増加することは、患者さんの過敏反応を促すことになってしまうので、量には注意しなければなりません。
ちょっと難しい話ですよね。



とりあえず、今日は一般的に勧められる「低血糖症の食事」についてお話しましょう!

低血糖症の治療においてまず一番大切なことは、言うまでもなく「血糖値を安定させる」ことです。
低血糖症の食事療法には大きくわけて2つのポイントがあります。


1.GIの低い食品を食べる
2.食事の回数を多くする


まずは、「GIの低い食品を食べる」ということについて・・・。

血糖値が急激に上がってしまうものを食べることが、低血糖を起こす原因ですから、血糖値を上げる食べ物は避け、血糖値を上げにくい食べ物を食べることが治療になります。
単純にいうと、血糖値を上げる食べ物は「糖分」だけです。
つまり、低血糖症の食事療法の基本原則は「糖分を控える」ということです。
このような食事療法では、砂糖摂取量の調整が最も効果的になります。

そこで食べ物を選ぶときの参考になるのが、GI(グリセミック・インデックス)です。
GIとは、「血糖値の上がりやすさ」を意味する数値です(以前のblog参照)。GIが高い食品は、血糖値を急激に上昇させるため、インスリンが多く分泌され、結果的に低血糖を起こします。
逆にGIの低い食品は、インスリンを出しにくいため、低血糖を起こしにくい食品です。


ということは砂糖やブドウ糖果糖液糖、また白米や白パンなどの精製された炭水化物は高GIであり、血糖値を急激に上げ結果的に血糖値を下げてしまう、低血糖症にはよくない食品ということになります。
またブドウ糖を使った加工食品が多く販売されていますが、単糖類のブドウ糖は二糖類の砂糖よりもさらに分子が小さいため、砂糖よりも急激に血糖値を上昇させてしまいます。
低血糖症の人にとっては、「砂糖よりも悪い」食品になりますね。


あまいお菓子や飲み物や、スナック菓子、砂糖やブドウ糖果糖液糖が入った食品や料理
白米や白パンなどの精製された穀物、などは低血糖症の人には完全アウトです。
低血糖症で勧められることがあるHarris Dietで禁止されている食べ物をあげておきましょう。


精製された炭水化物:
砂糖、キャンディー、コーラ、パイ、パスタ、カスタード、プリン、アイスクリームなど

高炭水化物食物:
ジャガイモ、米、スパゲティー、マカロニ、麺類、グレープ、レーズン、プラム、イチジク、ナツメヤシ、バナナ、ドライフルーツ

カフェイン:
コーヒー、醸造された紅茶、他のカフェインを含む飲み物

アルコール類:
ワイン、カクテル、ビール


また、特に落とし穴なのが、加工品や調味料だと思います。
加工食品や調味料の多くには、味をよくするために砂糖やブドウ糖果糖液糖が入っています。そして砂糖が添加されている食品の多くには、添加物もつかわれていることが多いものです。血糖値を維持するため、もちろん健康を維持するためには、これらの食品はなるべく避けてくださいね。
またお店で売られているお惣菜などにも、一見あまくないように見えても隠し味で砂糖がつかわれていることがあり、注意が必要です。

要はなるべく自然に近い新鮮な食材を、シンプルに調理して食べるということが良いのです。




さて逆に低GI食品には何があるでしょう?


魚介類

大豆製品
野菜
海藻
きのこ
くだもの
ナッツ
・ ・・こんなものがあります。


楽しんで食事をするためにも、季節の食材をつかって、素材そのもののおいしさを味わって食べるようにするとよいでしょう。体にいいものは本来おいしいものなので、炭水化物の少ない食事でも十分に楽しんで食べることができます。

また玄米や全粒粉のパンなどの全粒穀物は、未精製で食物繊維が多く含まれているため、GI値も低く、低血糖を起こしにくい炭水化物です。
しかし、これらの未精製の炭水化物も、糖分である以上、低血糖を起こす人は起こしてしまいます。
また少量なら低血糖にならないけれども、たくさん食べると低血糖になる、という人もいます。また体格や筋肉の量、運動をどのくらいするかによっても、必要な炭水化物の量や種類は変わってきます。
どんな炭水化物をどのくらい食べたら低血糖になるのかは、個人差がかなりあるということですね。




低血糖の食事は、簡単にいうと、「あまいものはやめ、主食を減らしておかずを中心とした食事にする」ということ!なのです。

また食べ方によっても血糖をあまりあげない食べ方もあります。
それは、まずおかずをしっかり食べた後に、玄米や全粒粉のパンといった低GIの炭水化物を少量食べるというものです。
先におかずを食べるのは、空きっ腹に炭水化物を食べると、血糖値が上がりやすくなってしまうからです。
先に野菜などをしっかり食べておくと食物繊維がプラスされるので、消化のスピードがゆっくりになり、血糖値が急激に上がるのが抑えられます。食物繊維は、血糖値が急激に上がるのを防ぐ防波堤のような働きをするのですね。
緑黄色野菜や根菜類などの野菜、海藻、きのこ、豆類など、食物繊維が豊富な食べ物を積極的に食べるようにしましょう。

また同じ量の炭水化物でも、ある程度脂肪分を含んだものや、繊維質のものと一緒に食べると、血糖値の上昇がゆっくりになります。

ちなみに気をつけなければいけないのは、「炭水化物オンリー」の食事。
これは一番やってはいけない食事になります。
炭水化物オンリーだと、血糖値が上がりやすく、低血糖を起こしやすくなってしまいます。

たとえばおにぎりだけとか、丼とうどんのセットとかは最悪ということですね〜。

食事の組み立て方として、炭水化物単品ではなく、まず必ず「メインディッシュ」としてたんぱく質(肉、魚、卵、大豆製品など)をしっかり食べ、あわせて食物繊維やファイトケミカルが豊富な野菜などのおかずをたっぷり食べるということを心掛けましょう。それらをしっかり食べたあとに、未精製の炭水化物を少量食べるというイメージです。


糖分にかなり敏感な人は、炭水化物を一切とらないという食事法が必要になる場合もあります。糖分がなくなってしまうと心配する人もいると思いますが、いわゆる炭水化物と呼ばれるもの以外の食品にも糖分はある程度含まれていますし、人間の体はアミノ酸や脂肪酸などをグルコースに変えることができます。また長期に糖質を制限すると、脳は脂肪が燃焼されたケトン体を利用して脳のエネルギーを補給するようになります。
ただ、これは極端な例で、長期的にはその人なりの、バランスを考えていって必要であれば炭水化物も摂っていくべきでしょう。

