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NO.265 脂肪 fat その8 「TRANS FAT 2 トランス脂肪酸とは?」

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今日はトランス脂肪酸とは何か!
そのことについて解明していきます。


自然な植物油に含まれる不飽和脂肪酸は、炭素の二重結合を中心に2つの水素がそれぞれ1個ずつ片側に並んでいます。
これを同じ側を意味する「シス」というラテン語から「シス型脂肪酸」と呼んでいます。

マーガリンを製造する過程で部分水素添加を行うと、片方の水素が反対の方向に移動(トランス)します。こうなると、飽和脂肪酸に似た、いびつな形の飽和脂肪酸のようなものが出来上がります。これが「トランス脂肪酸」と呼ばれる所以です。


このトランス型のいびつな脂肪酸構造がプラスチックと良く似ているので、マーガリンはプラスチックと同じだと言われるのですね。
プラスチックは自然界に存在しないもの。そんな自然にないようなものが身体の中に入ると考えただけで怖くなりませんか?



では、トランス脂肪酸が実際に身体の中に入ったらどうなるのでしょう?

食事でトランス脂肪酸を摂取すると、まず体はそれを分解・代謝しようとします。不自然なトランス脂肪を分解・代謝するには、時間がかかり、大量のビタミンやミネラルを消費します。
これだけでも身体に余計な負担をかけるのに、トランス脂肪酸自体は、身体に役に立つ機能がなく、なおかつ老化やガンの原因になる活性酸素をつくったり、他の脂肪酸の機能を妨げるなど悪い働きをするのです。


中でも一番の害は、トランス脂肪酸が細胞膜に悪い影響を及ぼすといったことでしょうか。
脂質が細胞膜の材料になっていることはお話してきましたが、細胞膜は非常に大事な役割をしています。
その役割の中には細胞内外の浸透圧を調節する、細胞に必要な酸素や栄養を吸収する、細胞内で発生した老廃物を排泄する、情報を伝達するなど、生命活動に欠かせない大切な役割を担っています。

ここにトランス脂肪酸が入りこむとどうなるでしょう。
トランス脂肪酸は、必須脂肪酸に悪さをします。そうすると細胞膜の構成成分である必須脂肪酸が役割を果たさなくなるために、細胞膜の構造や働きが不完全になってしまいます。
細胞の働きが悪くなってしまうのはもちろん、細胞に必要なものが流出してしまったり、逆に有害物質が侵入しやすくなってしまうともいえます。


少しピンとこないかもしれないので、トランス脂肪酸の害をいろいろ紹介していきましょう。


たとえばトランス脂肪酸は、飽和脂肪酸と同じように摂りすぎると血液をドロドロにします。トランス脂肪酸は、肝臓にダメージを与えて体内のコレステロール合成量を調整する機能を崩してしまうそう。そしてそれは心臓病のリスクにつながるのですね。

アメリカで8万人もの女性を対象に行われた実験では、トランス脂肪酸をもっとも多く摂取するグループはもっとも少ないグループに比べて、心筋梗塞を起こす危険性がおよそ30%も高かったそうです。またオランダで行われた調査では、488人の女性と27人の男性を3つのグループに分けて、それぞれ、オリーブオイルの多い食事、動物性脂の多い食事、トランス脂肪酸の多い食事を3週間続けたところ、トランス脂肪の多いグループだけがHDL(善玉コレステロール)が少なくLDL(悪玉コレステロール)が多くなっていたとの結果がでました。


その他、糖尿病にも関わります。
アメリカのハーバード大学で、84,204人の女性看護師に対し、14年間にわたって食事調査を行ったところ、トランス脂肪の摂取がもっとも多いグループはもっとも少ないグループに比べて、糖尿病の発症の危険度が30%も高いという研究結果が明らかになりました。
しかも総カロリー摂取量のうち2%にあたるトランス脂肪酸を自然の植物油や魚油に置き換えることで、危険度が40%減少すると推測しています。

トランス脂肪酸が糖尿病に関わる理由としては、トランス脂肪酸が細胞膜の構造を不安定にするため、いくら身体がインスリンを分泌しても、それをキャッチする細胞膜の受信機能が鈍くなってしまうことがあげられています。そのためインスリンの働きが損なわれてしまい、結果的に血糖値が上がってしまうというわけです。


このように細胞膜の構造や働きが不安定になれば、細胞がうまく機能しなくなったりするので、糖尿病にも関わってくるのですね。
また免疫に関わる糖鎖(細胞膜から伸びているひげ状のもの)が機能しなくなるため、免疫力も低下します。これにより様々な病気にかかりやすくなるのはもとより、細胞内に有害物質が入り込み、細胞が酸化、遺伝子が傷つくことでガンの発生にもつながると言ってよいでしょう。


なんて大きな悪影響でしょう。

そしてイギリス・オックスフォード大学で発表されたレポートでは、トランス脂肪酸が脳の活動に必要な酵素を破壊し、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などを引き起こす大要因になるとしています。

トランス脂肪酸の害は脳まで!
中には高齢者の認知症の原因になっているという発表すらあります。
(病気が嫌なら油を変えなさい 山田豊文引用)


ここまでの影響を与えるとはビックリしますよね。




現在、ヨーロッパ各国では、トランス脂肪を「殺人脂肪」として扱い、トランス脂肪が一定基準よりも多く含まれている食品を違法としています。
またアメリカ・ニューヨーク市でもすべての調整食品からトランス脂肪酸を排除することを法律化しています。
私自身、海外の製品を見たりすると、TRANS FAT ゼロの表示がめずらしくなくなりました。


そんな中で日本はどうでしょう?
いまだにこの害を知らない人がいます。
そして家庭でマーガリンを使っている人もたくさん。


みなさんは、もし、家にこんなに身体に悪い人工物「トランス脂肪酸」が入った加工品があれば、即刻捨てるようにしましょう^^。


ちなみに、マーガリン以外にもトランス脂肪酸は、さまざまな食品に使われています。
原材料を見る習慣をつけてください。

菓子パンやクッキー、クラッカー、ケーキ、チョコレート、スナック菓子、アイスクリーム、フライ、レトルトカレーなどの中に良く見かける、「ショートニング」、「植物油脂」、「加工油脂」、「ファットスプレッド」など・・・これはすべてマーガリンの仲間で、トランス脂肪酸が多く含まれている可能性があります。注意しましょう。



トランス脂肪酸が含まれている可能性のある代表的な商品には・・・

マーガリン
ショートニング
ケーキ用小麦粉
カップラーメン
フライドポテト
冷凍食品
ドーナツ
パウンドケーキ
ポテトチップス
オートブラン
チョコレート
クッキー
ホイップクリーム
コーヒーフレッシュ
ドレッシング

などなど・・・


もちろんファーストフードは、トランス脂肪酸の宝庫です・・・。

さて、次回は脂質のテーマ最後にコレステロールの話題を。



小菅一憲

CHIROPRATICA|健康の素晴らしさを伝える治療院


C-Magazine|カイロプラクター小菅一憲が提供する健康情報発信基地

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by chiropratica | 2011-09-29 17:52 | 栄養(基礎編)

NO.264 脂肪 fat その7 「TRANS FAT 1 マーガリンについて」

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10年か15年くらい前まで、日本は、乳がん、大腸がん、前立腺がん、心臓病などは少ない国でした。伝統的な日本食の中では、牛肉や乳製品で摂る飽和脂肪酸も少なく、水素添加して作ったマーガリンやショートニングといった今回のテーマのトランス脂肪酸が身体に入ることも少なかったのです。
そして繊維質を食事からしっかりと摂取し、オメガ3の脂肪酸やセレニウムなども魚から摂れていました。

しかし、今の日本は大分変わってしまいました。
昔から、アメリカに移住した日本人は、アメリカ人と同じぐらい大腸がんや心臓病、その他の病気にかかることがわかっていましたが、今では日本の本土でもこれらの病気が増えてきています。

そこには、食生活が西洋化してしまったことが大きく関わっています。
かつて伝統的な食生活を行っていた国で食事が西洋化すると、日本と同じような状況に陥っているところもたくさんあります。



食事が西洋化することで栄養における変わってしまう要素はたくさんありますが、その一つにトランス脂肪酸の害があります。
今日はそのことについての話を進めていきましょう。

先ほど言ったショートニングやマーガリンの中には、トランス脂肪酸という人工的な油が含まれています。
またレストランやファーストフードのお店で使われている油も危ないものです。業務用の食用油は何度も熱せられますよね。そういった何回もの加熱の中で脂肪の分子のあるものはリング状をした「ラクトン」と言われるものに変わってしまいます。
このラクトンが増えると、それはプラズミンという酵素の働きを妨げ、動脈に血栓ができる要因の一つになると言われています。プラズミンは血栓を溶かす働きのある酵素です。



このトランス脂肪酸。実は、じっくり見てみると私たちの生活の中に知らず知らずに入り込んでいます。この危険な油が毎日の料理で使われたり、食卓に上っていると思うと怖くなりませんか?


さて、トランス脂肪酸の中でもよくあがるマーガリンについてお話します。
有名な実験を一つ紹介しましょう!



アメリカの自然派運動家フレッド・ロー氏が行ったマーガリンの実験。
もともと彼は、自然食品店を経営しており、「マーガリンは正しい食品」と信じて売っていました。きっとお店を訪れた多くのお客さんが「動物性脂のバターよりも植物性油を使ったマーガリンのほうが健康に良い」と思っていたことでしょう。
ところがある日、食品工業の技術者である常連客から「マーガリンを顕微鏡でのぞいてみると、プラスチックの構造にそっくりなことがわかる。マーガリンにプラスチック食品という名前をつけたくなる」という話を聞きます。
驚いた彼は、マーガリンや、マーガリンとは兄弟分のような植物系ショートニングが含まれている食品を売るのをストップし、ちょっとした実験を始めました。

それまで彼の店で売っていたのと同じマーガリンの小さな塊をお皿にのせ、その皿を店の裏部屋の窓際に置きました。マーガリンが本物の食べ物であるなら、虫や細菌がやってくるのに好都合な場所にあるこのご馳走に、大喜びしてむらがるに違いないと思ったからです。
同じことをすると、バターの場合は蠅や蟻やカビがいっぱいになります。
しかし、マーガリンの塊はバターとは違っており、2年経っても、もとのままでした。その間どんな虫も一匹としてその塊に近寄るのを眼にすることはなく、ひとかけらのカビすら生えなかったといいます。
窓を通して入る日光の熱でマーガリンは半分溶けてくずれ、ほこりまみれて汚くはなりました。しかし、起こったことはただそれだけで、マーガリンの固まりは決してきれいになくなることもなく、汚くぞっとするものになっただけだったそう。
(危険な油が病気を起こしている J.フィネガン著引用)



みなさんの常識の中には、「植物油由来のマーガリンは、バターよりもカロリーも低くて健康的」ということがあるのではないでしょうか?
この常識はすぐに変えなければいけないと思います。

マーガリンはどうやって作られるのでしょう?
たしかに植物油(大豆油、コーン油、パーム油、ヤシ油、綿実油、ひまわり油など)を原料にしてつくられています。
いままで勉強してきたようにこれらの植物油は不飽和脂肪酸なので、融点が低く、常温では液体です。身体の中に入っても、液体のままなので血液中をスムーズに移動できるという反面、その構造上酸化しやすいのが欠点で長期の保存が難しい油でした。

では、植物油を使ったマーガリンはなぜ常温でも固形なのでしょう?
ここにカラクリがあります。
実は「水素添加」という方法を使って油の性質を変えてしまっているのです。

脂肪酸は、炭素が連なり、そこに水素がくっついた鎖のような構造をしているとお話してきました。炭素には4本の腕が伸びていて、そのうち2本の腕は両隣の炭素と手をつなぎ、他の2本の腕は水素と手をつないでいます。鎖の先頭にあたる炭素は、隣の炭素、水素と手をつないでおり、この部分をメチル基と呼んでいます。また、最後尾に当たる炭素は、隣の炭素と水酸基、酸素と手をつないでおり、カルボキシル基と呼んでいます。

それぞれがしっかりと固定されていれば、強度が高く、常温で固体になります。いわゆる牛脂やラードなどの飽和脂肪酸ですよね。
それに対して、水素がところどころ抜けている形のものは、不飽和脂肪酸と呼ばれ、穴の数が多いほど、固体になりにくく、融点が低い油となります。
植物油のほとんどがこれで、常温で液体になっているわけです。
(病気が嫌なら油を変えなさい 山田豊文引用)


さて、マーガリンにおける水素添加というのは、何か。
みなさん予想ができたのではないでしょうか?

