NO.470 糖尿病と糖質の悪影響 その10 「糖尿病は遺伝だけとは限らない」

糖尿病が発症するのは、遺伝だけとは限りません。
体質的な遺伝子因子が考えられるとしても、それだけでは病気にはなりません。外から加わる環境的な因子があって、初めて発病するのです。感染症も感染のほかに、外傷や精神的なストレスが加わったとき発病するのではないか、と考えられています。
ピストルの弾は引き金を引くと発射されますが、引き金を引かない限り、発射されません。これと同じで、糖尿病も弾(遺伝子)がこめられていても、自分で引き金を引かなければ発症しないのです。糖尿病の場合の引き金は、食べ過ぎ、飲み過ぎ、肥満、運動不足などになりますね。
今日はその他の因子を細かくみていきましょう!
【喫煙】
喫煙は、酸化ストレスと動脈硬化に関連しています。
体内で発生した活性酸素や外から取り込まれた活性酸素は酸化ストレスを引き起こし、身体に様々な障害を引き起こします。インスリンを製造している膵臓のβ細胞は活性酸素で障害されて、インスリンが充分に作られなくなります。最近の研究では、酸化ストレスによる障害の仕組みもわかってきており、その一つは酸化ストレスが「P53」という抑制遺伝子の老化シグナルを活性化することです。酸化ストレスによって細胞の老化が進み、インスリンが分泌されても作用しにくくなるインスリン抵抗性が増悪するようになります。また筋肉細胞も障害されて機能が低下するため、インスリン抵抗性を持ちやすくなります。
また血管が硬く、もろくなる動脈硬化が進むと、心臓、脳神経系、腎臓、眼、皮膚、膵臓、筋肉などの全身の臓器、組織の血流量が減少して、様々な障害を引き起こすようになります。いわゆる糖尿病合併症です。
【飲酒】
肝機能低下につながります。
血液中に余ったブドウ糖は、肝臓に取り込まれて、肝臓の中でブドウ糖が結合してグリコーゲンに換えられて蓄積されます。そして、血糖値が下がったときに肝臓からブドウ糖に分解されて放出されています。また、肝臓では、アミノ酸などからもブドウ糖を作っており、「糖新生」と言われます。肝機能が低下するとブドウ糖の放出量が調整されにくくなり、血糖値が上昇しやすくなるとともに、低血糖にもなりやすくなるのです。
【食べ過ぎ】
膵臓の酷使につながります。
膵臓から分泌されるホルモンであるインスリンは、筋肉細胞にあるインスリン受容体と結びついて、筋肉細胞の中にブドウ糖を取り込んでいきます。膵臓は、血液中のブドウ糖が多くなると、インスリンを出して血糖値を下げます。ブドウ糖が多い状態が続くと、膵臓はインスリンを出し続け、限界に達すると疲弊した膵臓からはインスリンが分泌されにくくなります。そのために常に血糖値が上昇しやすくなるのです。
【肥満】
内臓脂肪が多く蓄積されると、内臓脂肪からTNF-αやレジスチンといった物質が放出されます。TNF-αは悪玉アディポカインと呼ばれる生理活性物質で、インスリン抵抗性を引き起こします。レジスチンはインスリン抵抗性を高めるペプチドです。
一方では、血管を保護し、インスリン抵抗性を改善してくれる善玉アディポカインが低下してきます。また内臓脂肪が多く蓄積されると、血液中遊離脂肪酸が放出されますが、遊離脂肪酸は肝臓で高濃度になるとトリグリセライド(中性脂肪)の産生を高め、脂肪肝を起こしやすくなります。遊離脂肪酸の高値は、膵臓からのインスリン分泌を障害するようになります。
【運動不足】
筋力の低下につながります。
ブドウ糖の消費をして減らしている大きな臓器が筋肉なので、筋肉の量が減るとブドウ糖の処理能力が低下し、血糖値が上昇しやすくなります。インスリンの働きによって、ブドウ糖は筋肉細胞に取り込まれてエネルギーとして活動に使われます。筋肉でのエネルギー消費が少ないと、インスリンを受け取る受容体が働かなくなり、インスリン抵抗性が引き起こされます。
【妊娠】