治療中は一切糖分をとらないほうが、調子が良い患者さんでも、一生食べてはいけないのかというとそうではなく、栄養療法や食事療法によって糖代謝が改善すると、食べても低血糖を起こしにくくなり、症状が出にくくなってきます。
運動を積極的におこなうことや、筋肉量を増やしていくことも、血糖値の安定につながるでしょう。
私がお勧めなのは、足腰を少し鍛えてあげるということ。
足腰は、普段の歩行や立っている状態でも常に使っているので、基礎代謝があがりやすい部分でもあります。基礎代謝があがれば、血糖もあがりずらくなりますし、身体も疲れにくくなります。

もちろん個人差もありますし、改善したとしてもあまいものや精製された炭水化物を大量に食べたりすると症状が出ることが多いので、なるべく控えた方がよいのは言うまでもありません。
もしある炭水化物を食べた後に眠くなったり、だるくなったり、またはふだん悩まされている症状が出るようだったら、量が多いか、もしくはその穀物が体に合わないということになります。




さて次に「食事の回数を多くする」ということについて・・・。

常識的にいうと食事の回数は1日3回ですが、低血糖症の場合、1日3回の食事では食事と食事の間隔が長いため、低血糖を起こしてしまいます。これを防ぐためには、食事と食事の間隔を短くすることが必要です。
たとえば、1回の食事の量を半分にして、1日6食にわけて食べる、としても良いですし、3食の食事をとって、合間に間食を入れていくという方法でも良いです。

とにかく重要なのは、お腹をすかせないということです。

多くの患者さんでもっとも血糖値が低くなる時間帯は、食事をしてからだいたい4時間後です。
アドレナリン・ノルアドレナリンは、血糖値が下がりきってから分泌されるのではなく、実際には下がりはじめたときから分泌がはじまります。
食事から4時間たって、「お腹すいた!」と思ったときにはすでに、これらのホルモンは分泌されてしまっているのです。



これらのホルモンによる症状を防ぐためには、血糖値が下がりきる前に、なにかを食べることが必要です。そうすることで、血糖値が下がりすぎることと、血糖値を上げるホルモンの異常な分泌を防ぐことができるのです。

とくに過食症の人は、低血糖の時間が長いほど、そのあとの過食を起こしやすくなります。また、低血糖の症状が出やすいのは午後、とくに夕方と言われています。
症状が出やすい人は、昼食から夕食の間に、2回くらい間食をとっても良いでしょう。



おすすめの間食は・・・

ナッツ類(くるみ、アーモンド、カシューナッツなど)
種類(ひまわりの種、かぼちゃの種)
ゆで卵
炒り大豆
テンペ
煮干し
ちりめんじゃこ
野菜スティック
枝豆


またたんぱく質は、食事からとれていそうでなかなか十分にはとれにくいため、おやつとしてとるのもいい方法です。
注意した方が良いのは、加工食品は原材料表示を見て、砂糖やブドウ糖果糖液糖が入っていないものを選ぶこと、またナッツ類は食べ過ぎに注意することなどです。

簡単に食べることができ、血糖値の安定につながる食品のバリエーションを多く持っているととても役にたちます。


また血糖は眠っている間に使われてしまうので、朝は血糖値がもっとも下がりやすい時間帯とも言えます。
朝の低血糖を補正するために、朝食は必ず食べるようにすることが大切です。
多くの低血糖症の患者さんは、朝食を食べずにいると、朝の低血糖の影響をそのまま引きずり、その日一日具合が悪い状態で過ごすことになります。
時間がなくても食欲がなくても、必ずなにかを食べるようにすることが重要です。

このときもたんぱく質と野菜を中心にすると良いでしょう。




低血糖症の人は、エネルギーをうまく作ることができないために、疲れやすく、テンションが低い人が多いです。このような人は、手っ取り早くテンションを上げるために、刺激があるものをほしがることが多いのです。たとえばカフェインやアルコール、タバコ、ひいては麻薬や覚せい剤などの薬物を欲する人さえいます。

これらの多くは、アドレナリンなどの興奮性の物質を分泌させたり、抑制系の神経を麻痺させます。
そのため確かに一時的にハイテンションになりますが、これはあくまでその場しのぎに過ぎません。すぐに効果がキレて、またテンションを上げるためにこれらのものがほしくなります。

低血糖の人は、これらのものの依存症になることが多いのです。しかし、これを続けると、解毒のために肝臓に負担がかかったり、副腎が十分にホルモンを分泌することができなくなる「副腎疲労」と呼ばれる状態におちいったりしてしまうのですね。

とくにカフェインは要注意ですよ。
カフェインの摂取は、チョコレート、ココア、コーヒー、コーラ、紅茶などですが、低血糖症の人はこういった刺激物を望むケースが多々あります。
またこれらをやめさせることが困難なことも多いのです。




最後に・・・
食事から、糖類やカフェイン、更に他の刺激物を排除することは、アルコール中毒者にアルコール摂取をやめさせるほど困難なことがあります。
これは、私も臨床で痛感していることです。
「アルコール中毒」と「砂糖中毒」には大きな共通点があり、カフェインも同じです。

ある実験を紹介しましょう。

ラットを使った実験ですが、ラットは学習反応によって糖類での趣向を発達させます。一度糖類や不適切な食べ物の摂取をさせると、死に至るまでそれらの摂取を続けます。Williamsは、不適切な食物を与えられたラットは、糖類を選択する割合が多く、逆に途中からでも適切な食べ物が与えられた場合は、糖類に対する学習反応は低下し、糖類摂取量も減ると報告しています。また更には、初めから適切な食べ物を与えた場合、糖類の高い食物への要求は低いといいます。その場合、ラットは正常な体重のまま生き延びます。

糖類を一度食べると麻薬のようにはまっていってしまう様が、実験でも良く分かりますね。

通常「砂糖中毒」になっている人に対して、食事制限をした際に、人によっては頭痛や震えが起こってくる場合があります。これはいわゆる禁断症状のようなものですが、ここでアルコールや糖類を摂ってしまうとまた繰り返しになってしまうので、注意しなければなりません。
人によっては、このような症状が出現すると食事制限が間違っているのでは?と感じたりすることもあると思いますが、糖類や炭水化物にかなり過敏になっている場合、それらを摂らないと一時的にこういった頭痛や震え、エネルギー不足の状態が起こります。
それが起こったらなるべく、間食でおすすめしたようなナッツやタンパク質類を摂るようにしてください。何日かすると症状が出なくなりますので。
ここで負けてはまた繰り返しになります。

