NO.580 骨粗鬆症NEW その13 「カルシウムだけではない!?」

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今日は、いままでの常識を捨てて「骨に必要なのはカルシウムだけではない」ということをみなさんにも理解していただきたいと思います。
この話は大分前にも、このblogでお話しましたがとても重要な話なので、もう一度掲載しますね^^。




2001年NIHコンセンサス会議において、「骨粗鬆症は骨強度の低下によって、骨折リスクが高くなる骨の障害と定義される。骨強度は骨密度と骨の質の両方を反映する」とされ、はじめて「骨質」という概念が提唱されました。
骨強度の70%は骨密度に、残り30%は骨質に依存しています。

骨基質 + ハイドロオキシアパタイト(リン酸カルシウム)= 骨
骨基質 + 骨密度(骨に含まれるミネラル量)= 骨の強度


そう。骨はカルシウムだけで、できているわけではないのです。そして骨の強度に関わるのも「カルシウム」だけではないということなんですね。
このことは、日本人よりアメリカ人の方がカルシウム摂取量は多いのに、アメリカ人の方が、骨折が多いということからも明らかです。




さて少し世界の研究や発表を見てみましょう。

まずはこんな研究から・・・

カルシウムの摂取量がアメリカで推奨されている量とほぼ同じ人々と、アメリカ人の半分以下しか摂取していない人々(主にアフリカの原住民)を比較したところ、カルシウム摂取量が少ない人々に骨がもろいという現象はみられなかったようです。
しかも、アフリカ諸国とアメリカの黒人は、ほとんどの白人に比べてカルシウム摂取量がはるかに少ないのですが、骨粗鬆症の発症率は低く、かえって骨密度は高いくらいだったといいます。

これには驚きますね^^。


アメリカ人は一日平均807mgのカルシウムを牛乳から摂取しています。
他の国民がどれくらいの量のカルシウムを牛乳から一日に平均して摂取しているかを調べたところ、スペイン人は308mg、ブラジル人は205mg、台湾人は13mg、ガーナ人は8mgとなっています。
しかし、これらの人々は歯がないわけでも、骨折をくり返して寝たきりになっているわけでもありません。
なんと、カルシウム摂取量の多い国ほど骨粗鬆症の発生頻度(骨折)が高いという報告すらあるのです。


1987年のメイヨ・クリニックの研究によると、カルシウム摂取量と骨量の減少速度には関係がないと述べ、カルシウム摂取量が少ないと骨量が速く減少するという仮説は支持出来ないと結論づけています。



そして大きなところでは・・・

イギリス政府が、「世界のいくつかの国では、カルシウム摂取量がイギリスの現行の勧告摂取量より少ないにもかかわらず、骨粗鬆症の発生が少ない」と述べて、「カルシウム・パラドックス」の存在を認めていることや、世界保健機構(WHO)の専門家グループが、「一日のカルシウム摂取量が300mg未満でも健康に害を及ぼすという確たる証拠はない」と結論づけていることなどがあげられます。
またWHOは、カルシウムの摂取量が少ない国々で、骨粗鬆症の発生率が高くないことを確認しています。骨粗鬆症の予防のために勧告されている食事性カルシウムが、数々の健康障害を起こす可能性があることすら指摘しているのです。



ここまで見てくると、カルシウムを多く摂ることが果たして「骨粗鬆症」に良いのかわからなくなってきますね。
実はこれは、人が食物から摂取するカルシウムの量に順応できることが明らかだからです。カルシウム摂取量が減れば、必要に応じてカルシウム吸収量は増えるようになっていること、そしていくらカルシウム摂取量が多くても、人体のカルシウム吸収率はある程度の限度があるということでもあります。




さて少し話しは戻って・・・

骨は、材質学的には鉄筋コンクリートに表すことができます。コンクリート部分に相当するのがミネラル成分(カルシウム)であり、鉄筋に相当するのがコラーゲンです。骨におけるコラーゲン含有量は重量あたりで換算すると20%程度ですが、体積あたりに換算すると50%になることから、実はコラーゲンの骨強度に及ぼす影響は大きいのです。
またコラーゲンの繊維の強度を決めているのが、隣り合う分子同士をつなぎ止める構造体「コラーゲン架橋」です。コラーゲン架橋は、鉄筋同士をつなぎ止める「梁」相当します。そして「コラーゲン架橋」には骨強度を高める善玉架橋と、骨を脆弱にする悪玉架橋に分類され、この悪玉の正体は、老化物質として知られる advanced glycation end products(AGEs)です。
ちょっと難しい言葉が出てきましたが、要は活性酸素による酸化 oxidationや糖尿病などによる糖化 glycationにより骨の骨組みであるコラーゲン繊維の強度が低下し、骨が脆くなってしまうということなのです。
この悪玉架橋は鉄筋に蓄積する「さび」と言っても良いでしょう。



骨強度を強めるには、カルシウムだけ摂ればいいということではないのです。酸化や糖化による悪玉架橋を防ぎ、コラーゲンの元になるタンパク質やその他ミネラルなどを摂ることが重要であるということを新しい常識として頭に入れておきましょう。
必要なその他のミネラルは、マグネシウム、ストロンチウム、マンガン、銅、セレン、ヨウ素、ケイ素、リンなどです。

アメリカの例ですが、骨粗鬆症の患者さんに対して、カルシウム投与を半分に減らして、これらのミネラルを追加投与したところ、骨密度がぐんと上昇したといいます。

またアンソニー・アルバネーゼ博士らは、2つの女性グループの骨密度の変化を比較する研究を行いました。一方のグループには一日700mg〜800mgのカルシウムのサプリメントが与えられ、もう一方のグループには、同量のカルシウム・サプリメントに加えて6種類のミネラルと12種類のビタミンが最低でもRDA(栄養摂取勧告量)を満たす量与えられました。実験を開始する前と、サプリメントを12ヶ月とった後の骨密度を測定した結果、カルシウムしかとっていないグループに比較して、カルシウムとマルチビタミン・ミネラルをとったグループの骨密度は2、3倍も増加率が高かったといいます。

カルシウムに加えて複数のミネラルをサプリメントで与えるアプローチは、骨粗鬆症以外の治療分野でも注目が高まっています。心疾患関連の一連の研究は、マグネシウム、マンガン、カリウムなどのミネラルを十分補給することなしにカルシウムだけを過剰に与えると、むしろ心臓に有害に働く可能性があると指摘しています。




もちろん、骨粗鬆症に対してカルシウムを使うべきではないと主張する専門家は一人もいません。カルシウムが必要だということについては、見解が一致しています。
しかし、私たちの身体の中にある栄養素はどれをとっても、他の栄養素と協力しあうことで、なんらかの生理作用を発揮できるものばかりです。カルシウムだけをサプリメントで与えればいいという発想は、骨の代謝にカルシウム以外の複数の栄養素がかかわっているという可能性を無視しているのではないでしょうか。



骨作りにはカルシウムだけではないのです。
それ以上に、たんぱく質やビタミン・ミネラルも重要なのです。

みなさんの常識、変わりましたか?



小菅一憲

CHIROPRATICA|健康の素晴らしさを伝える治療院


C-Magazine|カイロプラクター小菅一憲が提供する健康情報発信基地

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by chiropratica | 2015-02-03 13:44 | 骨粗鬆症


カイロプラクティック理学士/サプリメント指導士のカラダと食を考える日記


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