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NO.183 乳酸菌特集2 「酪酸菌と糖化菌」

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今日は、乳酸菌の働きを高めてくれる2つの菌のお話。


まずは酪酸菌。
これは、難しく言うと、酪酸を生成する偏性嫌気性芽胞形成グラム陽性桿菌です。
動物の消化管内の常在菌として知られていますが、有名なのはミヤリサンという整腸剤の「宮入菌」ですね!
宮入博士が発見したのですが、胃酸にも強くかなり有益な菌でもあります。

ミヤリサンのHPには、「Clostridium butyricumは偏性嫌気性の芽胞形成性酪酸菌であり、10~20%の人の腸管内に常在していることがわかっています。 そのC. butyricum のなかで、MIYAIRI株は1933年に千葉医科大学衛生学教室(現千葉大学医学部)宮入近治博士により、人腸管内より、腐敗菌に対して強い拮抗作用がある酪酸菌として報告されました。 本菌は腐敗菌をはじめとした種々の消化管病原体に対して拮抗作用を有し、BifidobacteriaやLactobacillus等のいわゆる腸内有益菌と共生することにより、整腸効果を発揮します。 さらに、本菌は芽胞形成細菌であることから、製剤中における安定性および胃酸に対する抵抗性が乳酸菌群と比較し高いことが報告されています。」と説明されています。
酪酸菌の中でも宮入酸は、乳酸菌などと共生し、高い整腸作用を発揮します。

私も以前ミヤリサンにはお世話になったことあります。実はちょっとした知り合いだったりもしまして・・・笑。
宮入菌は、処方薬のミヤBMでも使われています。



さて、次に糖化菌。
糖化菌は単独でも整腸作用の目的で医薬品として使われてきましたが、糖化菌は乳酸菌と共生することが確認されていて、腸内で乳酸菌の増殖に貢献していることがわかっています。

糖化菌の主要代謝産物はアミラーゼで乳酸菌の増殖を促進する働きがあるのですが、デンプンを主体とした栄養成分で構成される液体(培地)で乳酸菌を単独培養した場合、乳酸菌は10倍程度しか増殖しないが、乳酸菌と糖化菌を混合培養することで乳酸菌は培養後約100倍程度に増殖するそう。

糖化菌では、納豆をつくるときに使われる「納豆菌 Bacillus natto」が有名ですが、乾燥した芽胞生菌の状態で存在可能で、胃酸の強い酸性、アルカリ性、熱やたんぱく質の変性の影響を受けずにほぼ100%安定した状態で腸まで届くことができると言われています。また糖化菌の1つであるポリファーメンチカス菌(Bacillus polyfermenticus)には、過敏性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病といった腸の症状の背景にある腸粘膜の炎症の治癒促進をする作用があり、コレステロール、中性脂肪の抑制作用も確認されています。

私も大好きな納豆。
少し詳しく見ていきましょう。

日本古来の大豆発酵食品「納豆」は、世界に誇れる腸活食品です。

食べ物を微生物の力によって発酵させて食べることは、腸内細菌だけでは追いつかない消化力を高め、ビタミンなどの抗酸化物質を増やし、たんぱく質をペプチドまで細かく分解することによって、過剰なアレルギー反応を抑えることにもつながります。

納豆菌は「枯草菌」の一種で、土の中や空気中などいたるところに存在し、枯れ草の表面から分離されることも多い菌です。
熱にも酸にも強く、おそるべき増殖力をもちます。

たとえば枯れたワラを水に浸けて煮沸すると、ほとんどの微生物は熱で死滅しますが、枯草菌は、「芽胞(種の一種)」になって生き残ります。
その後、条件が整うと発芽して、そこで納豆菌が優勢になって繁殖します。
体内ではダイナミックに姿を変え、自らは窒息死して腸を守ってくれます。
たとえば納豆菌K–2株は、お腹に入ると芽胞になり、胃液で消化されないで、生きて腸まで届きます。
そこでいったん「発芽」しますが、腸内には酸素がないため、納豆菌としては死ぬことになります。
しかし、流れ出た菌体物質がビフィズス菌などのエサになり、結果として、腸内の善玉菌を増やすのに大きく貢献するのです。


納豆菌には有機物やアンモニアを分解する働きもあり、最近は水質浄化にも活用されています。すごい能力を秘めた細菌ですね。

最近では、納豆菌と生きた乳酸菌を共存させた製品もたくさん出てきていますよね。
日本人の慣れ親しんだ納豆はこんなに優秀な食材だったわけです。



さて、今日お話した「酪酸菌」と「糖化菌」は、「乳酸菌」とのコンビネーションによって、お互いに共生・増殖することで、かなりの整腸作用が期待されます。
またこれらの菌は酸素の有無によっても生きる環境が違います。


酸素がないと生育できない(偏性好気性菌)・・・糖化菌、納豆菌
酸素があると生育できない(偏性嫌気性菌)・・・酪酸菌、ビフィズス菌
酸素があってもなくても生育できる(通性嫌気性菌)・・・乳酸菌


この酸素の量は長い腸とも関係していて、肛門に近づくにつれて減っていきます。つまり腸の部分によって生育する細菌の種類も変化していきます。
とするとこの3つの菌を摂ることの有益性がわかってくると思いませんか?
そしてなんとこの乳酸菌、酪酸菌、糖化菌が3つセットで入っている医薬品もあります。

その名も「ビオスリー」!

市販でも売っているので、過敏性大腸炎や、下痢・便秘で悩んでいる方、腸が弱い方は、日常で使用する整腸剤としてはお勧めです^^。

薬剤師でもある私の義母が、「なんかビオフェルミンよりビオスリーが効く気がするのよね、お腹痛い時は、ビオスリーがいいわよ」と言っていたというのですが、さすが薬剤師の勘というか。
中に入っている菌の作用がわかっていたかどうかは別として・・・義母すごし。笑。

さて、次回は乳酸菌のエサである「オリゴ糖」についてお話していきましょう。



小菅一憲

CHIROPRATICA|健康の素晴らしさを伝える治療院


C-Magazine|カイロプラクター小菅一憲が提供する健康情報発信基地

by chiropratica | 2011-04-21 18:28 | 腸内細菌の話


カイロプラクティック理学士/サプリメント指導士のカラダと食を考える日記


by chiropratica

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