そうです。この抜けた穴のところに人工的に水素をあてがって無理やり炭素の鎖と結合させるということです。
それによって穴が埋められ安定した植物油は、固体になり、なおかつ酸化しにくくなるので長期の保存が可能になります。


こうやってできたのが、このマーガリンというものなのです。
マーガリンは使い勝手が良く、長期の保存がきくということで商業的には利便性が高い商品になりました。
マーガリンの硬さは、水素を添加した量によって変わります。水素をたくさん添加すれば、その分、多くの穴が埋まるので硬いマーガリンができます。また水素を少しだけ添加すれば、穴が残る割合が多くなるので、液体により近い、伸びのよいマーガリンができます。これがパンにも塗りやすいマーガリンができる秘密なのです。
現在売られているマーガリンのほとんどが、この部分水素添加によってつくられており、そうして固体となった油(硬化油)に、乳化剤と水を加えた後、急冷してマーガリンが完成します。

なお、水素添加は120~210度の高温、高圧のなかで水素ガスを反応させる方法で行われます。そしてこのときニッケルや銅が触媒として使われるのですが、なんか聞くだけで怖くなってきますよね。



うちの奥さんは、マーガリンを以前使っていて私の話もなかなか信じていなかったのですが、私の友人に「マーガリンを使っているとセルライトができるよ!」と言われ、あっという間にごみ箱に捨ててました。まあ何のキッカケにせよ、やめれて良かったです。笑。
このマーガリンを代表とする水素添加されたトランス脂肪酸が、日本では加工品にたくさん使われています。
この人工的な油は、自然には存在しない、虫もよりつかないプラスチックのようなもの。

この怖さに気づくと、今食べているものが大丈夫か不安になるでしょう。


さて、次回はこのトランス脂肪酸がどういったものなのか、カラダにどのような影響を及ぼすか話していきますね^^。



小菅一憲

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by chiropratica | 2011-09-25 13:23 | 栄養(基礎編)

NO.263 脂肪 fat その6 「オメガ9 オリーブオイル」

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オメガ6と3の話はたくさんしてきたので、今日はオメガ9の話をしていきましょう!


動物性脂肪に対して、菜種やコーン、ベニバナ、フラックス(亜麻)などの植物性脂肪の油に含まれるものを「不飽和脂肪酸」と呼んでいましたよね。
そして「不飽和脂肪酸」は、炭素が連なった鎖に水素がところどころ抜け落ちている構造をしていました。
その中で水素の穴が一つだけあるものが「一価不飽和脂肪酸」、水素の穴が複数あるものが「多価不飽和脂肪酸」でした。


さて、一価不飽和脂肪酸は、水素の穴が炭素の鎖の先頭にあるカルボキシル基から9番目にあるので、「オメガ9」とも呼ばれています。
このオメガ9、穴が一カ所しかなく、不飽和脂肪酸の中ではもっとも融点が高くて酸化しにくいため、加熱調理に向くと言われています。
そしてオメガ9の代表とも言える脂肪酸が「オレイン酸」と呼ばれるものです。

オレイン酸を豊富に含む食用油には、キャノーラ油、ピーナッツ油、米ぬか油、マカダミアナッツ油などがありますが、なかでもみなさんに馴染みが深いのがオリーブオイルでしょう。
オリーブオイルには、オレイン酸が70〜80%も含まれています。



オリーブオイルは、これを日常的に摂取している地中海沿岸の人々が、かなり多くの脂肪を摂っているにも関わらず、動脈硬化などの心疾患が少ない事から世界中で注目されるようになりました。

みなさんもオリーブオイルは健康に良いというイメージがありますよね。

というのもオリーブオイルに含まれる「オレイン酸」は、善玉コレステロールを下げずに、悪玉コレステロールのみを下げる働きがあることがわかったのです。また肝臓や膵臓、腸などの機能を高めてくれるとも言われており、便秘解消にも使われることがあります。
またオリーブオイルは、リノール酸もα-リノレン酸もあまり含まない油でしたが、人体の主成分であるオレイン酸が多く、ポリフェノールも多かったので、亜麻仁油が出てくるまでは一番良い油と思われていたかもしれません。



前回のblogで紹介したオメガ3の油(亜麻仁油やシソ油)は、いかんせん高価なので、料理で使うにはこのオリーブオイルを使用するのも良いと思います^^。

ただ、オリーブオイルに多いオレイン酸は、豚の脂をはじめとして、動物性食品に多い脂なので、肉や卵を多くとる人にとってはオレイン酸過多になって、炎症の原因になる時もあります。
まあ日本人で通常はそこまでになる人はいませんが、これもバランスということでしょう。
逆に菜食主義の人は、お肉からのオレイン酸を摂っていないので、結構合うかもしれませんね。



スーパーマーケットで、手軽に買えるオリーブオイルですが、実はオリーブオイルにも種類や製法によって善し悪しがあります。
日本で手に入るオリーブオイルには、「エキストラバージンオリーブオイル」「ピュアオリーブオイル」「オリーブポマースオイル」の3種類がありますが、できれば「エキストラバージンオリーブオイル」を選びましょう。
他の油は、化学溶剤などを使っていたり、高温で精製するためトランス脂肪などをすでに含んでいる可能性があります。

できれば「自社生産」のものを買って下さいね。オリーブは枝から切り取ったとたんに酸化をはじめるので、自社農園で収穫して搾油、瓶詰していれば鮮度を保つことができます。また加熱処理をしていないもの「コールドプレス」(30度以上の熱を加えていない)や紫外線の影響を受けにくい遮光瓶に入っているものが良い印です。


さて、次回はトランス脂肪酸についてお話していきましょう。
この油の使用がNYで禁止になったのは、ごく最近のことです。また世界でも商品にTRANS FAT 0の表示が書いてあるものも増えてきましたが、日本ではいまだなんの政策もないまま。そしてこのことについて、まだ知らない人もたくさんいますよね。

でもそんなことは言っていられないこわ〜い油なのです。



小菅一憲

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by chiropratica | 2011-09-23 23:20 | 栄養(基礎編)

NO.262 脂肪 fat その5 「オメガ3 〜亜麻仁油フラックスオイル〜」

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昨日の台風はすごかったですね。
私はサーフィンをやるので、いつも天気図はチェックしていますが、今回の台風は予想外の進行でした。
九州の南で西の方に行ってしまうのかと思いきや、急に方向転換して日本列島をすごい勢いで通っていきました。
しかし、地震に引き続き、なんて災害の多い年なんでしょう。
つくづく、自然の力の強さを感じます。



さて、オメガ3の続き。


リノール酸系の脂肪酸(オメガ6)の対極にある脂肪酸がα-リノレン酸、EPA、DHA(オメガ3)などですが、この20年の研究で、EPA、DHAが心臓病、脳卒中、ガンの予防に良いことが判明してきました。
その意味では、リノール酸を減らしていくことこそ現代病予防の根底であり、リノール酸と反対の性質をもつα-リノレン酸系の油の摂取は、偏りを修正していくには重要なポイントと言えます。

ここでオメガ3の復習を少ししておきましょう!

ほとんどの脂肪は、炭素が1列に並び、それに水素が結び付いた分子構造をしています。そして左端に水素Hがあり、右端は酸素Oおよび酸素と水素の結びついたOHがあります。この形は全ての脂肪に共通していて、脂肪のことを脂肪酸と呼ぶのは、右端が「酸」の形をしているからです。
そしてこの左右両端の形は同じでも中間の炭素と水素の結びつきは、それぞれの脂肪ごとに違っていて、この結び付きの違いがその脂肪の性質を決めています。
誰でももっとも気づきやすい違いでは、植物油や魚油のような不飽和脂肪酸は常温では液体なのに、牛脂のような飽和脂肪酸は個体という点。これも炭素と水素の結び付きの違いのために起きている性質の違いですね。

さて、オメガ3と呼ばれているのは、左端から3番目の炭素の所から水素の欠けた場所(炭素の二重結合、つまり水素が不飽和の箇所)が始まっているからです。これに対して植物油の代表リノール酸は、水素が欠けた場所が端から6番目だったからオメガ6と呼ばれていますよね。
そしてこれらオメガ3とオメガ6の必須脂肪酸は、細胞膜の構成要素として細胞にとって死活に関わる重要な役割を果たしています。またオメガ3は、炎症を抑える方に働いたり、血液をサラサラにして、心臓病や脳卒中の原因になる血栓を防いだりするので、注目されているわけです。



いままで体に良い油としてリノール酸系の植物油が人気だったため、現代人はオメガ6過剰になっているのですが、ここでオメガ3が不足した理由についても少しあげておきましょう。



1つには食品工業の進歩により食品が文明化してきたことです。

穀類の精白技術が発達にするにつれて、穀類の胚芽の中に入っているオメガ3とオメガ6が失われてしまいました。
また最大の犯人としては、油脂の製造方法の変化でしょう。
かつて、食用油は、手絞り的な圧搾法で絞られてきましたが、現在では同じやり方で造られているのは、コールドプレス(低温圧搾法)と銘打ったものだけで、ほとんどの食用油は化学的な溶剤で原料の中の脂肪を溶かし出し、その後で溶剤だけを取り除くといった方法で造られる上に、さらに水素添加という作業がされています。

この水素添加とは、不飽和脂肪酸の水素が不飽和になっている箇所に水素を添加して「飽和」させるために、食用油の中に水素ガスと化学的な触媒を高圧下で強引に注入するという乱暴なやり方でつくられるものです。
これは不飽和の箇所全部に水素を添加せず、一部にすることが多いので、部分的水素添加といいます。こうすると、食用油は酸化しにくくなって商品としての寿命が延びるというわけなのです。