アルコール中毒の人も、アルコール摂取制限をすると、頭痛や震えが起こります。これらの症状はアルコール類を摂取することで緩解しますが、これは最も避けなければならないことなのですね。糖類摂取制限についても同じことが言えるわけです。


次回で低血糖症のテーマ最後になります。
「低血糖症に関わる栄養素特集」で~^^。



小菅一憲

CHIROPRATICA|副腎疲労専門カイロプラクティック


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# by chiropratica | 2011-11-07 07:23 | 低血糖症

NO.285 低血糖症 その9 「アプライド・キネシオロジーによるテストと治療」

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私の行っているアプライド・キネシオロジーというテクニックの中では、患者さんの血糖調整能力のテストについて、砂糖で患者さんの味覚受容器を刺激することで評価することができると述べています。
いわゆるシュガーテストです。

私も、血糖調整障害が疑われる患者さんには、このシュガーテストを行います。これは、まず正常に筋力を発揮できる筋肉を探し、その後患者さんに砂糖を少し舌の上にのせてもらった(もしくは舐めた)状態で、再度筋力検査を行い、筋力が弱化するかどうかを調べるというものです。
筋力が弱化した場合、その患者さんは砂糖に対してうまく対処ができない、もしくはその患者さんのカラダが砂糖を望んでいないということになります。
もちろん熟練されたアプライドキネシオロジストによる筋力検査でないと、正確な結果は出ませんが、この結果及び血糖調整に関わる内臓器(腺)の状態をチェックし、血糖調整障害がないか判断していきます。


ちなみに血糖調節に主に関わる身体の腺は、膵臓、副腎、肝臓です。
一つずつ簡単に見ていきましょう。



<膵臓>
血糖調整には、正常な膵臓機能が必要です。グルコースが血中へ吸収されると、身体が血糖値を正常範囲内に維持するために、即座にグルコースの利用やグリコーゲンとして肝臓や筋肉への貯蔵を促すインスリンの放出量を増加させます。
このインスリンを放出するのが、膵臓でしたよね^^。
グルコースの利用によって血糖値が下がってくると、インスリン放出量が減少し、膵臓のランゲルハンス島α細胞からのグルカゴン放出量が増加してきます。グルカゴンとは、インスリンとは相対する作用を持っていて、血糖値減少により放出されてグリコーゲン分解を行うことで血糖値を増加させます。
そして、膵臓のランゲルハンス島からは、もうひとつ第3のホルモンが分泌されています。それはインスリンとグルカゴンの分泌抑制をしてくれるソマトスタチンです。


<肝臓>
肝臓は、血糖値調整に非常に重要なグリコーゲン貯蓄と放出の役割を果たしています。血糖値調整不全では、肝臓鬱滞を誘発する血中トリグリセリド値の上昇が頻繁に検出されます。眼球に黄疸、肝臓肥大、圧痛、下肢や胸部の静脈のうっ血、痔などが検出される場合、肝臓の栄養素補給や食事療法を適用すべきでしょう。


<副腎>
副腎の血糖値調整の役割は、以前のblogでもお話していますが、血糖調節に深くかかわり、血糖値が下がってしまったときには、アドレナリン・ノルアドレナリンなどの副腎髄質ホルモンやコルチゾール(副腎皮質ホルモン)分泌しています。


血糖値調整ストレスが存在する場合、これらの膵臓、肝臓、副腎をしっかり検査することが必要となります。
その上でシュガーテストも用いながら、患者さんの砂糖への過敏性をチェックしていくわけです。



アプライド・キネシオロジー(AK)のデビッド・S・ウォルサーのお話を少ししましょう。

彼は、臨床において低血糖症を考慮し始めたことが、多くの患者さんの生活に影響を与えることになったと述べています。
デビッドは、初めの5年間の臨床では、低血糖症を認識するために充分な知識なく、低血糖症の患者さんを検出することはありませんでした。しかし、1965年にAKの創始者Goodheartが相対的低血糖症についての記事を発表したことで、そのコンセプトがAKに適用されるようになりました。
その後デビッドは、通常のカイロプラクティック治療に反応しない15人の患者さんに相対的低血糖症の可能性があることを発見しました。またこれらの患者さんは1人をのぞいて6時間ブドウ糖負荷試験で陽性を示したのです。

その中の一人の患者さんのケースを・・・。
この方は貸付協会で働く38歳の女性で、彼女はここ数年間、彼の患者さんとしてカイロプラクティック治療である程度の改善を示していました。初診時では、彼女はほとんど一日中続く激しい頭痛、軽く身体を捻る動作で起こる仙腸関節(骨盤)の痛み、検査では異常を示さない全身に移動する痛みなどを持っていました。彼は、症状が移動するのは、精神的な要素が関与するのではないかと思っていたのです。

さて、日が変わり、彼が低血糖症に興味を持ち始めたときに、ちょうどこの女性が彼の治療院を訪れました。彼女はここ数か月間、震えがあり、午後3時頃には物事を考えることができなくなっていました。また来客と話すときに言葉をつなぎ合わせて意味が通じる文を作ることができなくなっており、その当時、彼女は身体の具合が悪くなると、特別な用事を言い訳に職場を離れ、ウォッカのダブルで作ったマティーニを飲むことで震えが止まることに気づきました。またアルコールを飲むことで、正常な思考パターンに戻ることがわかっていたので、それを繰り返していたのです。

そうこうしていくうちにマティーニを飲む回数が増えていき、彼女の問題は悪化していきました。アルコール中毒になり、コントロールが効かなくなることを考えるとパニック状態に陥るほどになってしまったのです。

そこでデビッドは、症状が現れたときはカクテルラウンジに行く代わりに、来院するように伝えました。そして症状が現れたときに血糖値試験を行うと重篤な低血糖症が明らかになったので、食事療法とアプライド・キネシオロジーによる治療をしていきました。彼女は即座に改善を示し、アルコールを必要とすることがなくなったといいます。
またこの時デビッドを驚かせたのは、仙腸関節のサブラクセーション(機能障害)の再発が止まったことでした。さらには彼女の頭痛も止まり、再発し続けて頚椎のサブラクセーションも見られることはなくなったのです。

すごいと思いませんか?

