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NO.510 生理前症候群PMS その16 「月経困難 生理痛」

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 「働く女性の約3分の1が月経痛(生理痛)に悩んでいる」
 厚生労働省の調査では、このような結果が出ています。50年前の27歳は結婚をして、子供が2人はいるのが平均でしたが、現代の同じ年齢の多くは独身でキャリアの真っ最中。ここ数十年で、10歳代で初潮を迎えてから出産までの時間が長くなったり、出産回数が減るなど月経の停止する期間が少なく、生涯の月経回数が増加している女性が増えています。こうした女性のライフサイクルの変化も、月経困難症を増やしている背景といえそうです。


月経困難の原因としては・・・

【月経困難の原因】
1.女性ホルモンのアンバランス
2.血糖値調整ストレスによる下垂体への影響と肝臓うっ滞
3.甲状腺機能低下症
4.背骨や骨盤の機能障害と殿筋群の不均衡 (月経時の腰痛に関連)
5.子宮下垂 (痙攣性の生理痛、大量の出血に関連)
6.マグネシウム不足 (月経困難における痙攣に関連)
7.回盲弁症候群 (放散痛を伴う腹痛、重篤な症状が多い)
8.プロスタグランジン (生理痛、子宮の収縮時の痛みに関連)
9.低体温



少し詳しく説明していきましょう^^。

【女性ホルモンのアンバランスと血糖調整ストレス】

まず、月経困難のある方を考える時には、やはり常にホルモンの機能的アンバランスを考慮しなければなりません。
一般的にとても多いアンバランスの原因は、血糖値調整ストレスです。
高インスリン血症、不適切な食品摂取(甘いものや精製された炭水化物の摂取)などによる血糖値急上昇とその後の血糖値低下と共に、糖質コルチコイド(副腎からのホルモン)の産生や糖新生(身体で糖を作る働き)を促進するために脳のホルモン中枢である下垂体への刺激が起こります。
下垂体からACTH(副腎皮質刺激ホルモン)放出されると、実は生殖腺のゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)放出を誘発します。こうしてもしも、プロゲステロンとエストロゲンとの比率が乱れる場合に、月経困難が起こりやすくなるというわけです。

また、血糖値調整ストレスに見られるような肝臓うっ滞も関与しています。
この場合、肝臓によるエストロゲン分解低下によるエストロゲン-プロゲステロン比の不均衡が起こるのです。ちなみにこの2つのホルモンのアンバランスは、第二次性微に影響を及ぼし、女性の男性化や男性の女性化を起こしたりもしますね。


【甲状腺機能低下症】

甲状腺機能低下症もまた下垂体を刺激をします。
下垂体亢進症は、下垂体が甲状腺刺激ホルモン(TSH)により甲状腺機能を亢進させるために起こります。このような場合、月経困難に対する治療は、甲状腺に対する薬剤、または可能であるならば自然な物質の投与による正常な甲状腺機能の回復に左右されます。
一次性の障害を排除することで、下垂体機能亢進症の回復が得られる場合、月経周期が変化する可能性があります。長期間の下垂体プッシュによりゴナドトロピンが過剰に存在するため、生殖システムは高値のエストロゲン-プロゲステロンに対して順応している状態にあります。このため、下垂体が正常なバランスを回復した後、生殖システムが正常なホルモンレベルに適合するための時間が必要になります。
患者さんに不安を与えないためや、特に月経周期により避妊を行っている方には、このような変化の可能性は伝えるようにしていますね。


【背骨や骨盤の機能障害と殿筋群の不均衡】

カイロプラクティックの視点から見てみると・・・椎骨(背骨の骨)のサブラクセーションやフィクセーション(関節機能障害)が存在する場合に生理痛が起こることがあります。
月経困難に関係している背骨の問題は、よく生理時の腰痛として認識されます。また骨盤の捻れが検出されるケースが多く、月経困難では仙骨(骨盤中央の骨)の治療が最も重要になります。
生理痛では、こういった構造的な問題が一次的な原因となるケースもあり、また梨状筋、中臀筋、大臀筋、内転筋群などの骨盤や生殖器に関わる筋肉のアンバランスにより二次的に誘発されるケースもあります。


【子宮下垂】

その他、直腸子宮ひだに緊張を与える子宮下垂が存在するケースもあります。これは第5腰椎の前方変位サブラクセーション(カイロプラクティックで言うような関節機能障害)に見られるような症状、特に痙攣性の月経痛と大量の出血などを誘発します。
こういったケースでは、主に骨盤膈膜を構成する肛門挙筋の検査と治療、さらに子宮リフトテクニック(子宮の下垂を治していくようなテクニック)を使用することが多いです。