しかし、こんなやり方で造られると、一番先になくなってしまうのがもっとも敏感な脂肪であるオメガ3の脂肪酸です。また今のような食用油の製造方法の中ではトランス型と呼ばれる脂肪の異性体が沢山発生してしまいます。
このトランス脂肪酸の話は、また後日やっていきますが、これが細胞膜の中に侵入すると必須脂肪酸の働きを妨害してしまうのです。

日本でも、昔使われていた大豆油の中にはオメガ3が含まれていたのですが、コールドプレス以外の現代風食用油の作り方で作った今の大豆油にはなくなってしまっています。
これがオメガ3が日本人に不足している大きな理由の一つでしょう。



そして2つ目には、食べ物の趣向が変わってきたこと。

アメリカの場合では、豚肉や鶏肉、魚、自然な狩猟動物を食べるより牛肉に傾斜するようになりました。実は牛肉よりも他の動物の方が少量とはいえ、オメガ3やオメガ6の不飽和脂肪酸が多く含まれています。
また日本でも食の欧米化で、以前ほど魚を食べなくなりました。

またもう一つにはオメガ3の脂肪酸を多く含む寒冷地の農作物より、オメガ3が少なくオメガ6系列のリノール酸などの脂肪酸が多い温暖地の農作物を人々が好んで食べるようになってきたことがあげられるでしょう。
昔は北方系の農作物を主に食べていた北欧諸国でも今では、貿易や運輸手段の発達で南方系の農作物の方がむしろ多くなっているのです。


いかがでしょう?
こういった様々な変化から、現代人にはオメガ3系の油が不足してしまいました。
そしてオメガ6の摂り過ぎやトランス脂肪酸などによる健康被害が起こるようになってしまったわけです。




さあ、今日の本題。
オメガ3の油を毎日の食生活に取り入れるにはどうしたら良いのかという話です。
もちろんお魚を食べるようにするというのも大事な一歩です。
養殖魚にはDHA、EPAはほとんど含まれないので、天然魚のイワシ、サンマ、サバからしっかり摂っていきましょう。

さてでは、その他に何か手軽にできるオメガ3の補給法はないのでしょうか?

実はオメガ3を豊富に含む油があります。
オメガ3を多く含む油として一番有名なのが、亜麻仁油でしょうか。
英語ではフラックスオイルと呼ばれ、アトピーやアレルギーの改善にサプリメントでも売られている程です。

フラックスオイルは、亜麻科亜麻属の植物である亜麻の種を搾った油のことです。
植物油でもっとも融点が低く、なんとマイナス14度と言われるほどです。つまり非常に柔らかい油ということですね。
亜麻は、ロシアや中国、オランダ、カナダなどの寒冷地域で栽培されています。種子が寒さで凍りついてしまわないように種子の中の脂肪が非常に柔らかいものになっています。
フラックスオイルの薬効は古代から知られており、太陽のエネルギーをもつ聖なる油としてエジプト、インド、ヨーロッパ、北アメリカなどで使われてきました。また魔法の薬と表現する専門家もいるほど、人間の身体に有効な油だと言われています。


その効果はさまざまな論文でも書かれていますが・・・

皮膚のアトピーが治る
血圧が下がる
糖尿病が良くなる
子供がキレなくなる
リウマチが良くなる
不妊症を改善する
肥満を予防する
免疫力を高める
脳の健康を維持する
・・・などなど

このようなオメガ3やフラックスオイルの効果を表した論文は、数多くあります。ホント、実際あり過ぎてここでは紹介しきれないくらいなので、また機会があったらここのblogでも載せていきたいと思います。


フラックスオイルが素晴らしいのは、オメガ3のα-リノレン酸がずば抜けて豊富に含まれていることです。
家庭で一般的に用いられている植物油にはオメガ6が1~75%含まれているのに対し、オメガ3は1~10%程しかありません。しかしフラックスオイルには、オメガ3が50%含まれており、オメガ6との比率が一般的な植物油とは正反対になっています。
オメガ6に偏っている現代人には、まさに最適な油ですよね!

フラックスオイル、医療の世界では、ガン治療のための食事療法(ゲルソン療法)で取り入れられたのが初めてだそうですが、今では栄養療法でこのフラックスオイルやDHA、EPAなどはよく使われています。

そうそう。注意点が一つあります。フラックスオイルは、熱に弱く、すぐ酸化してしまうので摂るときはそのまま頂いてくださいね。私はサラダにかけて食べることが多いですが、アトピーや乾癬の方は、毎日スプーンに1~2杯摂っている方もいます。
また保管は必ず冷蔵庫に入れてください。



さて、フラックスオイルの他にα-リノレン酸が豊富な油はないのでしょうか。

あります!

他にはシソ油やえごま油があげられます。
シソ油は、フラックスオイルよりは熱に強いので、長時間熱しなければ料理にも少し使えたりします。またフラックスオイルは、日本人にとって食歴がない(過去に食べたことがあまりない)ものなので、人によっては摂りすぎると下痢する人もいます。
そういった方やフラックスオイルの独特なクセや臭いが嫌いな方には、シソ油は良いと思います^^。


そして私の一押しが、グリーンナッツオイル(サッチャ・インカインチオイル)です。
このグリーンナッツオイルは、オメガ3を豊富に含み(50%)、また品質劣化を防ぐ天然のビタミンEが100g中200mgと高い割合で含有されています。天然のビタミンEが入っているところがミソですね。酸化防止剤などが無添加でも酸化しにくく、長持ちします。
そしてグリーンナッツオイルの抗酸化力は、今日紹介した他の油の2.5倍くらいあると言われています。
また2004年と2006年にはフランスのパリ・ウォルル食用油サロンで金賞を受賞するほど。
すごいです。

グリーンナッツは主にペルーのサンマルティン県タラポト市周辺の契約農家で化学肥料や農薬を一切使用しない有機農法で栽培されているそう。
私はこれらの中では一番おいしい感じがします^^。



さて、今日はオメガ3の少し突っ込んだお話と、オメガ3(α-リノレン酸)の豊富な油をご紹介しました。
是非、参考にしてみてくださいね。


それと、もしアレルギー症状や喘息、アトピーや乾癬などの皮膚の問題で使用する場合で、これらの油でなかなか改善が見られない時には、EPAやDHA、Fish oilやタラの肝油を使うようにしてみてください。
α-リノレン酸を体内でEPAなどに変換するには、δ-6-脱飽和酵素とδ-5-脱飽和酵素が必要なのですが、それらの酵素を作る時に必要となるビタミンB6、ビタミンC、ナイアシン、亜鉛などが不足している現代人は多いので、せっかくα-リノレン酸が多い油を摂っても体内でEPAさらに炎症を抑えるオメガ3由来のエイコサノイドを作り出すことができない場合があります。またトランス脂肪酸(後ほどのblogで紹介します)や飽和脂肪酸、過剰なアルコール摂取、糖尿病、老化などでもこの酵素の活性が落ちるそうなので、そういった場合も注意が必要ですね。


その他、アレルギー症状によく効くと言われているのが、月見草油(ボラージオイル)です。これはリノール酸系(オメガ6)から炎症を抑える側のプロスタグランジン1(リノール酸からは2種類のプロスタグランジンを作る過程がある)を作る際の過程にあるγ-リノレン酸というものなのですが、 人によってはこれを作る過程がうまくいかない場合があります。身体の調子が悪い人や栄養不足の人は、リノール酸をγ–リノレン酸に変えてくれる酵素がないので、PG1ができにくいのですね。そこでγ–リノレン酸を外から入れてあげると、PG1が合成されて炎症を抑えてくれるというわけなのです。しかし、こういった方の場合、リノール酸がエイコサノイドまで変換できず余りやすいので酸化の原因につながります。根本的には、リノール酸を減らしてオメガ3の油を摂ることや代謝能力をあげることが重要になります。

アレルギーなどの炎症に深くかかわる「プロスタグランジン」。この話は、その合成にγ- リノレン酸が関係しているというわけですが、プロスタグランジンには炎症を起こす悪玉と、炎症を抑える善玉があって、プロスタグランジン1とプロスタグランジン3は善玉、プロスタグランジン2は悪玉なのです。リノール酸からはプロスタグランジン1と2ができますが、この過程にγ-リノレン酸が深く関わっています。
ちなみにプロスタグランジン3になるのは、オメガ3系のEPAです。

ちょっと難しい話なので、またアレルギーのテーマの時にでもお話しましょうね^^。


とりあえず。今はオメガ3が大切だ!ということを覚えておきましょう^^。そして今日紹介した油を是非使ってみてください。



小菅一憲

CHIROPRATICA|健康の素晴らしさを伝える治療院


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by chiropratica | 2011-09-22 22:06 | 栄養(基礎編)

NO.261 脂肪 fat その4 「オメガ3 〜イヌイットに学ぶ〜」

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毎日忙しく過ごしているうちに、今週初めてのblog更新になってしまいました・・・。
しかもこの栄養編の話題はまとめることが多くて、なかなか進みません。
でも情報を漏れなく詰め込みたいので、がんばります。
少し更新に時間がかかるかもしれませんが、お待ちくださいね^^。

さて、今日はオメガ3の話。


オメガ3の重要性がわかってきたのは、イヌイットいわゆるエスキモーの食生活からでした。

以前、オランダやイギリスの研究者たちは、エスキモーは世界一脂肪の多い食事をしているのに、なぜ心臓病にならないのか首をひねっていました。
そこで1976年、研究者たちは、グリーンランドの僻地のエスキモーの調査に出かけました。
すると、彼らは依然として脂肪の多い伝統的な食事をしていました。

1年のほとんどが氷に覆われている北極地方に住んでいるエスキモーは、現代のように交通機関が発達する前、随分偏った食生活をしていました。氷の世界ですから、野菜や穀物はもちろんなく、食べるものは、アザラシやシロクマの肉ばかり・・・まさに肉食系の食生活でした。それは、生活をともにしている犬とほぼ同様の食生活だったと言えます。

健康を考え、コレステロールや動脈硬化の予防などのために、肉を控えている現代の考え方からすると、最悪な食事と思うかもしれません。
しかしエスキモーの人々には、現代の生活習慣病と言われる糖尿病、高脂血症、動脈硬化などはなく、心筋梗塞や脳梗塞にかかることは、ほとんど皆無でした。


このように肉食で、エスキモーは極めて多量の脂肪を摂っているのに、血液は粘っこくなく、血液のコレステロールや脂肪のレベルも正常で、その血小板も動脈の中でくっつきあったりする傾向が低かったといいます。また標準的な「出血時間テストをしてみても、彼らの血液は固まるのに非常に長い時間がかかりました。
このことは、エスキモーが心臓病になりにくく、彼らの動脈の中に血栓がないということを証明するものでもありました。


その後ある研究で、グリーンランドに住むイヌイットは心臓のトラブルが非常に少なく、それに対して、デンマークに移住したイヌイットでは、心臓系の病気がデンマーク人と同じくらいに増加していたことがわかりました。
そこで両者の血液を調べてみると、グリーンランドの先住民では、EPAがアラキドン酸とほとんど同じ比率(0.94)であったのに対し、デンマークに移住した先住民ではEPAの割合が極端に少なくなっており(0.02)、このことが原因で、心臓のトラブルが激増していたことが確認されました。
そしてこの違いは、グリーンランドではアザラシなどの海獣の肉を食べているのに対し、デンマークではいわゆる欧米型の食事をしているということだったのです。


なんと!