私も栄養に詳しくなり、低血糖症に関する知識が増え、臨床でもその判断ができるようになってからは、食事療法とAKによる治療を行うことでこのような体験を何度もしてきました。
要は、低血糖症により、栄養状態や身体の内分泌系のバランスが崩れて、それが仙腸関節(骨盤)はもとより、骨格全体に機能障害を起こすほど影響を及ぼしていたのです。
いくら骨格だけを治療していても再発するわけです。
またこれこそが、私が今現在、症状に対する一番の原因がなんなのかということを追及する姿勢につながっています。


デビットが診たもう一人の患者さんも紹介しましょう。
この方は18ヵ月前に交通事故にあった10歳の女の子でした。主訴は、毎朝激しい首の痛みと頭痛で起こされるというもの。彼女自身と家族は、この問題は交通事故が原因と思っていたのですが、実はまったく違った問題から起こっていたのです。
デビッドが調べてみると、彼女は朝食を摂らず、頻繁にお菓子を食べて空腹を満たしていたのです。そこで、血糖値検査を行ったところ、相対的低血糖症であることが確定しました。その後、食生活を大幅に変更すると、頚椎や顎関節を治療しても改善できなかった首の痛みや頭痛が改善され、再発することもなくなりました。



どうでしょう。
やはり原因を究明してそれに対する治療を行うことが一番の解決なのですね。


ちなみに低血糖症には、食事を変えることが大前提ですが、アプライド・キネシオロジーの治療法を適応するとさらに高いレベルの症状の改善が得られます。
食事療法だけではなく、サプリメントを摂取したり、アプライド・キネシオロジーの治療をすることで、大分早く改善ができるのです。私自身そのことは、臨床経験を通して確信しています。

AKの治療は基本的には、低血糖に関わる副腎や膵臓などの機能アップの治療や関わる骨格の治療、また内分泌系の問題のときに大きく問題があらわれる頭蓋の治療などです。
また経絡の問題についてもアプローチする場合があります。

通常、高インスリン血症による低血糖症によく検出されるような問題は、朝食の2時間後に起こる血糖値の低下です。
経絡システムのエネルギー循環においてこの時間帯は、脾経(膵臓)が最も高いエネルギーを持つ午前9時~11時に相当しています。脾経は5行では甘味に関与しているんですよね。
おもしろいですね^^。
また低血糖症は、副腎ストレス障害と合併していることも多いですが、副腎に関わる心包経のエネルギーが欠乏している場合は、心包経は子の関係である脾経にエネルギーを送ることが不可能になるわけです。
このことを考えた人がすごいですが、人間の身体はいろんなところでつながりがあることがわかります。

これらの経絡のバランスを取っていくことは、血糖値調整ストレスの治療に効果的だとAKでは言われています。

治療に興味ある方は下記のリンクからご連絡くださいね。


次回は低血糖症に対する食事の摂り方についてです^^。



小菅一憲

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# by chiropratica | 2011-11-05 19:18 | 低血糖症

NO.284 低血糖症 その8 「ブドウ糖負荷試験」

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私が、臨床で低血糖症を診断するときは、内分泌のバランスをチェックして、膵臓や副腎などの機能障害があるかどうかやシュガーテストなどを行い、問診や食事内容と合わせて判断しますが、医学的にはどのような検査があるのでしょう。

機能性低血糖症や血糖値調整に対する検査で一番価値のあるテストは5、6時間ブドウ糖負荷試験と言われています。



このテストは、空腹時にブドウ糖飲料を飲んでもらい、その後5時間飲まず食わずで7回~9回採血を行う方法です。これによって血糖値の変動を正確に測っていくわけです。低血糖症の場合、血糖値が上昇した後に、どのように低下していくかということをチェックするため、これだけ長時間行うことになるのです。

しかし、この検査は低血糖症の患者さんにとっては、かなり酷な検査ですよね。
なにせ検査中に低血糖の症状も強く出るわけですから。
そのため、医学的にはこの検査が低血糖症の確定診断には不可欠という認識ですが、賛否両論あります。



今日はこのブドウ糖5時間負荷検査について知識を深めておきましょう。


糖代謝を調べる血液検査項目はたくさんあります。

グルコース
ヘモグロビンA1C
グリコアルブミン
グリコヘモグロビン
フルクトサミン
遊離脂肪酸
中性脂肪
インスリン
アミラーゼ
コレステロール量
カリウム
尿糖
尿中ケトン体
などなど・・・。


たしかにこれらが異常な値を示していれば、様々な検査項目と合わせて低血糖症であるという可能性が出てきますが、低血糖症の確定にはやはり「5時間ブドウ糖負荷試験」を行う栄養療法のクリニックが多いようですね。


ブドウ糖負荷試験をやったときの患者さんの反応についてですが、低血糖症であった場合、多くの方がこのテストに大きな反応を示します。このテストの間、ある人は症状の悪化を起こしたり、またある人はテスト後の数日間悪化した症状の継続を示します。またこのテストを適用した臨床家の中には、テストの間、命の危険性を感じる患者さんがいたことを報告している人もいます。
また最初のブドウ糖を投与する前は、12時間ほど食物を摂取しない状態で臨むのですが、その状況で100gほどのブドウ糖を投与することは、身体にかなりのショックを与えることになります。また6時間の間に7~9回も採血を受けなければならない患者さんの精神状態はどうなのでしょう。
私は否定派ではないのですが、このような非日常的な状況で測ることにより、副腎の反応や内分泌系のバランスは崩れ、正確な血糖直線が出てくるのかなと少し思います。
ただ、今現在では、血糖値の変動をチェックしていく上でこれ以上のものはないので、検査を受ける人はさまざまな注意点を考慮しながら、検査を受けるべきでしょうね。

いつか患者さん自身が、日常生活の中で簡単に血糖値を測定できるような方法が出来て、起床、朝食摂取、通勤、同僚とのやり取り、昼食、帰宅、子供の世話などの中で常に血糖値が計測されるような方法が作られたら、良いですよね~。