妊娠糖尿病は8人に1人の妊婦さんがかかる、とっても頻度の高い病気です。妊娠時には胎盤で血糖値を上げやすいホルモン(インスリン拮抗ホルモン)などが産生されるため、妊娠中期以後にインスリンが効きにくい状態になり(インスリン抵抗性)、血糖値が上昇しやすくなります。 正常の妊婦さんでは、インスリン抵抗性になる時期には、膵臓からインスリンを多く分泌して血糖値を上げないように調節します。しかし必要なインスリンを分泌することができない体質の妊婦さんでは、血糖値が上昇します。
これは、生物の歴史は飢餓の歴史で、子宮の中にいる胎児にちゃんと栄養が行くように作られたシステムなのですね。
それが飽食の時代と高齢出産の割合の増加によって、妊娠にとって有害な域まで血糖が上がってしまうこともしばしば起こるようになったのでしょう。
【手術】
身体に外科的なストレスが加わることにより交感神経系が活性化され、アドレナリン、グルカゴン、コルチゾール、成長ホルモンなどが放出されます。 これらは抗インスリン作用を持つと共に末梢性のインスリン抵抗性の亢進を起こして、 外科的糖尿病と呼ばれる高血糖状態を引き起こしやすくなり、 特に糖尿病患者では症状が増悪することが多いと言われています。
糖尿病のない人でも大きな手術を受けるとそのストレスで一時的に糖尿病状態になる こともあるので、糖尿病の人はなおさら注意する必要があります。
ちなみに術前に血糖コントロールが悪いと、これを是正してから手術ということになりますが、緊急を要する手術ではそんな悠長なことは言ってられませんので、やむを得ず手術を行わざるを得ません。また、麻酔などに使う薬品でも血糖値に影響を与えるものがあります。 もちろん悪影響のある薬は使いませんが、 いろいろな状態によっては使わざるを得ないこともあります。
さらに、手術中には不測の事態に対処するため頻回に血糖値や、電解質、ケトン体などの チェックが必要になります。
また神経障害があると手術中に血圧の低下をきたしやすいとも言われ、糖尿病のコントロールが悪いと動脈硬化が早く進むことはもちろん、動脈硬化が強いと手術中の出血量が多くなることもあります。その他、手術が終わってからも、血糖コントロールが悪いと傷が治りにくく化膿しやすくなります。
このように糖尿病があると外科手術に際していろいろ不利なことが生じるのですね。
その他には・・・
【ストレス】
【感染症】
【薬物の乱用】
もあります。
さて、少し難しい話だったとは思いますが、これらが遺伝以外に、糖尿病の引き金を弾いてしまう因子ということです。
特に糖尿病の遺伝素質をもっている人は、弾丸の入っているピストルと同じで、いつでも発射OKという危険な状態にいます。
そして引き金をひく犯人がこういった生活習慣というわけなのです。
糖尿病になる原因は実にさまざまです。それこそ多くの生活習慣が関わっているのです。
最近では糖尿病の家系的因子を持っている人だけが糖尿病を発症するとは限らなくなっています。
あなたの糖尿病の真の原因が、あなたが思っているものと違う生活習慣にあるかもしれません。
それをあなた自身で見つけてみませんか。
隠れていた真の原因である生活習慣を見つけだし改善することで、糖尿病の治療の成果を高めることができるのです。
薬に頼る前に、真の原因である生活習慣を見つけましょう。
そして、糖尿病の人もそうでない人も糖のことを良く知って、自分に合った食事でコントロール、予防していくことが大事ですね^^。
小菅一憲
CHIROPRATICA|健康の素晴らしさを伝える治療院
C-Magazine|カイロプラクター小菅一憲が提供する健康情報発信基地
by chiropratica
| 2014-06-18 16:24
| 糖尿病と糖質の悪影響

カイロプラクティック理学士/サプリメント指導士のカラダと食を考える日記
by chiropratica
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