エスキモーが北極圏で食べていたのは、アザラシやシロクマ。
アザラシやシロクマというと、魚を食べて生きている動物です。魚というと魚由来の油であるEPAやDHAがありますよね。
みなさんもう想像つきますか?

そう。北極圏の先住民が食べているアザラシは、その海域にいる魚介類を捕食しますが、冷たい海に住む魚には特にオメガ3の油が豊富に含まれていて(EPAやDHA)それを餌とするアザラシなどの海獣も、必然的にオメガ3が豊富な体になるというわけ。
そうなのです!エスキモーの伝統的な食生活の中に多い魚や海棲動物に多く含まれているのが、多価不飽和脂肪酸オメガ3の脂肪(EPAやDHA)だったのです。アザラシはオメガ3が豊富だったわけですね^^。

これらの脂肪は海の生物、魚や海獣の細胞膜を透過性の高い細胞膜にし、体の組織を柔軟にし、さらに体温調節機能のために役立っています。そしてグリーンランドのような冷たい海では海の生物に必須の要素なのです。オメガ3の脂肪酸を食事で多く摂るエスキモーの血液の中には、同じようにオメガ3の脂肪酸が多くなっており、欧米人の何倍にもなっています。そしてエスキモーは、それのおかげかいわゆる生活習慣病はなく、心筋梗塞なども極めて少なかったのです。

これはすごい発見ですね^^。



さてでも、これは果たして民族的なものなのでしょうか。

いえいえ・・・魚や魚油の中のオメガ3の脂肪酸は、民族や年齢に関係なくすぐに身体の組織の中に取り込まれることが研究でわかっています。
前回のblogでお話しましたが、オメガ3から作られるエイコサノイドは、抗炎症性、血管拡張、血小板凝集抑制、免疫力増強、ガン抑制、アレルギー症状寛解の役割を持っています。オメガ3の豊富な食事をしていれば、血液はサラサラというわけで、イヌイットには、脳梗塞や心臓病が非常に少ないという結果は、当然と言えば当然でしょう。



さて。
現代人にはオメガ3が不足しているという話をずっとしてきましたが、このイヌイットの話を聞いてどう思いますか?
現代人に増えている心臓の病気やガンなどを予防できると思いませんか?


そうなんです。今オメガ6が摂り過ぎで、オメガ3が不足している現代人は、オメガ6の油を控えて、オメガ3の油を積極的に摂るようにすると驚くほど健康状態が変わってきます。
でもイヌイットのようにアザラシを生ではなかなか食べれませんよね。
もちろん魚を食べるということも重要ですが、魚は環境汚染や水銀などの悪影響も気になるところ。また魚に含まれるEPAやDHAは、本当に酸化しやすく普通にとるのはなかなか難しいのです(サプリメントならばとれる)。余程新鮮なうちに生で食べるとかなら良いのですが、焼くと酸化してしまいます。そこが難点ですね。


そういったところで、健康食品に詳しい人は知っていると思いますが、亜麻仁油(フラックスオイル)などの油が出てきたというわけです。
1968年の研究では、魚油と同じようにオメガ3の脂肪酸が多い亜麻仁油をサプリメントとして与えると、心臓病や心臓病関連の病気がずっと減ったことを報告しています。


せっかくなので、次回のblogでは、この亜麻仁油(フラックスオイル)他・・・オメガ3の油のいろいろについて話していきますね^^。


あ、そうそう、イヌイットに学ぶもう一つのことが、アザラシの肉を生のままで食べていたということです。
アザラシの肉に限らず、生の食品には、自らを分解するための酵素という物質が含まれていて、それを食べることで、体内で消化を助けてくれるということがあります。
生で食べるという食事にはLaw Foodという考えがありますが、これもこういった酵素を身体に取り入れることを重要と考えています。
酵素は結局消化の過程で分解されてしまうので、一番効果があるのは消化の部分だけだと私は思っていますが・・・。
ただ生だと栄養素の損壊も少なく、利点はけっこうありますよ〜。


そして補足ですが、オメガ3が重要という話をしてきましたが、逆の作用をするオメガ6ももちろん大事なので、このバランスが大切という話は何度もしましたよね。
EPAやDHAだけだと血管壁がもろくなりやすく、イヌイットには逆に脳溢血が多いという話も聞きます。またアラキドン酸が少なくても問題が起きることがあります。。

ここでも出てきましたが、バランスが重要ということです!
これは何度も強調しますが、どの食品もダメなものはないのです。一つの食べ物に偏って食べ過ぎることなく、バランスの良く万遍なく食べるのが健康の秘訣と言えるでしょう。



小菅一憲

CHIROPRATICA|健康の素晴らしさを伝える治療院


C-Magazine|カイロプラクター小菅一憲が提供する健康情報発信基地

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by chiropratica | 2011-09-16 19:55 | 栄養(基礎編)

NO.260 脂肪 fat その3 「オメガ6 ~リノール酸信仰~」

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今週頭のお休みに、大学時代の友人やその夫婦やらで、高尾山に登ってきました。と言っても目的は高尾山の上でやっている夏季限定のビアマウント。
当日は、あいにく、雨が途中で降ったりするような不安定な空模様。まあでも逆に涼しめで良かったかもしれません。
高尾山は低い山ですが、久々に山登りする私たちは、もう汗だくでしたから・・・笑。

久しぶりに会う仲間とこういうアウトドアでおしゃべりするのも楽しいものですね。
私はバカなのか、次の日も海へサーフィンという強行スケジュールでしたが、なぜか元気。
全身筋肉痛なのは、否めませんが、こうやって元気に動けるのも健康なおかげですね。

というわけで、今日は脂肪の第3弾。
オメガ6の油、リノール酸について知識を深めていきましょう!



リノール酸(オメガ6)が必須脂肪酸ということは、いままでのblogでもお話してきました。この「リノール酸」、日本では、40年前ほど前から欠乏すれば成長、生殖、皮膚の恒常性などに異常をきたすと言われてきました。
しかし、実はリノール酸の欠乏症は、未だ世界でも報告されたことがありません。
さらに無脂肪食を2週間投与した実験でも、リノール酸の欠乏症状は出ないことがわかっています。

またリノール酸は細胞成分のある全ての食品に含まれており、欠乏することはあまり考えられません。むしろリノール酸が欠乏する状態になる前に餓死してしまうだろうとも言われています。


ではどうして日本で、そんなにリノール酸が勧められてきたのでしょう?


というのも、とくに日本人がリノール酸不足に陥ることは考えられないのです。
日本人の食生活と切っても切れない「大豆」。大豆は多くのリノール酸を含んでいます。私たちは、味噌や醤油などの調味料を始め、豆腐、揚げ、納豆、高野豆腐、ゆば、きなこなど大豆から出来ている食べ物を日常的に摂取していますよね。
さらに、紅花油、ひまわり油、大豆油、米ぬか油、コーン油、なたね油など・・・普段調理に使っている油のほとんどがリノール酸系の植物油なのです。


こう考えていくと、リノール酸が不足することはあり得ないですよね。
むしろ、現代人に多いのはリノール酸の取り過ぎによる弊害の方だと言えるのです。



今では、リノール酸を取りすぎると、アレルギー(アトピー、喘息、鼻炎)、リウマチなどの自己免疫疾患、そしてガンなどの疾病も増えると言われています。

みなさんも最近アレルギーの人が増えたと思いませんか?
それはまさにリノール酸過多の影響とも言えるでしょう。
またガンになる人も増加の一途をたどっています。



リノール酸は体内でアラキドン酸に変換され、更にプロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサンなどの生理活性物質(エイコサノイド)に変換されます。ところがリノール酸系のエイコサノイドは多量に生産されると、白血球や血小板を必要以上に活性化させ、多量の活性酸素を放出することがあります。
その結果、炎症やアレルギーを発生させ、発ガンにもつながります。
たとえばトロンボキサンなどは、その強い血小板凝集作用によって、動脈硬化/血栓症に直接関わるのですね。

リノール酸の過剰摂取は、細胞膜でのアラキドン酸の必要以上の増加、またエイコサノイドの増加につながり、結果として各種疾患が増えていくことになるというわけです。



ここでエイコサノイドの復習をしておきましょう。
エイコサノイドとは、体内でアラキドン酸やEPA(エイコサペンタエン酸)から作られる生理活性物質でカラダの働きを調節するものです。エイコサノイドは、自律神経系や、免疫系、ホルモン系をコントロールし、オメオスタシス(生体内恒常性)を正常に保つ働きがあります。環境適応能力、自然治癒能力が正常に働くためにはエイコサノイドの働きが欠かせません。


食事:
リノール酸(n-6系) → γリノレン酸 → ジホモ-γ-リノレン酸(→PG1系列) → アラキドン酸(→PG2系列)

食事:
α-リノレン酸(n-3系) → イコサペンタエン酸「EPA」(→PG3系列) → ドコサヘキサエン酸「DHA」



このようにアラキドン酸は、動物性食品に含まれますが、リノール酸系(オメガ6)の油からも体内で合成され、EPAは魚に含まれる油ですが、α-リノレン酸系の油(オメガ3)からも合成されます。

そして、これらの必須脂肪酸から合成されるエイコサノイドのプロスタグランジン(PG)は、炎症や免疫など、健康維持の要となるさまざまな機能の調節に関わっているのですね。
PGは必要量が体内で作られますが、細かくは3つに分けられ、1グループ(PG1)はジホモ-γ-リノレン酸から、2グループ(PG2)はアラキドン酸から、3グループ(PG3)はEPAから作られます。
この中で、PG1とPG3は善玉で炎症を抑える側、PG2は炎症を促進して免疫機能を低下させると言われています。
それなので、その前段階のリノール酸(オメガ6)とα–リノレン酸(オメガ3)の摂取バランスが重要になるわけです(4:1が理想)。

ちなみに、これらが合成される際の合成酵素(リノール酸とα–リノレン酸をエイコサノイドに変えていく酵素「δ-6-脱飽和酵素」)が共通なので、お互い競合関係にあり、多すぎる系列の油を控えないと不足する系列の必要なエイコサノイドは作られにくくなるという特徴があります。だからリノール酸を摂りすぎると、せっかくα–リノレン酸を摂っても意味がなくなってしまう(エイコサペンタエン酸まで合成されにくくなる)わけ。簡単に言えば酵素の取り合いをしている状態なのです。

前回のblogで言っていたリノール酸を極力減らして、α–リノレン酸を摂ろうという趣旨がこれでわかって頂けたでしょうか?