さて、ブドウ糖負荷試験をする上での注意事項を勉強しましょう。

〇ブドウ糖負荷試験は、症状が変化したときに臨床医が診察できる環境で行う
〇血液はできれば採決されたときに随時分析する(後でまとめて外部機関ではなく)
〇血糖値が異常に低下した状態のために、フルーツ、ジュース、蜂蜜などを用意しておく
〇ブドウ糖負荷試験の後、家まで付き添う家族や友人が必要(テスト終了後も急性症状が出現する可能性があるため)
〇ブドウ糖負荷試験を受ける前に、低炭水化物食をしている患者さんの場合は、テストで投与される糖類が誘発する血糖値の変化に非常に敏感になります。その反応を避けるためにテスト3日前から高炭水化物摂取を行なう。

これらは、クリニックでももちろんやっていることだと思いますが、知っておいて損はないでしょう。またテストの結果は、臨床的な検査や生化学検査などの他の検査結果と共に分析されるべきです。



ここで、ブドウ糖負荷試験で観察される特徴的な4つの血糖曲線について紹介しましょう。
難しい話なので、興味のある人だけ読んでくださいね。

<糖尿病曲線>
血糖値は正常以上に上昇し、降下する様子が見られません。

<高インスリン血症>
血糖値は上昇し、1時間以内にピークに達した後、降下します。この血糖値は、テスト終了後まで続きますが、5時間以後上昇するケースもあります。テスト後半の血糖値の上昇は、通常副腎皮質から分泌される糖質コルチコイドの作用によって起こります。

<平坦な曲線>
血糖値は正常値に達することなく、テスト後半で低血糖症に至るレベルまで降下します。
平坦な曲線の原因は、早期に分泌されるインスリンの作用してしまう状態、無気力な生活による副腎の機能低下により、副腎活動とインスリンの相互作用が乱れ、インスリンが継続的に作用している状態、腸壁の絨毛がつまり、小腸の吸収面積が減少することで起こる吸収不良症候群(ガスによる膨満感、軽度の下痢、便の中の未消化物、食後の空腹感)などによるものと言われています。

<インスリン不全症>
これは、1日の中で高血糖症と低血糖症を示す時間帯を持っているという状態です。
この状態では、血糖値は初めの1時間でピークに達し、3時間以降に正常値にまで降下します。さらにその後、血糖値は正常値を下回り低血糖症レベルに至ります。



一般的に、血糖値は空腹時の80%以下に降下してはならないという基準があります。

Dr.ニューボールドの低血糖症診断基準では、

①テストで絶食時の血糖値より50%以上上昇しない
②テストで絶食時の血糖値より20%以上下降
③テストのどの時点でも1時間に50mg/dl以上下降
④テストで絶対値50mg/dl以下を記録
⑤血糖値のカーブに関わらず、テスト中にめまい、頭痛、混乱、発汗、憂鬱などの症状が出現

ということになっています。
このほか、曲線の微妙な変動や体温上下など、様々な読み取りによって低血糖症のタイプを診断していきます。




私のやっているアプライド・キネシオロジーの中では、デビット・S・ウォルサーが、反応性低血糖症の診断においてブドウ糖負荷試験はほとんど意味がないとしています。
これはどうしてでしょう?

Hoganという人は、経口ブドウ糖負荷試験と同量のグルコースを含む食物の摂取による反応の比較研究を行っています。33人の中で19人の患者さんは、ブドウ糖負荷試験中に症状を示し、このうち13人の最低血糖値は60mg/dlでした。ブドウ糖負荷試験中に症状を現すことのなかった患者さんの14人中11人の最低血糖値は60mg/dl以下でした。こう考えていくと、症状の出現と最低血糖値との関連性は低いですよね。

また同じ患者に、同量のグルコースを含む食べ物によるテストを行った場合は、血糖値が75mg/dl以下に下がる者はいなかったのです。症状を現した9人の症状出現時の血糖値は正常だったといいます。

アプライド・キネシオロジーで行われた研究では、自然食品は、ブドウ糖負荷試験に用いるグルコースとは異なる反応を起こすことを示しています。Achillyが17人の被検者に100gのグルコースを含む量のオレンジ、グレープ、バナナを摂取させたところ、すべての被検者に平坦な曲線が得られました。またMarkhamは、10人の正常な被検者がブドウ糖負荷試験で使用するグルコースを蜂蜜に置き換えることで、負荷に対する反応の改善を得たことを報告しています。


ブドウ糖負荷試験で使うグルコースを日常的に摂取することはあまりありません。実際の日常で摂取する食べ物で検査しなければ、本当のその人の正確な検査結果は得られないのかもしれません。
ましてやブドウ糖負荷試験では、患者さんが重度の頭痛や震え、振せん、うつ、泣き出す、感覚異常・思考などを引き起こすことがあります。


みなさんどう思いますか?


もし検査するのでもしっかりとしたクリニックで低血糖症について熟知している先生の下で行うことが良いでしょうね。


さて、次回はアプライド・キネシオロジーにおける低血糖症のテスト方法について、お話します。



小菅一憲

CHIROPRATICA|副腎疲労専門カイロプラクティック


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# by chiropratica | 2011-11-04 14:12 | 低血糖症

NO.283 低血糖症 その7 「キケンなループ」

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11月に入りましたね!
もうすぐするとクリスマスを迎えるという・・。
早いものです。
最近は、この長いblogを読んで食事を変えるキッカケを掴んでくれる方も出てきています。
また私も自分の患者さんに読んでもらうことで、より理解を深めてもらうことに役立っています。
なんだか・・・カイロプラクティックの筋肉骨格系の話をするより、栄養関連の話をすることが多くなってきました。笑。
それだけ、みなさんの関心も高くて、栄養でカラダが変わるということですね。
私たちの60兆個の細胞は、全て私たちが食べる食べ物から出来ているので、当然と言えば当然のことです。


さて、今日は低血糖症のキケンなループについて。

通常、血糖値が下がったからといってすぐに生命が危険な状態になるほど、人間の体はヤワではありません。血糖値が下がったら、人間にはそれに反応して血糖値を上げようとするしくみがあります。
私たち人類には数百万年もの長い間、飢えと戦ってきたという歴史があります。このため、血糖値を下げるしくみはインスリンしかないのに対し、血糖値を上げるしくみは私たちの体内にたくさん備わっているのです。


まず血糖値が下がると、下がった血糖値を上げるために「なにかを食べろ!」という命令が脳から発せられます。これが食欲であり、「お腹がすいた」という感覚なのです。
もちろん低血糖症でない健康な人でも、お腹はすきます。しかし、血糖値が限度を超えて下がってしまうと尋常ではないお腹のすき方になります。
つまり低血糖は「過剰な食欲」を引き起こし、「過食」を起こす原因になるのですね。
低血糖から脳を守るために「食べろ!」という命令がかなり強力に発せられることに加えて、さまざまなホルモンの影響が出て、食べる量や内容を自分でコントロールすることができなくなってしまうのです。
これが肥満になりやすくなる原因でもあります。


さてここで問題になるのが、「なにを食べたくなるか」ということです。
血糖値が下がり過ぎてしまったときに、どうしても野菜や魚やお肉が食べたい!と思うことはあまりありません。
そういうときは「むしょうに甘いものが食べたくなってしまう」のです。


みなさんもそんな経験ある方いるのではないでしょうか?


