NO.84 牛乳 milk 「母乳と粉ミルク」

さて、牛乳シリーズも残すところ後2回となりました。
今日は、母乳の大切さについてお話ししたいと思います。
乳幼児にとって理想的な食料となるのは「母乳」だけです。
ミルクや豆乳もほとんどの乳児の成長を促すことができますが、「母乳」にはかないません。
粉ミルクは、製造開始以来この数十年で徐々に調整されて、現在では糖質、たんぱく質、脂質の含有量が母乳に近づいています。しかし、乳児を感染症から守ることに関する限り、ミルクは母乳と同じ効果を期待することはできません。
母乳、とくに産後の数日間に分泌される初乳には、生命を脅かす感染症に最も冒されやすい時期に免疫に与える働きがあります。母乳には抗体が豊富に含まれていて、そのたんぱく質は、病原菌やウイルスによる感染症から赤ん坊を守るのに必要なのです。
母乳栄養児が人工栄養児よりも病気にかかりにくいことを裏付ける証拠はたくさんあります。
1930年代にシカゴで2万人以上の乳児を対象に行なわれた研究では、生後9ヶ月母乳だけで育てた群と、母乳にミルクを足した群、そして煮沸して還元した牛乳に砂糖を混ぜて飲ませた群で実験しました。
結果は、生後9ヶ月で完全母乳栄養児と混合栄養児を合わせた死亡率は、1000人につき1.5人の割合だったのに対して、完全人工栄養児の死亡率は、1000人につき84.7人と高い数値を示し、さらに完全人工栄養児では消化器系の感染症の死亡率が40倍、呼吸器系の感染症の死亡率は120倍にも達していました。
そしてそれ以前にアメリカの8つの都市の赤ん坊を対象に行なわれた研究でも、同様の結果が報告され、完全人工栄養児は生後6ヶ月までに死亡する可能性が20倍高かったといいます。
もちろんこの結果は、まだ病原菌による感染症を治療する抗生物質が出回るよりもずっと前の話なので、抗生物質や高度な医療体制がある現代では考えられない話ですが、母乳がいかに乳児の免疫に大事かが実感できますね。
チリの研究では、収入が増えるにつれて母親は母乳栄養から人工栄養に切り替える傾向があるため、こういう風潮が、高収入の家庭ほど乳児死亡率が高いという現象につながっているといいます。
またグアテマラやユーゴスラビアの研究では、母乳栄養児にはみられない胃腸炎が、人工栄養児には頻繁にみられたといいます。
また胃腸炎を起こした子供全員の便からは大腸菌が検出されましたが、この経験の後で全員に生の母乳を与えたところ、2ヶ月以内に大腸菌は消えてなくなったと報告しています。
畜産業者は母乳の感染防御機能をよく知っています。
ウシやブタの乳児は生後24時間以内にその種の生乳を与えられなければ、胃腸の感染症で死ぬことがあるからです。
哺乳動物の乳は、その種の乳児だけを感染から守るようにできているようです。
他の哺乳動物の乳を飲ませてもうまくいきません。また生乳の加熱、殺菌、成分調整は、感染防御機能を破壊してしまいます。
ここまで研究されてきた全ての哺乳動物は、赤ん坊が出生時体重の約3倍になるまで母乳だけで育てられます。ゾウの場合は約3年くらいかかりますが、モルモットの場合はわずか3週間程度です。
人間もこうした自然の摂理に従うなら、生後1年くらいまでは母乳だけで育てなければなりません。
(Flank A.Oski,M.D. DON'T DRINK YOUR MILK 引用)
たしかに衛生環境の整った先進諸国では、大多数の赤ん坊はミルクでもよく育ちます。
実際、人工栄養児の感染症の発生率は容認できないほど高いわけではありません。
しかし、免疫面での恩恵にあずかれるのは、完全母乳だけなのですね^^。
次回は牛乳シリーズのまとめになります。
小菅一憲
CHIROPRATICA|健康の素晴らしさを伝える治療院
C-Magazine|カイロプラクター小菅一憲が提供する健康情報発信基地
by chiropratica
| 2010-11-29 07:14
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カイロプラクティック理学士/サプリメント指導士のカラダと食を考える日記
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