オメガ6系(リノール酸)のエイコサノイド(PG2)
⇒ 炎症性、血管収縮、血小板凝集促進、免疫力低下、アレルギー症状増悪

オメガ3系(α-リノレン酸)のエイコサノイド(PG3)
⇒ 抗炎症性、血管拡張、血小板凝集抑制、免疫増強、がん抑制、アレルギー症状寛解


エイコサノイドはホルモンに似た物質で、オメガ6とオメガ3が体内で拮抗的、競合的に働いて体の働きを調節しています。(プロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサンなどなど)






最近では、リノール酸の害は子供にすら及びます。
1985年における日本人の母乳中におけるリノール酸は、15%前後で米国と並んで高くなっています。リノール酸の割合が8%以下のオーストラリアやスウェーデンでさえもアレルギー過敏症などの害が出始めているということなので、日本で今どれだけ増えてきているか想像もつかないですよね。
なにせアメリカでは母乳中のリノール酸の割合が、1953年から1983年の30年間で倍にも増えているそう。
怖いのは育児用ミルクに20%程のリノール酸が含まれていることです。

脂質栄養学会でも、まず第一段階として、育児用粉ミルクのリノール酸の割合を母乳レベルにまで下げることを提言し、現在の日本人母乳におけるリノール酸が高いことが、アトピー性皮膚炎を増やす一因となっていると述べています。
事実、リノール酸摂取の削減を治療の柱とした小児アトピーの治療法が功を成しているようです。
また母乳のリノール酸含有量は、母親の食品の選択によって大幅に変わります。
コーン油を主とした食生活を1週間続けると20%となり、バターに変えると9%台まで下がるといいます。

なんとかリノール酸過多になっている現代人の食生活を変えていかなければ、ますます健康被害が増えると言っても過言ではないでしょう。





日本でここまでリノール酸を摂るようになったのはなぜなのでしょう?
実はそれにはわけがあります。

1960年代半ば、日本では、動物性脂を減らしてリノール酸系の植物油を増やそうという栄養指導が始まりました。
みなさんの中にもリノール酸が身体に良いと見聞きした覚えのある人もいるのではないでしょうか?
それだけ国が積極的に奨励していたということなのですが、これは、動物性脂が植物油に比べて、動脈硬化のリスク要因となる血液中のコレステロール値を2倍に高めるという実験結果から導き出したものでした。
しかし、このもととなった実験自体がそこまで信憑性のないものであり、その後の研究では、長期的にみればコレステロール値に差が出ないことが明らかになっています。

このような国の指導から、食品にはリノール酸系の油が溢れ、食卓でも調理油にはなるべくリノール酸系の植物油、そしてパンにつけるのもバターからマーガリンと変わっていきました。
紅花油やサフラワー油などを販売している会社の販売員は、その当時から実はリノール酸の害をわかっていました。しかし私たちは、テレビでリノール酸の良さやサフラワー油の宣伝が果敢にされていて、洗脳されてしまったのです。
またα–リノレン酸は、その当時栄養的な評価が低く、そこまで大事に思われていなかったのです。
とくに非常に酸化しやすいので、油脂製品メーカーは、品種改良によってできるだけα–リノレン酸の少ない商品を作ろうとする傾向があり、製法の工夫によって精製加工の段階で取り除かれてしまったのです。(現代の多くの植物油は、脱臭、漂白、高熱処理、アルカリ精製などの工程を経て、ビタミンEやβ–カロテン、酵素などもほとんどすべて取り除かれています。食用油と言って良いのやら・・・)
そして大豆も以前はα–リノレン酸もある程度含んでいたのですが、今ではリノール酸の含有量に多い輸入大豆が多くなっています。
また食の欧米化により、お魚を食べる頻度も減ってきたというのもリノール酸に偏った生活になるのには一躍かっているのではないでしょうか?


コレステロールについても間違った誤解がありました。
40年前からリノール酸を取ると、血清コレステロールが減ると言われてきました。これもリノール酸信仰の元となっていますよね。確かにリノール酸をとると、コレステロールは一時的に下がるのですが、今では下がるのはHDL(善玉)コレステロールだということが分かってきています。
まあそれ以前にコレステロールは低ければ良いとは言えないのすが・・・。
(全国的な研究によると、コレステロールは240mg/dl以上の方が死亡率が低くなっています。女性ではコレステロール値と死亡率に関連はなく、男性に至っては、低ければ低いほど死亡率が高くなっています)




一つの研究を紹介しましょう。

フランスで行われた心筋梗塞にかかった人に対して、2次予防を目的として行った実験ですが、α–リノレン酸(オメガ3)を増やして、リノール酸を減らすことを基本とした食事療法をしているグループ(A)と、普通食のグループ(B)を比べました。

そうするとAグループは、総コレステロールが低下しなかったという結果にもかかわらず、総死亡率は7割も減少し、(2年3ヶ月後)、4年目では総死亡率44%、心臓病死35%と驚異的に減少。ガン患者の発生も、A2名、B12名と、Aの方が断然少ない結果でした。

あまりにも画期的な報告に、世界中から大きな関心が集まって、研究は4年間の予定でしたが、途中で科学委員会の要請で、平均2年3ヶ月で結果が発表されたそうです。
また1991年にフィンランドで行われた15年にわたる調査では、リノール酸がむしろ心臓病のリスクを高めることも明らかになっているのですね。

日本以外でも、イスラエルでは最近までリノール酸が良いと信じられ、その摂取を推奨していたため、先進国の2倍量のリノール酸を摂取していました。その結果、心臓血管系疾患、高血圧、糖尿病、肥満、ガン等の発症率が増え、総死亡率の上昇が問題となっています。
しかし、同じ地域に住む反ユダヤ人(アラブ人、ドリューズ人などで、オリーブ油を摂取している)との比較では、循環器疾患の死亡率では2倍、ガン死亡率では3倍程の差が出ているそう。

リノール酸の取り過ぎの害がかなり大きいのがわかりますでしょうか?




リノール酸信仰がいまある「メタボ社会」の一要因を作ってしまったとも言えます。
しかもいまだに国は、日本人の食事摂取基準でオメガ6を控えるようにという表現をわずかに組み込んだだけになっています。
オメガ6もカラダには必要な油ですが、オメガ3とうまくバランスが取れてこそ、カラダに有益な働きをしてくれると言えますよね。



ここ数年、世界最先端の分子栄養学でもリノール酸の過ちを認め、日本でも脂質栄養学会が日本人のリノール酸摂取量を減らす栄養指導を勧めたり、原材料名としての食用油脂の表示をいままでの「植物油脂、動物油脂、加工油脂など」から油種名をあらわす食品名「大豆油、オレイン酸、紅花油、大豆硬化油など」の表示とするように進めていくなど、時代は変わってきています。

しかし、このことをどれだけの人が知っているでしょうか?
まだ全国民が知るには到底間に合っていない状況です。

このblogを読んだ人は、是非リノール酸信仰はやめて、油の生活を考え直してみてくださいね。
リノール酸過多になっている人が、油の摂取を変えるだけで身体の調子はかなり変わってきます。コレステロールの値も変わってきますし、アレルギー反応も起こりずらくなります。



余談ですが・・・

体に脂肪がつきにくいと発売された健康志向の「エコナ」。これはメーカーがリノール酸が悪いことを隠して、ジアシルグリセロールや短鎖脂肪酸などを表に出して売ってきたものです。
ジアシルグリセロールとは、グリセリンに2本の脂肪酸が結合したもの。一般の食用油はグリセリンに3本の脂肪酸がエステル結合したトリアシルグリセロールが主成分になっていますが、トリアシルグリセロールは体内に吸収後、血中中性脂肪として全身に回り、利用されなかった中性脂肪は体脂肪として蓄積されます。一方ジアシルグリセロールは構造が異なることから吸収後に血中中性脂肪が上昇しにくいとされているのですね。
このような非常に代謝しやすいジアシルグリセロールが高濃度(80%)で入っているエコナの油は、脂肪が付きにくいとされているわけです。ちなみに、ジアシルグリセロールは、一般の食用油にも、数%程度含まれています。
しかし、天然のものにはあまり含まれていないこのようなジアシルグリセロールを人工的に作ってしまうことは、果たして良いのでしょうか?

現に今、主に油脂の製造工程(脱臭過程)において副成されるグリシドール脂肪酸エステル(発ガンの可能性がある?)を多く含むとしてエコナは販売中止になっていますよね。

なによりリノール酸ってこと自体でもう良くはないのですが・・・。



もう一つ余談・・・

健康志向の方に多いのですが、大豆の取り過ぎでリノール酸過多になっている場合もあります。そういった場合は、大豆製品を摂るのをやめてもらい、調理油をリノール酸系からバターやオリーブオイルに変えるだけでもまったく体調が変わってくる人もいます。
大豆は、良質のタンパク質源、そしてイソフラボンなどを含み、健康ブームの現代ではまさに健康食材という認識ですよね。欧米でも健康のために大豆を積極的に摂取しようと言われています。
もちろん大豆は日本人にも欠かせない食材です。
しかし、リノール酸過多になっている一部の人にとって大豆の摂り過ぎは、健康に貢献というよりも害になる可能性もあります(あくまでリノール酸過多の人にのみ当てはまります)。


〈食品可食部100g当たり脂肪酸組成(mg)〉

国産大豆:
飽和脂肪酸  →  2,634mg
(パルミチン酸、ステアリン酸など)   
オレイン酸  →  3,551mg
リノール酸  →  8,668mg
リノレン酸  →  1,817mg

米国産大豆:
飽和脂肪酸  →  3,216mg
オレイン酸  →  4,187mg
リノール酸  →  10,029mg
リノレン酸  →  1,599mg

(アミノ酸&脂肪酸組成表より)


要は、どんな食材も摂り過ぎは良くないということ。
そして何でもバランス良く食べることが非常に重要だということです。



小菅一憲

CHIROPRATICA|健康の素晴らしさを伝える治療院


C-Magazine|カイロプラクター小菅一憲が提供する健康情報発信基地

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by chiropratica | 2011-09-09 00:14 | 栄養(基礎編)

NO.259 脂肪 fat その2 「オメガ3とオメガ6のバランス」

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健康に詳しい人なら、オメガ3の油のことは話に聞いたりするのではないでしょうか?
今日はそのオメガ3とオメガ6の油についてのお話です。


動物性脂に対して、おもに菜種やコーン、紅花、亜麻などの植物性の油に多く含まれる脂肪酸を「不飽和脂肪酸」と言います。
これは炭素が連なった鎖に水素がところどころ抜け落ちて「穴」ができている構造から、「水素が飽和していない脂肪酸」という意味です。

前回のblogでもお話しましたが、不飽和脂肪酸は、その構造上、2つのグループに分けられます。水素の穴がひとつだけあるものを「一価不飽和脂肪酸」、水素の穴が複数あるものを「多価不飽和脂肪酸」といいます。
オリーブオイルに多く含まれる「一価不飽和脂肪酸」に対し、「多価不飽和脂肪酸」には2種類あり、炭素の鎖の先頭(カルボキシル基)から数えて6番目の炭素に水素の穴があいているものを「オメガ6」、3番目に水素の穴があいているものを「オメガ3」といいます。