血糖値を手っとり早く上げるために、一番適した食べ物というと・・・
そう、精製された糖分なのです。
糖のかたちが単純であればあるほど、吸収が速く血糖値がすぐ上昇するので、低血糖状態から抜け出すには好都合なのですね。

つまり、甘いものなどの精製された糖分を食べることによって、血糖値が下がってしまい、今度はその下がった血糖値を上げるために、また糖分が欲しくなるのです。
低血糖状態におちいり、脳のエネルギーが低下して頭がまわらなくなっていたり、カテコールアミンの分泌によりイライラして暴力的になっていたり、または落ち込んで憂鬱な気分になっているところに、あまいものを飲んだり食べたりすると、下がった血糖値が上昇するので、体は一瞬ホッとします。
血糖値がある一定のレベルに戻ってくると、脳が血糖というエネルギーを安定して得られるようになり、攻撃ホルモンの分泌もおさまるので、肉体的にも精神的にも安定するのです。また糖分をとることで、「脳内麻薬」といわれるエンドルフィンが分泌されるのでなおさらですね。
アメリカには「シュガー・ハイ」という言葉がありますが、この言葉のとおり、そのギャップが極端に大きい場合、テンションが上がって「ナチュラル・ハイ」状態に感じるくらいです。


しかし、もうおわかりですよね。
甘いものを食べて血糖値が上がって、落ち着くかと言えば、そうではないのです。
下がった血糖値を上げようとして甘いものを食べると、それがまた新たなインスリンの分泌を引き起こします。そしてせっかく上がった血糖値がまた下がって、再び低血糖状態に陥る。そうすると、またあまいものが食べたくなったり、カテコールアミンが分泌されるというような悪循環が繰り返されるというわけ。

甘い物を食べる
  ↓
血糖値が急上昇
  ↓
インスリン大量分泌
  ↓
血糖値が急降下
  ↓
甘い物が欲しくなる
  ↓
甘い物を食べる


このループにはまっている人は、現代人の中でも本当に多いと言えます。


このような血糖値の乱高下をくりかえしていると、次第に自律神経やホルモンバランスなどの大切な体内の調節機構(ホメオスターシス)が乱れ、自律神経失調症状やホルモン失調なども加わり、いろいろな症状を起こすことに・・・そうやって精神的・身体的に悩まされるようになるのです。


体は、低血糖状態から回復したときの「快感」を覚えています。このギャップはいうなれば、麻薬のようなものです。
血糖値が下がったら糖分をとればよくなる、と体が覚えたら、体は糖分を求めるようになります。


低血糖症の人は、治療をしていく段階で、自分が甘いものを欲しくなったら、まず自分の栄養状態が良くないのかな?低血糖になっているのかな?と考え、タンパク質系の間食をしてあげることです。
ここで甘いものを食べると「キケンなループ」からいつまでたっても抜け出せないことになってしまいます。
それだけ砂糖という麻薬は怖いのです。

私がカイロプラクティックの中で、栄養指導をしていて一番難しいと感じるのがやはり糖分を控えるという指導です。身体の状態をチェックして、甘いものや炭水化物の摂取量が症状の原因になっている場合は、やはり甘いものを控えてくださいとお話します。しかし、大抵の方がそれに納得して最初は控えているにもかかわらず、途中で気が緩んで、少しはいいかなと思って食べた甘いものからまた悪いループにはまってしまうという経験をしています。そしてまた身体を壊してから甘い物の罠に気付くわけです。
それほど、極端な方は中毒のような状態になってしまっています。


そもそも甘いものは、人間の体にとって食べる必要がないものです。
なぜなら甘いお菓子や飲み物は、カロリーだけはありますが、たんぱく質やビタミン・ミネラルなどの栄養素はまったくといっていいほど入っていません。
それだけでなく、大切な血糖値を不安定にさせ、体内環境の乱れを引き起こす食べ物で、体にあまりいい影響を与えることはないと言っても過言ではありません。
今は「甘いもの中毒」になっていて、どうしても食べたいかもしれませんが、血糖値のアップダウンがなくなるまで我慢すると、甘いものは自然と欲しくなくなります。



甘いものが好きで、いつもデザートを必ず食べる方。毎日寝る前のチョコレートを楽しみにしている方。間食にお菓子を欠かせない方。
こんな方は、要注意!ですよ。
「シュガー中毒」になっている可能性あり!です。



小菅一憲

CHIROPRATICA|副腎疲労専門カイロプラクティック


C-Magazine|カイロプラクター小菅一憲の治療実績




Face book page|カイロプラティカ

# by chiropratica | 2011-11-03 23:30 | 低血糖症

NO.282 低血糖症 その6 「低血糖症になりやすい人」

NO.282 低血糖症 その6 「低血糖症になりやすい人」_b0195635_23121237.jpg


前回のblogで、低血糖症でおこる様々な症状について話してきましたが、同じような食生活をしていても低血糖症になる人とならない人がいます。
つまり、低血糖症になりやすい人と、なりにくい人がいるということなのです。

脂質代謝研究で有名な、アメリカのバリー・シアーズ博士によると、全人口の25%の人は炭水化物に「非常に敏感」で、いつでも炭水化物に過剰なインスリン反応を起こすといいます。そして別の25%の人は、その逆で、精製された炭水化物を食べてもインスリンが過剰に分泌されることはなく、それによって低血糖症になることも、肥満になることもないそうです。
残りの50%は両者の中間であり、一部の人は炭水化物に対して正常な反応を示すけれども、人によっては(または炭水化物の質によっては)インスリンのレベルを上昇させることがあるということです。