【マグネシウム欠乏】

生理痛における痙攣は、カルシウムやマグネシウムの欠乏に起因する場合があります。この状態に対する臨床的なテストでは、血圧計のカフを前腕または下腿に巻き、拡張気圧の圧力を加え、3〜4分間保持します。この間に痙攣が起こる場合、栄養素が不足していることが多くあります。こういった月経性痙攣の予防のためには、月経開始日の1週間前からこれらのミネラルの投与を始めなければなりません。またミネラルを吸収するための適切な胃酸の分泌があるかは常に考慮しなければなりません。またビタミンEにより痙攣の改善が得られるケースもあります。
私は、痙攣の多くはマグネシウムに起因することが多いと思います。一般にマグネシウムが不足すると筋肉の痙攣を来すことは知られていますが、女性の場合には、月経困難の主たる原因ともなります。


【回盲弁症候群】

月経性痙攣は、回盲弁症候群(こちら)から二次的に起こるケースもあります。両症候群においても、身体の毒性が高まることで、ある種の臓器が毒性の排除を始めます。この場合、全身の排出や排泄機能を行うほとんどの臓器が関与することになります。
そして以前のblogでも述べたように、回盲弁症候群を持つ患者さんには、鼻からの排泄物、汗、足の悪臭、ニキビなどの症状が観察されます。生理痛が回盲弁症候群により二次的に誘発される場合、放散痛を伴う腹痛が見られます。このタイプの生理痛は非常に重篤であり、会社や学校を休まなければならないほどの症状を起こし、患者さんの多くは薬剤により痛みの緩和を試みている場合が多くみられます。
(AKシノプシスより参照)


【プロスタグランジン】
プロスタグランジンという物質(こちら)についてもお話しておきましょう。
月経時には、よりスムーズに経血(子宮内膜や子宮内の血液)を排出するために、プロスタグランジンという子宮を収縮させるホルモンが分泌されます。
プロスタグランジン(E2)の分泌が増えすぎると収縮が強くなり、子宮の周囲の充血やうっ血に伴って痛みを感じます。 プロスタグランジンが発痛物質であるブラジキニンとヒスタミンの作用を強めます。ただし、痛いのは子宮そのものではなくて、子宮の収縮で周囲の臓器や腹膜がひっぱられ、腹部の神経に反射して起こっています。また、プロスタグランジンは子宮だけではなく、全身の血管にも働きます。血管も筋肉でできていますので、プロスタグランジンで収縮します。
実は、血管が収縮=縮むことで、生理のときに血行が悪くなって、吐き気や頭痛を感じることもあるのですね。
とは言っても、プロスタグランジン自体が悪い、というわけではありません。プロスタグランジンも大切な物質なのです。子宮を収縮させる力がなくては、経血を上手く排出することが出来なくなります。
ただ、日常生活に差しさわりがあるほど生理痛が強くなってしまうのは、経血が何らかの原因によって排出されにくいために子宮を収縮させなければならないことや、食事などの生活習慣、体質によってプロスタグランジン(E2)の分泌量が多いなどの原因が考えられます。
プロスタグランジン(E2)の合成量は、細胞膜にある脂肪酸からのアラキドン酸の遊離の程度によって左右されるといわれています。食事の中での脂肪酸、とくに動物性食品に含まれる飽和脂肪酸の量やオメガ6系の油が多くなりすぎないように、食事内容を見直してみましょう。

こういったプロスタグランジンの問題は、同じオメガ6系のγ-リノレン酸を摂取し、プロスタグランジン(E1)を作ってあげることでバランスが取れ、劇的に生理痛が改善することがあります。γ-リノレン酸を多く含む月見草オイルが生理痛に有効と言われるのは、こんなところからなのです。またもちろん、プロスタグランジン(E3)を作ってくれるEPA/DHAも子宮収縮の痛み緩和には有効です。


【低体温】
体温が低いと、体幹部の熱を保つために末端の毛細血管は収縮して血液循環が悪くなります。
結果、末端だけではなく、全身の血流が滞るために、骨盤内もうっ血し、子宮内膜や経血が体外へスムーズに押し出されなくなり、子宮を収縮させるプロスタグランディンの分泌量が増えて、骨盤内や腹腔内の他の臓器が引っ張られることで生理痛の痛みが増すといわれます。
低体温の生理痛に対する長期的な影響としては、冷えにより血流が滞るため、血液と共に運ばれる酸素や栄養分が全身に行き渡らなくなり、子宮や卵巣など女性生殖器の働きが低下し、女性ホルモンの分泌量やバランスが乱れるために、むくみや乳房の張り、頭痛など、生理前から生理中のさまざまな不快症状を引き起こすことが考えられます。




いかがでしたか?
大分難しい話がオンパレードでしたが、いろいろな原因があるということは分かって頂けたでしょうか。
これらの原因を考えて、その方に合わせた治療や対策をすることで生理痛はかなり軽減することが可能です。



小菅一憲

CHIROPRATICA|健康の素晴らしさを伝える治療院


C-Magazine|カイロプラクター小菅一憲が提供する健康情報発信基地

by chiropratica | 2014-09-02 19:51 | 生理前症候群PMS


カイロプラクティック理学士/サプリメント指導士のカラダと食を考える日記


by chiropratica

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