オメガ6の中で、一番知られているのが「リノール酸」です。
リノール酸は、不飽和脂肪酸の中の一つで、紅花(サフラワー)油やサラダ油、ひまわり油、コーン油、ゴマ油、綿実油に豊富に含まれています。
一般的に家庭で使われている油の多くがこの「リノール酸である」ということがおわかり頂けるでしょうか?
その他、フライドポテトやスパゲティ、カップラーメン、スナック菓子、ドーナツ、カレーライス、天ぷら、ドレッシング、マヨネーズなど、ありとあらゆる加工食品に利用されています。

一方、オメガ3の代表となる脂肪酸が、サバやイワシなどの青背の魚に多い「エイコサペンタエン酸(EPA)」と「ドコサヘキサエン酸(DHA)」、そして亜麻仁油やシソ油に多い「α―リノレン酸」です。


オメガ6とオメガ3は、どちらも細胞膜の材料になることは共通していますが、オメガ6は主にアラキドン酸、オメガ3は主にEPAという物質に転化した形で細胞膜を構成していきます。
おもしろいのは、オメガ6とオメガ3がまったく正反対の働きをすること。オメガ6は細胞膜を硬くするのに対し、オメガ3は柔らかくするのです。


細胞膜は、細胞内に酸素や栄養素を取り込んだり、細胞内で発生した老廃物を排出したり、細胞同士の情報を伝達したり、有害物質の侵入を防止するなど、私たちが生きるうえで基礎となる大切な機能を持っています。
もしもオメガ6に偏った食事をすれば、細胞が硬くなり、動きに柔軟性がなくなって栄養素や老廃物などのやりとりがスムーズに行われにくくなるかもしれません。逆にオメガ3ばかり摂っていれば(現代ではあまりあり得ないですが・・・)、細胞膜に張りがなくなるかもしれません。
要は、両者のバランスがうまく取れて補いあっている状態がベストと言えますね^^。


またその他にもこのオメガ6とオメガ3の相反する働きがあります。
これが一番注目するべきところなのですが、オメガ6とオメガ3からそれぞれつくられるエイコサノイドが相反する作用をすることです。
エイコサノイドとは、限られた部分でホルモンのようにさまざまな体内機能に作用することから「局所ホルモン」とも呼ばれていますが、トロンボキサン、プロスタグランジン、ロイコトリエンといったいくつかの種類があります。
たとえば、転んで出血が起こるとオメガ6、アラキドン酸由来のトロンボキサンが増え、血液を固めて止血しようとします。また、血栓ができそうになると、今度はオメガ3、EPA由来のトロンボキサンが作られて血液を流れやすい状態にします。
またアラキドン酸由来のプロスタグランジンは炎症を促進しますが、EPA由来のプロスタグランジンは炎症を抑える働きがあります。
そして、アラキドン酸由来のロイコトリエンは気管を収縮するのに対し、EPA由来は弛緩することになります。
(病気が嫌なら油を変えなさい 山田豊文 引用)



これらの働きは、身体の中で発生する異常事態に柔軟に対応するうえで非常に大切なことなのです。
また両方の機能がしっかり働くためには、これらの材料となるオメガ6とオメガ3をバランスよく摂ることが大切になりますね^^。


みなさん大分わかってきたでしょうか?


一般に、オメガ6とオメガ3の理想バランスは、4対1が適切であると言われています。
しかし、現代人のほとんどが、オメガ6とオメガ3の食事バランスが10対1、あるいは50対1という、とんでもない比率になっており、これこそが様々な現代病を引き起こす大きな問題となっているのです。


たとえば、現代人にアレルギーが多くなってきたのも、オメガ6の摂り過ぎで炎症反応が過剰に起こるようになったからでしょう。
またオメガ6のリノール酸が増えすぎると、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めると言われています。
これはリノール酸が増えて、体内のアラキドン酸由来のエイコサノイドが増えることと関係しています。アラキドン酸由来のエイコサノイドのひとつであるトロンボキサンは、血液を凝集する働きがあるため、血液がドロドロになります。このため、血栓ができやすくなってしまうわけです。脳梗塞や心筋梗塞以外にも、高血圧、狭心症、喘息、リウマチといった慢性疾患や生活習慣病、ガンなど、ほとんどの病気がこのオメガ6系のリノール酸から作られるエイコサノイドと深くかかわりあっています。


この中でとくに注目してほしいのが、オメガ6系から作られるエイコサノイドは、炎症を促進する役割があるということです。
皮膚のトラブルや花粉症、慢性的な鼻づまりなどは、アレルギー性のものが一般的ですが、おもなアレルギー反応のひとつに炎症があります。私たちの身体は血液の量を増やしたり、血管の浸透性を高めたりといった炎症反応を通して異常事態から身体を守ろうとします。これが腫れやかゆみ、くしゃみといった不快な症状につながっているわけですが、炎症反応は、体内でつくられるいくつかの物質が介在することによって生じていることが知られています。
これらの物質がエイコサノイドで、その一部が体内の「油」を原料に作り出されているわけなのです。


通常、オメガ6から作られるエイコサノイドにより、様々な炎症反応が促され、異常事態が解決すればオメガ3由来のエイコサノイドがそれを鎮めるといったように両者がバランスよく作用し、身体を守っているわけですが、もし、オメガ6の油を頻繁に摂取しているとどうでしょう?
本来身体を守ろうとするために生じている炎症反応が治まる気配をみせず、必要以上に続いたままになります。いわば「高炎症状態」に陥るわけです。

以前のblogでも触れましたが、身体の炎症状態が続くことは危険なことです。
体内が常に高炎症状態にあるとガン細胞の増殖を促してしまうことも言われています。
先ほどのアレルギーの症状以外にも、アトピー性皮膚炎や副鼻腔炎、関節炎、肺炎、腎炎、肝炎、すい炎、大腸炎、虫垂炎など・・・「~炎」と名のつく健康上の問題の全てに関わると言ったら、とても広範囲ですよね。




痛みや熱があるとき、医師は非ステロイド系抗炎症薬やステロイドホルモンを利用します。この薬はオメガ6系のアラキドン酸がプロスタグランジンに変換させるのを抑制する薬です。同時にトロンボキサンへの合成も抑えるため、心筋梗塞、脳卒中の予防に非ステロイド系抗炎症薬の一つアスピリンがよく利用されているわけです。
また多くの抗アレルギー薬は、アラキドン酸から、ロイコトリエン等が合成されるのを抑制するものです。
そしてさらに炎症/アレルギーからガンの治療にまで使われるステロイドホルモンは、エイコサノイドの元となるアラキドン酸の細胞膜からの遊離を抑えることにより、作用を発揮していきます。
このように見ると、病気の発生や炎症に、オメガ6系アラキドン酸由来のエイコサノイドが深く関わっていることがよくわかります。


また最近の化学では、身体の中ではリノール酸が一番過酸化を受けやすいということがわかってきました。空気中では、通常オメガ3系のDHAやEPAなどが一番酸化しやすいと言われていますが、水中では過酸化の過程が違うそうです。
脂肪酸を構成しているのは炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の3元素ですが、炭素同士の結合に二重結合を含まないものが「飽和脂肪酸」、含むものが「不飽和脂肪酸」でした。二重結合とは、一言で言えば「不安定な状態」で、二重結合がないとかたい(固体)の油となり、二重結合があると、液体などのやわらかい油になります。そして不飽和脂肪酸の中で二重結合が1つしかないものを一価不飽和脂肪酸と呼び、2つ以上あるものが多価不飽和脂肪酸でしたが、リノール酸は炭素の二重結合が2つで、α–リノレン酸は炭素の二重結合が3つあります。

このことからもオメガ3系の方が酸化しやすいことがわかりますよね。

しかし、最近わかったのは身体の外ではオメガ3系が酸化しやすいのに、身体の中のように水っぽいところでは、リノール酸の方が酸化しやすく、DHA、EPAが一番安定していると言うのです!

これはびっくり。

脂肪酸を酸化させるような条件下で行った実験では、水溶液の中でリノール酸は一日で酸化し、DHAは1ヵ月たっても問題なく安定していることがわかりました。
もし、リノール酸が多すぎて余ってしまうと、代謝がうまくいかず酸化してしまいます。動物性食品からとったアラキドン酸の方が、リノール酸より20倍エイコサノイドに変換されるということを考えると、摂り過ぎのリノール酸が余りやすいのも納得がいきます。とくに身体の調子があまり良くない人は、リノール酸をなかなかアラキドン酸まで変換できません。こうして余ったリノール酸は酸化し、ガンのもとになります。
酸化した油は様々な悪さをすることは想像つきますよね。



長くなりましたが、こういう風に見ていくと、リノール酸系(オメガ6)の植物油を摂り過ぎなければ、多くの病気が消失することがわかります。
現代社会では、オメガ6の食品が溢れかえっています。しかし、オメガ3の摂取源は一部に限られ、摂取量がかなり減少していると言えるでしょう。
このような状況下で、みなさんは、驚くほどにオメガ6(リノール酸)過多に陥っているかもしれません。


参考までに・・・
〈食品可食部100g当たり脂肪酸組成表(mg)〉

ごま油         :リノール酸 42,022 リノレン酸 563
米ぬか油        :リノール酸 33,269 リノレン酸 1,273
サフラワー油      :リノール酸 72,274 リノレン酸 189
大豆油         :リノール酸 49,854 リノレン酸 7,473
サラダ油        :リノール酸 29,453 リノレン酸 9,346
トウモロコシ油     :リノール酸 47,319 リノレン酸 1,406
なたね油        :リノール酸 20,536 リノレン酸 10,174
綿実油         :リノール酸 53,543 リノレン酸 471 

(アミノ酸&脂肪酸組成表より)


油の話は、知ると怖くなりますが、この摂り方を変えるだけで身体の体調はだいぶ変わります。
私もアレルギーの患者さんには、かならず油の摂り方についてのアドバイスをしますが、これによってアレルギー症状がかなり軽減しています。


ポイントは「オメガ6をしっかりと控えて、オメガ3を積極的に摂取していくこと!」です。

この話はちょっと長いので、また次回も続けてやっていきますね^^。



小菅一憲

CHIROPRATICA|健康の素晴らしさを伝える治療院


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by chiropratica | 2011-09-05 10:15 | 栄養(基礎編)

NO.258 脂質 fat その1 「脂肪は悪者ではない」

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さて、今日から脂質のお話がスタートです。

一般的に脂肪というと健康や肥満の敵。健康のためには油はあまり摂らない方が良いというのが、みなさんのイメージですよね。
油は長い間、病気の根源であるように言われてきました。低脂肪・低カロリーを謳った商品が売れ、「油は健康とは相反するもの」「油は摂らない方が良いもの」という間違った考えが常識とされてきたのです。

しかし、無脂肪食で育てられたネズミが、「成長が止まる」、「子供が出来ない」、「しっぽの皮膚がうろこ状になってしまう」、などの問題を抱えるのは、それだけ脂肪が重要な栄養の一つだからです。

これらの問題は、成長ホルモンが分泌されなくなる、女性・男性ホルモンが出なくなる、細胞膜の成分が供給されなくなるなどのことから起こっているわけですが、これら全てに脂質という栄養が関わっているとしたらみなさんビックリされるでしょうか?
もちろんこのことは、人間にも言えます。脂質をバランス良くに摂らないと成長障害やアトピーなどの問題も増加します・

実は、こういった問題には脂質の中でも特に「コレステロール」と「多価不飽和脂肪酸」が重要となります。このテーマではこのことについてじっくり話していきましょうね。


私もたまに海外の論文を読みますが、アカデミックなところでは脂肪の大事さを示す論文を多く見かけます。
それだけ油(脂質)の摂り方は、大事なのです。油(脂質)は、私たちの大切なエネルギーとなる無二の栄養素といえるでしょう。


さて、では脂質のことについて少しずつ解明していきましょう!