さて、このことからわかるのは、人口の半分以上の人たちは糖分のとり方に気をつける必要がある、ということです。そう考えると、現代人にいままで述べてきたような症状に悩まされ具合が悪くなっている人が多いということも納得できると思います。

またエネルギーの代謝タイプによっても低血糖になりやすい、なりにくい人がいます。
一般的にたんぱく質を燃やしてエネルギーを作ることが得意な人は、糖の燃焼速度の速いタイプ(Fast Oxidizer)なので、低血糖になりやすく、日本人に多い(70%くらい)タンパク質と炭水化物代謝の中間、ミックスタイプの人でも炭水化物傾向になりやすい人ほど、血糖のコントロールが難しく低血糖になりやすいと言われています。

このように考えていくと、低血糖症はあまり知られていない病気ですが、潜在患者数は相当数に上ると思います。それもそう、アメリカでは2000万人~4000万人の患者さんがいると言われるくらいなのです。
また2006年の心身医学会の発表では、治療開始後2年以上経過しても月1回以上のパニック発作が出現するパニック障害患者のうち、問診で低血糖症が疑われた20名(女性15名、男性5名)のうち19名が、5時間の糖負荷試験で低血糖症であると診断されたそう。
たしかに、私がカイロプラクティックで診察していても、自分で低血糖症だと気づいていない方がほとんどですし、医療機関で自律神経失調症や精神障害などと誤診されているケースも多いので、隠れ低血糖症はすごい数になるでしょうね。





さて、ではどのような人が低血糖症になりやすいのでしょうか?

やはり、一番の原因は「長期にわたる精製された糖質の過剰摂取」をしているということ。
精製された糖質とは、砂糖やブドウ糖果糖液糖、それらが入ったお菓子やスナック、清涼飲料水、精製された穀物(白米、パン)などです。
ただ、この砂糖やブドウ糖果糖液糖がくせ者で、様々な加工品、そして調味料に入っているのです。みなさんも注意して原材料を見てみて下さい。これ美味しいよね!と思うものには必ず入っていますから。笑。
こうなると、意識して心掛けないと私たちの口の中には、どんどん精製された糖質が入ってきていると思いませんか。
知らぬ間に、なんとなく毎日身体がだるい、疲れやすくなったと感じる、身体のどこかが調子悪いといった症状があらわれ、そしてある日急にドーンと体調が悪くなり、病院に行くと検査では何も出ず、自律神経失調症だと言われる・・・・。そんな風に低血糖症になってしまっている方も多いのです。

怖いものです。

もちろんこういうものを食べ続ければ、誰でも低血糖症になるのかと言うとそうではありません。もちろん確実に体調は良くないと思いますが・・・。
低血糖症は、後天的な要因(糖質の多い食生活、不規則な生活、ストレスなど)のほかに先天的な要因がある人の方が発症しやすいといえます。たとえば、同じ食生活をしている人を比べてみた場合、ご家族や血縁の方に糖尿病がある人の方がよりインスリン過剰になりやすく低血糖症が起こる可能性が高いのです。低血糖症になりやすいかどうかは、遺伝的な体質も強く関係しているのですね。
また同じように低血糖になっても、体内環境が違えば必ずしも症状を起こすとは限らないのですね。血糖が急激に下がっても、十分に栄養が足りていて、それに対応できるような副腎機能や自律神経の働きがあれば、症状は起きないのです。




さて、先天的に低血糖症になりやすい体質には・・・


消化機能が弱い
貧血
膵臓機能障害
アレルギー体質
自律神経失調症
甲状腺機能障害
ビタミン依存体質


このような体質がある上に、精製された糖質を多く食べるような食生活が続くと、低血糖症になりやすいと言えます。
簡単に一つずつ見ていきましょうか。


<消化機能が弱い>
消化吸収能力が弱いと、タンパク質やビタミン・ミネラルなどの栄養素の吸収は落ちますが、糖分だけは吸収されるため、低血糖を起こしやすくなります。またタンパク質やビタミン・ミネラルなどの栄養素が不足すると、ホルモン分泌や自律神経のバランスを崩しやすくなります。また脳内でカテコールアミン(アドレナリンやノルアドレナリン)を抑えるようなセロトニンを産生できれば、それらのホルモンによる症状は抑えられますが、栄養欠乏ではセロトニンを作るための材料であるトリプトファン、ビタミンB6、亜鉛、マグネシウムなどが不足しており、カテコールアミンによる症状が引き起こされることになります。それ以外に、胃下垂の人は胃壁の弾力が弱いため、摂取した食物を消化しにくく、栄養不良や貧血、強いては低血糖症になりやすいかもしれません。


<貧血>
貧血状態では、腸粘膜細胞が酸素不足となるため、粘膜の再生が遅れ、エネルギー産生もよくありません。結果、消化吸収の流れがうまくいかなくなり、低血糖症になりやすいと言えます。また鉄は多くの酵素の材料でもあるため、タンパク質とともに欠乏すると酵素活性が低くなり、代謝の低下、エネルギー産生の低下による疲労や精神症状、頭痛、自律神経症状が出やすくなるでしょう。


<膵臓機能障害>
家族的に血糖調節がうまくいかないような方、体質的な膵臓機能障害を持っている方は低血糖症を起こしやすくなります。
インスリンレセプターの異常やインスリン抗体の存在、GTFの低下などにより、インスリンが効かなくなりそのため膵臓がインスリンを過剰に分泌し、疲れやすくなります。この体質の方が糖質過剰な食生活をすると、耐糖能異常をきたしやすく、低血糖症や糖尿病の発症につながるのですね。
知らない言葉が出てきたと思います。GTF。少し説明しましょう。
GTFとはグルコース・トレランス・ファクターです。日本語では、「ブドウ糖耐性因子」と言います。このGTFは、各細胞の中に存在している物で、簡単に言うと、インスリンと細胞を結合させるようにしています。インスリンは各細胞と結合して初めて、役割を果たします。ちょうどインスリンが鍵で、細胞の表面にある、インスリン受容体(レセプター)と呼ばれる部分が鍵穴と考えてみて下さい。インスリンという鍵が、細胞の鍵穴に差し込まれると、細胞のドアが開き、そのドアからブドウ糖が細胞内に入っていけるようになるわけです。こうやって細胞が栄養をもらうことができると同時に、血糖値が下がります。このように、インスリンと各細胞の表面にある、インスリン受容体が結合して初めて、正常に我々の体が機能するのですね。この糖が代謝される過程でGTFという物は、そのインスリンとインスリン受容体を結合させ、扉を開くようにさせている糖代謝の要とも言える成分なのです。
特に糖尿病の方は、このGTFが不足しています。