脂質はタンパク質や糖質と並ぶ3大栄養素の一つです。
生命の維持に欠かせない栄養素の一つである脂質は、体脂肪として体温を保つのを助けたり、筋肉や臓器を衝撃から守るクッションの役割を果たすほか、細胞膜、血液などの構成要素にもなります。

一つずつ見ていきましょうか。

まず脂質は細胞膜などの生体膜を形成します。
細胞膜は、栄養素を取り込んだり、老廃物を排出したり、細菌やウィルスの侵入を防ぐ、そして細胞同士の情報を伝達する、ホルモン様物質の材料になるなど、私たちが生きていくうえで基本となる大切な役割をもっています。

次に、脂質はエネルギー源として働きます。
成人の場合は、まっさきに使われるエネルギーはご飯やパンなどの糖質ですが、糖質がなくなってくると脂質からエネルギーを補うようになります。糖質に比べて4倍くらいのエネルギー量を持ち、効率の良いエネルギー源でもあるのです。

ほかには、脂質は、熱の発散を防いで体温を保ったり、太陽の光を利用してビタミンDを合成したり、脂溶性ビタミンA、D、E、Kなどの吸収を助けたりします。
またみなさんが毛嫌いする体脂肪も実は必要です。内臓を支えたり外の衝撃から守るためには、しなやかな筋肉とともに、脂肪もある程度は必要なのですね。

またコレステロールもこの脂質の一種というとみなさんは敬遠しがちだと思いますが、コレステロールは身体で必要なホルモンの材料になったり、脳の構成物質としても非常に重要なものです。最近の研究ではコレステロールを取ると神経の伝達スピードが早くなり、頭が良くなることも分かっています。




脂質は、科学的な構造によって「単純脂質」「複合脂質」「誘導脂質」の3つに大別されます。
簡単に紹介しておきましょう。

〈単純脂質〉
脂肪酸とアルコールが結びついたもの。アルコールの種類によって、中性脂肪(脂肪酸とグリセロールが結合したもの)と蝋(脂肪酸と炭素数の多いアルコールが結合したもの)に分類されます。
中性脂肪はありすぎると問題になりますが、必要に応じて体のエネルギー源となります。

〈複合脂質〉
単純脂質がリンや糖、タンパク質などと結びついたもの。エネルギー源にはなりませんが、細胞膜の構成成分となるなど、重要な役割を担っています。

〈誘導脂質〉
単純脂質と複合脂質のどちらにも分類されない脂質を呼びます。
この仲間にはコレステロール、脂質性ビタミンなどが含まれ、コレステロールはホルモンの合成など大切な役目を果たしています。






さて、突然ですが、実は私たち現代人は、「油」が不足しています。

現代人は揚げ物や加工品ばかり食べているから、むしろ摂り過ぎているので?という声も聞こえますが、日頃みなさんが「油」と思っているマーガリンやショートニング、精製油などは本物の油ではありません。
問題になるのは、油の種類とその摂取バランスにあるのです。
私たちには、本物の「油」が不足しています。



ではどのような油を食べれば良いのでしょう?

油(脂質)は、体の中に入ると「脂肪酸」になります。脂質は、炭素、水素、酸素が結合した「脂肪酸」によって構成されているのですが、その組み合わせによって、いくつかに分類されているのですね。
まず二重結合があるかどうかによって大きく「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」分けられます。
牛肉や豚肉、乳製品などの動物性の脂肪、パーム油、ヤシ油、バター、ラード(豚脂)、ヘット(牛脂)は「飽和脂肪酸」が多く含まれ、ベニバナ油やコーン油、ゴマ油、サフラワー油、オリーブ油などの植物性の脂肪、魚の油などは「不飽和脂肪酸」が多く含まれています。
そして、「不飽和脂肪酸」は、化学構造の違いから、「オメガ3」「オメガ6」「オメガ9」とさらに細かく分類されます。いくつの二重結合を持つかによって「一価不飽和脂肪酸」(オメガ9)と「多価不飽和脂肪酸」に分けられ、多価不飽和脂肪酸は二重結合が2つある「リノール酸」(オメガ6)、3つ二重結合がある「α–リノレン酸」(オメガ3)などに分けられるのです。

これらの油にはそれぞれ特徴があり、調理法によって使い分けたり、食べるバランスを考えることで、健康な身体に貢献してくれます。

ちょっと難しいので、一つずつ見ていきましょう^^。




飽和脂肪酸
水素がそれ以上結合する余地のない脂肪酸 ⇒ 主に動物性の脂

飽和脂肪酸は、炭素の鎖にぎっしりとくっついている構造になっているため、「水素が飽和状態でくっついている脂肪酸」という意味なのですね。
飽和脂肪酸を豊富に含んだ食べ物には、牛や豚、羊などの脂身、バターなどの乳製品があります。また、植物性の油でも、ココナッツ油、パーム油、ヤシ油、綿実油などには飽和脂肪酸が豊富に含まれています。

飽和脂肪酸の最大の特徴は、融点が高く、劣化しにくいことです。油は本来、熱を加えると酸化して質が悪くなります。ですので、揚げ物や炒め物など高温調理する場合には、飽和脂肪酸の油を使うのが良いということになりますが、飽和脂肪酸はあまり評判がよくありません。これは摂りすぎると中性脂肪などを増やしてしまうということがあります。

しかし、人乳を見てみると、飽和脂肪酸が40%(パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸)、一価不飽和脂肪酸が40%(オレイン酸)、多価不飽和脂肪酸が20%(リノール酸、EPA、DHAなど)と、人体には飽和脂肪酸も大事なことがわかりますね^^。


不飽和脂肪酸
水素がまだ結合する余地(二重結合)のある脂肪酸 ⇒ 主に植物性の油、魚油

不飽和脂肪酸は、さらに「一価不飽和脂肪酸(n-9系)」と「多価不飽和脂肪酸(n-3系、n-6系)」とに分けられます。
ちなみにn-9系脂肪酸はオメガ9とも呼ばれますが、不飽和結合が1つしかありません。そのため一価不飽和脂肪酸なのです。一方オメガ3系(n-3系)脂肪酸、オメガ6系(n-6系)脂肪酸は不飽和結合の数が複数あります。そのため多価不飽和脂肪酸と呼ばれるのですね。さらに不飽和結合している場所の違いによってオメガ3系(n-3系)脂肪酸、オメガ6系(n-6系)脂肪酸、オメガ9系(n-9系)脂肪酸とに分けられています。ω炭素の側から数え始めて最初の不飽和結合している炭素が3番目の脂肪酸をオメガ3系(n-3系)脂肪酸といいます。6番目だとオメガ6、9番目だとオメガ9です。

オリーブ油は「一価不飽和脂肪酸」、サフラワー油、魚の油は「多価不飽和脂肪酸」の割合が高いといえます。実は、この不飽和脂肪酸の摂り方のバランスが非常に重要になってきます。



不飽和脂肪酸について代表的なものを下にあげておきますね^^。



α-リノレン酸(n-3系)
シソ油、エゴマ油、亜麻仁油に多く、血液をさらさらにして動脈硬化を予防します。また体内で炎症を抑える物質に変換されます。ただ酸化しやすいという欠点があります。

EPA、DHA(n-3系)
マグロ、イワシ、サバなど青背の魚に多く含まれます。悪玉であるLDLコレステロールや中性脂肪を減少させ、善玉のHDLコレステロールを増やし血液をさらさらにします。α-リノレン酸同様、酸化しやすいので注意しましょう。

リノール酸(n-6系)
血清コレステロール低下作用があります。ただ善玉コレステロールを下げてしまうこともわかってきました。過剰摂取では、乳癌や結腸癌の成長を促進したり、アレルギーを誘発します。また心臓に影響を与えたりします。コーン油や紅花油、ひまわり油などの調理油に多く含まれます。

オレイン酸(n-9系)
オリーブ油に多く含まれます。悪玉のLDLコレステロールのみを低下させるという利点があります。またオリーブ油には抗酸化作用のある成分が含まれているので酸化しにくいと言えます。




多価不飽和脂肪酸の中の「α‐リノレン酸(n-3系)」と「リノール酸(n-6系)」は、どちらも体内で合成されないため食事から摂る必要がある「必須脂肪酸」と言われています。一般的な脂肪酸は体内で合成したり、他の脂肪酸に転換することも出来るのですが、必須脂肪酸は体内で合成も転換もできないものなのです。ただ、同じ系列の中では、n-3はエイコサペンタエン酸に、n-6は、ジホモ–γ–リノレン酸に変換やアラキドン酸に合成されて、生理活性物質(エイコサノイド)に変換されます。またこの点は次回以降に詳しくやっていきますね^^。

多価不飽和脂肪酸(n-3やn-6)とは・・・
→ 生命維持に欠かせない必須脂肪酸
→ 細胞膜の流動性、柔軟性を保つ
→ 生理活性物質(エイコサノイド)の前駆物質になる



最近では、この必須脂肪酸の摂取比率が崩れるとアレルギーや炎症疾患のリスクが高まることが分かっています。n-3系:n-6系の摂取比率は1:4がベストだと言われていますが、食生活の欧米化やファーストフードの台頭で現状は1:14と大きく崩れています。

健康のためには、n-6系の調理油を控え、魚の油、亜麻仁油などでn-3系の摂取量を増やすことが重要になってくるのですが・・・。そしてここがこのテーマで、私が一番お話したいポイントなのです。

次回はこのn-3系とn-6系のバランスについてのお話をしていきましょう^^。



小菅一憲

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by chiropratica | 2011-09-03 00:12 | 栄養(基礎編)

まじめ日記 米粉の可能性〜小麦グルテンフリーな生活〜/chiropratica 小菅一憲

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今日から9月ですね!
前回からなかなかblog更新ができずにいましたが、今日はみなさん興味深い話だと思いますよ~。
さて行きましょう!


先日、患者さんから米粉で出来た麺を頂きました!
これがなかなかどうして美味しかったんです^^。

この方は、小麦グルテン過敏症から来る症状をお持ちだったので、私が勧めた小麦抜きの生活を実践していらっしゃる方です。
小麦抜きの生活は、並大抵の努力じゃあできません。何せ現代人の食事にはほとんどに小麦が含まれていますから。
特に女性はパンやパスタ好きな方が多くて、小麦を抜くとなると相当な決意が必要。そういった時にこの「米粉」は多いに助けになってくれるかもしれません。


最近米粉のパン焼き器も出ているくらいなので、少しメジャーになってきた感がありますが、米粉とはどういったものなのでしょう?


日本人の食生活を支えてきたお米。
米粉は文字どおり、お米を粉にしたものです。私たち日本人は、古くから白玉粉、もち粉など米粉を活用してきました。またせんべいや団子をはじめとする和菓子など、日本では古くから米粉を原料とした食品に親しんできました。
しかし、それはごく一部での活用法でしかありません。
近年、製粉技術の進歩によってパンやケーキ、麺類など、それまで主に小麦粉で作られていた加工品にまで幅広く利用されるようになり、その可能性も広がってきているわけです。
今日は少しこの米粉について話してみたいと思いますね^^。


すでによく知られている通り、日本の食糧自給率は主要先進国の中でも最低の水準です。平成21年度においては前年度から低下し、40%(カロリーベース)となっています。生産額ベースでは70%を保っていますが、それでも日常的に食べている食物の多くを、海外からの輸入に頼っていることには違いありません。

みなさんは毎日、かなりの割合で小麦粉製品を口にしているのではないでしょうか?
その小麦の自給率は14%と言われています。86%が輸入なのですね。


世界の穀物価格は平成18年秋から上昇し、不安定な状態が続いています。近年の異常気象による影響も深刻です。
昨年の夏は記録的な猛暑でした。世界有数の小麦の輸出国であるロシアでは、干ばつによる不作の影響で小麦の輸出を制限するに至り、そのため世界的に小麦価格が上昇しました。
今後何らかの要因で小麦の安定的な供給が脅かされる事態に陥らないとも限りません。そうした中で、国内で自給できる穀物を少しでも増やしていくことが求められてきたのです。


そこでこの「米粉」の登場というわけ。米粉の利用が広がってきた理由にはこんな背景があったのですね。



自給率の低い小麦粉製品の消費量は増加してきた一方、自給率の高い米の消費量は減少傾向にあります。
今の米の消費量であれば、全国にある水田の6割でまかなうことができます。このため、4割の水田を有効に活用することが必要となってきました。その方法として、輸入に依存している作物である麦類や大豆の栽培が挙げられていますが、条件によっては米以外の生産に適さない水田もあります。このため米粉用の米は、水田を有効活用できる作物としても期待されています。

また水田の活用には、国内生産を増加させ、自給率を高める意外の意義もあるそうです。
水田は作物の生産だけでなく、生産活動を通じて、国土の保全や水源の涵養、自然環境の保全、良好な経過の形成など、文化の伝承の場としても重要な役割を果たしています。
農林水産省では、平成22年度から実施している「戸別所得補償モデル対策」で、米粉用込めの生産を支援してきています。平成23年からも引き続き、生産者を支援していくようです。



では、いままでなぜ米粉が登場しなかったのでしょう。


それには、米が硬く、粉砕しにくい作物だったということがあります
もし無理矢理粉砕すると細かくはなりますが、米のでんぷん粒に傷がついてしまいます。
でんぷん粒の損傷が激しいと、吸水性が高くなり、粉が水分をたくさん含んでしまうため、団子のような生地にしかなりません。含まれた水分が気泡をつぶしてしまってふっくらとした生地ができないのです。
そのため、小麦粉の代わりに使用できる粉にするには、小麦粉に近い微細な粒を作ることと、でんぷん粒の損傷の少ない粉を作るという2つの課題がありました。
しかし、近年、各機械メーカー、製粉会社の研究開発と技術革新によって、製粉ダメージが少なく、微細な粉の製造が可能となり、パンやケーキ、麺など、さまざまな用途に使い分けられる上質な米粉が生産されるようになったのです。


米粉の可能性は様々なことにつながります。

現に都内のある学校では、給食に米粉を使っているそうです。とくに小麦アレルギーの子供がみんなと同じ献立を食べられることが、喜ばれているそう。
たしかにこれは大いに活用できますね。
また米粉の利点は他にもあります。普通はバターや油で小麦粉を炒めてルウを作るのに対して、米粉だと最後に溶かすだけでOK。また天ぷらなどもさっくり揚がり衣も少量で済む。そして大きな鍋での料理も小麦粉より米粉の方が、汚れが落ちやすく、片付けが楽なんだそうです。
後は値段がもう少し安くなるといいですね〜^^。





さて、ここで米と小麦の違いを少し。

世界の食物文化は、アジアを中心とする米粒を食べる「粒食文化」と、主に小麦粉を多用する「粉食文化」に大きく分かれています。
米と小麦の基本的な違いは、粒が結晶状態になっているか、粉状になっているかです。小麦は米のように精白しようとしてもうまくいきません。胚芽が中に巻き込んでいるので、粒がもろくて、白いきれいな粒にはならないのです。そこで粉砕して、粉にして使ってきました。
逆に米は粒が硬くてしっかりしているので、粉砕はしにくいわけです。糠を取って胚芽を除くと、白いきれいな粒になります。加工しなくてもおいしく食べられるため、稲作地域では「粒食文化」が発達したのですが、近年、技術の進歩に伴い、米を粉砕して小麦のような使い方ができるようになったのですね。


米の主成分であるでんぷんは、アミロースとアミロペクチンに分けられます。この2つの構成割合が米の粘りに大きく関係していて、アミロースの割合が高い米は、粘りが少なく、パサパサした食感になります。
米の種類でいえば、インディカ種(インド型品種)はアミロースの割合が高く30%前後。私たちが食べているジャポニカ種(日本型品種)の場合、アミロースは20%くらいなので、インディカ種より軟らかく、粘り気があります。

東南アジアのフォーやライスペーパーはインディカ種の特徴を活かしたものです。米の中では硬質な品種で、硬めのでんぷんだからこそ、しっかりした生地ができるわけです。だから、フォーの押し出し麺や、押し広げてフィルムのようなライスペーパーにすることができるのです。



一方、ジャポニカ種は、別の用途に開発することがなかなかできませんでした。それが、昭和53年頃に米が過剰供給となり、新たな用途の開発に取り組むことになったようです。その後粉砕技術が発達し、平成3年に新潟県の食品研究センター(当時の食品研究所)が開発した製粉技術によって細かい米粉を作ることができるようになり、米粉を使った製品開発も盛んにされるようになりました。

さて、米粉のパンにしろ麺にしろ「口当たりがよく消化も良い」「もっちりしていて日本人好みの食感」などの特徴がありますが、他にも健康面で良いことがあるようです。

それはまず米粉の低吸油性。
アメリカでも論文が出ていますが、米粉を使った衣で揚げ物を作った場合、油を吸う率が少ないという特性があるのです。
実際どの米の種類でも薄力粉よりも吸油性が低いという実験結果もあります。つまり米粉のほうが低吸油で、ヘルシーということですね。


その他、私が気になるのは血糖値の上昇についてです。
ただでさえ、白いお米は血糖値の上昇が早いわけですが、それを粉砕して粉にすると消化吸収が早くなります。結果、血糖値の急上昇が起こると思うのですが・・・。

これについても面白い実験をしているよう。
普通の米だと確かに消化吸収が早くなるのですが、硬質なお米ではどうかということを調べているらしい・・・。
ご飯としてはとても食べられない超硬質米の「EM10」は、それが持つでんぷん「アミロペクチン」の性質から硬いため、糊状になりにくく、消化吸収されにくいという特徴があります。
消化吸収が遅いということは、血糖値の急な上昇が抑えられるのではないかと考えられているそうなのですが、血糖値の急上昇が抑えられる米粉には期待したいところですね。

「EM10」はやっと栽培が可能になったこれからの米粉専用品種だそうですが、近年ポリフェノールの含有量が多い品種も栽培されているようで、これからますます米粉の可能性が広がっていきそうな予感^^。




~小麦グルテンフリーな生活~

さて、最後に「グルテン過敏症」に少しだけ触れておきましょう。この小麦グルテンの過敏症は、現代人に非常に多くみられ、それに気付いていない人もたくさんいます。


グルテンとは小麦たんぱく質の一種です。
グルテンがたくさんのアミノ酸がつながって構成されたタンパク質であるのに対して、でんぷんはブドウ糖がつながって構成されている炭水化物です。
グルテンは皆さんが毎日食べる食材、特に加工食品の多くに使われています。現在ではアレルギー(セリアック病が主ですが)の原因食材となるため、食品の表示は「グルテン」や「小麦粉(グルテン含む)」と表示することが義務になっています。
グルテンを含まれる食べ物を摂取することでアレルギー症状が現れるものを、セリアック病と呼んでいますが、これはグルテンなどによって腸の粘膜や細胞が影響を受け炎症を発症し、それが慢性化することによって起こるものです。しかし、セリアック病まではいかなくても、このグルテン過敏症の方は数多くいます。
アメリカやカナダではこの6年ほどの間に、セリアック病判定のための血液検査や小腸の生検を行っても陰性なのに、セリアック病に似たような症状が出ている症例が確認され、その症状を「グルテン過敏症」と呼ぶようになりました。

日本を含む多くの先進国では小麦は切っても切り離せない食品の一つですよね。グルテンを過剰摂取していると知らず知らずのうちにグルテン過敏症になってしまう可能性があります。ある論文では、グルテンは基本的に摂りすぎることで過敏症になるとされているくらいです。


ちなみにグルテン過敏症の症状とは・・・


・食後2時間以内の腹部膨満感
・貧血
・慢性的な下痢
・慢性疲労
・便の悪臭
・うつ様症状
・倦怠感
・気力低下
・体力低下
・情緒不安
・集中力低下
・血糖の上下動(特に低血糖症状)
・急激な体重の増減
・関節痛
・頭痛
・慢性肩こり
・不眠
・傷が治りにくい
・乾燥肌
・蕁麻疹やかゆみ


などなど。


グルテンは小麦製品を使った食品のほとんどに含まれています。グルテンが含まれているものは、パン、唐揚げ、天ぷら、カレー、シチュー、クッキー、ケーキ、スナック菓子、ビスケットなど挙げればキリがありません。

上記の症状があった方で、小麦抜きの生活を2週間やってみて、それらの症状がなくなった場合は、グルテンに反応している可能性があります。
私が臨床に出ていても、慢性の下痢や便秘に悩まされていたり、慢性疲労や慢性肩こりの症状を持っている方にこのグルテン過敏症は本当に多いと思います。



私もグルテンフリーの生活を実践しているので、その大変さがすごくわかりますが、今ではお話してきた米粉によるパンや麺類、そして血糖値障害を持っている方にも大豆粉による食品も出てきています。
アメリカではグルテンの含まれていない食品も数多く市販されているようですね。日本も近い将来グルテンフリーの食品産業が増えてくるかもしれません。

それだけ、グルテンによる健康の問題は大きくなってきているのです。

みなさんもグルテンフリーな生活をすると何か変わるかもしれませんよ~^^。



小菅一憲

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by chiropratica | 2011-09-01 11:59 | まじめ日記


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