<アレルギー体質>
副腎は、喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、慢性関節リウマチなどアレルギーや炎症を抑えるために、抗炎症ホルモンであるコルチゾールを分泌しながら炎症を抑える働きをします。
副腎は血糖を上昇するときもコルチゾールを分泌するため、アレルギーがあると、全体のコルチゾールが足りなくなり、血糖調節機能を十分に発揮出来なくなります。
そのため、アレルギーのある方は副腎が疲れやすく、その逆に低血糖症の重症になるとアレルギーも発生しやすくなります。
また、インスリンは成分として亜鉛を含むため、インスリンが過剰に分泌されると、亜鉛不足になりやすく、鼻炎や皮膚炎などが起こりやすいといえます。


<自律神経失調症>
自律神経は、胃液の分泌、胃腸の蠕動運動、インスリンや副腎髄質ホルモンなどのホルモン分泌など様々な身体の働きに関与しています。
低血糖という緊急時には、視床下部(脳の中枢)は積極的に活動します。視床下部より刺激を受けた交感神経が副腎髄質を刺激して、副腎髄質ホルモン(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン)などが分泌されます。しかし、自律神経失調症では、アドレナリンやノルアドレナリンの分泌がスムーズにいかなくなることがあります。
またインスリンは副交感神経によって分泌が促されるので、副交感神経が強い状態だとインスリン過剰分泌が起こる可能性があります。


<甲状腺機能障害>
甲状腺ホルモン、特にサイロキシンは小腸からブドウ糖の吸収を促進します。なので、甲状腺機能障害では低血糖が起きやすくなります。
ちなみ甲状腺機能亢進症では、食後の高血糖および反応性低血糖症が、甲状腺機能低下症では、食後、ブドウ糖値が上がらない無反応性低血糖症が起こりやすいようです。


<ビタミン依存体質>
低血糖症はビタミン依存の体質とも呼ばれています。TCAサイクル(以前のblog参照)をはじめ代謝を行うためには酵素が必要となりますが、酵素は、補酵素(ビタミンBやビタミンCなど)、や活性化剤(鉄、亜鉛、マンガン、銅、コバルト)の助けなくして働くことができません。糖質の代謝には、その中でもとくにビタミンB群が重要になってきますが、低血糖症になりやすい人は、酵素の働きのために、補酵素として普通の人の10倍から数十倍のビタミンを必要とする体質の人が多いと言われています。
普通の食生活をしているのに、朝起きられない、疲労が蓄積しやすいなどエネルギー不足を訴える人はビタミンB依存体質を疑うことになります。




いかがでしたか?
これらが先天的な体質で「低血糖症」になりやすい人の例です。


なんども言うように、低血糖症を引き起こす最も大きな原因は、「長期にわたる精製された糖質の過剰摂取」です。
人間には、血糖値を適当な値に保つメカニズムがあります。もし血糖値が高くなり過ぎたら、膵臓のランゲルハンス島というところからインスリンというホルモンを分泌します。インスリンはブドウ糖を細胞内に送り込んで、血糖値を調節します。
逆に血糖値が低くなりすぎると、脳は視床下部–下垂体を通じて、副腎や甲状腺に指令を送り、ホルモンを分泌させて血糖値調節を行います。  
これらの内分泌腺が正しく機能している時は、血糖値は正常に保たれます。またある程度の無理をしても身体は処理する能力を持っているのです。
ですが、現代の食生活はまさに糖を過剰摂取するような構造が出来上がっており、膵臓に負担をかけざるを得ない食事と言えるのではないでしょうか?
低血糖症は、最低半年以上、膵臓に負担をかける食生活をすると起こりやすくなるので、日本人の誰でも注意が必要ということですね。



さて、最後に糖質の過剰摂取以外にも注意すべき点を話しておきましょう。



○アルコール、タバコ、カフェインなどの過剰摂取

アルコールは分解されてブドウ糖となり、膵臓に負担をかけます。また腸からのビタミンB6の吸収を減らしてしまいます。
タバコ、カフェインなども要注意。カフェイン類は副腎を刺激して、血糖値を上昇させてしまいます。

○過食

過食は血糖値の上昇を起こしやすいので注意しましょう。とくに精製された炭水化物は膵臓に負担をかけます。

○ストレス

ストレスは血糖調節に関わる副腎を疲労させ、血糖コントロールがうまくできなくなります。風邪やアレルギー、睡眠不足、外傷、炎症性疾患なども同じように副腎を疲労させます。副腎は、グリコーゲン分解や新糖生を促進するため、ストレスによる副腎負担がある場合、機能が低下し、2次的に低血糖症を誘発することがあります。

○ビタミン、ミネラルの摂取不足

低血糖症の方は、必ずと言っていい程、栄養欠乏の方がほとんどです。代謝に必要なビタミン・ミネラル、またホルモンの材料であるタンパク質などが低下している場合、低血糖症を起こしやすくなります。
特に糖質の過剰摂取はビタミンB群を消費するので、エネルギー産生がうまくいかない、脳内ホルモンのバランスを崩しやすいなどの状況を作ると言えるでしょう。



みなさん低血糖症になりやすい人、なりやすい体内環境など、理解して頂けたでしょうか。
低血糖になるような食事をしていても、それを調節するのに十分な体力があれば、症状が出てこないということからもわかるように、低血糖症の症状が出ているような方は、大抵いくつかの原因が重なっている場合が多いです。
アレルギー体質の人で、炭水化物よりの食事をしていて、さらに仕事で長期にストレスがかかった時に症状が出始めた等・・・。

また小さい頃から、低血糖症の人の場合はその状態に慣れていて、それが普通の状態だと認識していることもあります。
治ってから初めて体質も性格すらも変わり、自分自身に驚くことすらあるのです。

現代人には是非、低血糖症についての知識を持っていてもらいたいものです。



小菅一憲

CHIROPRATICA|副腎疲労専門カイロプラクティック


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# by chiropratica | 2011-10-31 00:10 | 低血糖症


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