2014年 11月 06日 ( 1 )

NO.543 腸管免疫 その10 食物繊維は大事!

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今日は「食物繊維」のお話。
ちょっと長いので、がんばって読んでみてくださいね^^。



食物繊維とはいったい何でしょう?

つい30年前までは、食物から栄養を吸収した残りカスと考えられてきました。栄養的な価値のないもので、便として排泄されるだけのものと考えられてきたのが、食物繊維です。
しかし近年、体にとって重要な役割を担っていることがわかってきたのです。


たとえば、食物繊維はさまざまな機能性を有しており、サプリメント成分にも利用されています。
食物繊維の摂取によって大腸がんのリスクが低下することはよく知られていますよね。
また、食物繊維の摂取によって、食後血糖値の上昇が抑制されることから、2型糖尿病の予防や血糖コントロールにも有用であると考えられます。

このように、いままで残りカスとして考えられてきた「食物繊維」も体にとって有用であることがわかってきたわけです。


2011年に出された"Dietary Fiber Intake and Mortality in the NIH-AARP Diet and Health Study" という研究では、食物繊維、特に全粒(つまり未精白の)穀物の食物繊維が豊富な食事をとると、循環器系疾患、伝染性疾患、呼吸器系疾患による死亡リスクが抑えられる場合があると発表しています。
この研究を行った米国メリーランド州ロックビルにある 米国立癌研究所 (NCI: National Cancer Institute) と AARP の研究者らは、9年間の研究で、食物繊維が全死因死亡リスクの低下に関係していることも発見しました。
この研究では、男女合わせて約388,000名(男性219,123人、女性168,999人)が対象となり、
平均9年間のフォローアップ中、男性20,126名、女性11,330 名の死亡が確認されていますが、
これらのデータをもとに計算したところ、もっとも多く食物繊維を摂取した上位20パーセントの人たち と、もっとも摂取量が少ない下位20パーセントの人たちを比較すると、前者(1日あたり男性で29.4グラム、女性で25.8グラム)は後者(1日あたり男 性で12.6グラム、女性で10.8グラム)よりも死亡する可能性が22パーセント低かったというのです。
論文によると、食物繊維は果物や野菜、全粒穀物など植物性食物に含まれており、このような食物繊維が豊富な食事をとると、心臓疾患、ある種のガン、糖尿病および肥満のリスクを下げると考えられるとのこと。


心血管疾患死の低下,感染性疾患、呼吸器疾患による死亡率の低下
(男性では24%-56%、女性では34%-59%の低下)
男性では,食物繊維の摂取によるがん死亡の低下も認められました。
(女性では有意差なし。)

たしかに食物繊維は炎症を抑え、血圧を下げます。またコレステロールを減らし、血中のブドウ糖量を改善し、ダイエットを促進してくれる作用もあるのです。
さらにガンの原因になる可能性のある物質と結びつくので体外への排出も促せるので、さまざまな身体へのリスクを減らすのに役立ってくれる栄養素なのかもしれません。
この論文では食物繊維が豊富な食べ物をもっと頻繁に選ぶようにすれば、健康上大きなメリットが考えられると結論づけています。


さて、この食物繊維、実は不要な物質を体外に排泄促進してくれるだけでなく、腸を適度に刺激し蠕動運動を促してくれる栄養素とも言えます。
食物繊維には、腸をととのえ、便通をよくする働きがあり、排便をスムーズにするだけでなく、食物繊維や発酵食品などに含まれる乳酸菌は、腸内環境を改善してくれるのです。



詳しくみていきましょう。

食物繊維の主な仕事は、腸壁にある余分なカスを掃除しながら進むこと。お腹の中は37℃と、真夏のような温度ですから、もし肉や魚などの生ゴミを置いておけば、とても腐りやすい環境なのです。そんな場所からゴミを片付けるのが、食物繊維の仕事です。
そしてもうひとつ重要な役割があります。
人間の消化酵素では分解できない食物繊維も、腸内細菌によって発酵されると(その時に出るガスがおなら)、腸内環境を健康に保つ善玉菌のエサとなるわけです。

また良い便を作るのにも「食物繊維」はやはり重要です。便は、口から入ってきた食べ物から作られるものです。つまり良い便を出そうと思ったら、食物繊維がたっぷり含まれた食べ物を食べる必要があるのです。
食物繊維が多ければ、食物繊維が水分を吸って、便のカサを増やしてくれ、それは便の量が増えることにつながります。大量の便があるほど、大腸の蠕動運動は刺激を受けて活発になります。その上、食物繊維がたっぷり水分を含んでくれるので、蠕動運動が活発であってもおかゆ状の便ではなく程よい硬さの便になるのですね。



食物繊維の消化器官に対する作用は・・・

1.保水性
水を含む性質。不溶性食物繊維の特徴であり、この性質によって便が柔らかくなり、かさが増えます。

2.粘性
水に溶けるとゲル状になる性質をもちます。腸の内容物は、ゲル状になると腸管をゆっくり移動するようになり、これが血糖値を上昇しにくくする。血中コレステロールを下げる効果も期待できます。

3.吸着性
コレステロールや胆汁酸、食べ物の中の有害物質を表面にくっつけて(吸着されて)便の中に排出します。

4.発酵性
一部の成分は大腸内の善玉菌によって分解、発酵されます。
分解後は有機酸や短鎖脂肪酸と呼ばれるものに変わるため、結果的に大腸の中が酸性となって有害な細菌が棲みにくくなり、腸が健康になります。


こんなにも大事な働きがあるのですね!


「日本食品標準成分表」には、食物繊維とは「ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化成分の総体」とされています。つまり食物繊維とは人間の体に消化・吸収されない成分なのです。
冒頭で述べたように、以前は栄養素としては見られていませんでしたが、ここ何年かは重要栄養素として6大栄養素にもあげられることもあります。



さて、食物繊維には、カニやエビなどの殻の成分(キチン)などの動物性食品も一部にはありますが、その大部分は植物性食品です。

その食物繊維大きく分けて2つの種類があります。

それは、水に溶けない「不溶性食物繊維」と、水にとける「水溶性食物繊維」です。

不溶性食物繊維は、水分を吸収して便をやわらかくし、消化管を通過する時間を短くします。
水溶性食物繊維は、不溶性食物繊維よりも、さらに水分を吸収してふくらむ(保水性にすぐれている)ため、腸内の有害物質を体外に排出する働きがあり、便の容量を増しやわらかくして、便秘予防や痔になりにくくする働きがあります。


不溶性の代表はセルロース(天然高分子)、ヘミセルロース、不溶性ペクチンなどで、ごぼうなどの根菜類や、玄米などの穀類、じゃがいも、さつまいも、豆類に豊富で、キャベツやレタスにも含まれています。
そして、水溶性の代表は低分子アルギン酸ナトリウムやペクチン、ポリデキストロース、グルカンなど、わかめなどの海藻類、オクラ、納豆、里芋などのネバネバ食品、果物全般、ドライフルーツ、青菜類などに多く含まれているものです。
ちなみにキノコ類は両方の食物繊維を含む万能選手です。


便秘の状態によっても、たとえば「弛緩性便秘(大腸を動かす筋肉の緊張が緩んで便を押し出す蠕動運動が弱い状態、慢性便秘症に多い)」では、大腸を刺激して蠕動運動を活発にしてくれる「不溶性食物繊維」が適しており、「けいれん性便秘(大腸の動きが強すぎて便の通過を妨げている状態。コロコロとした小さな便が出たりする、過敏性大腸炎など)」には腸への刺激が穏やかで便のカサを増してくれる「水溶性食物繊維」が適していると言われています。
しかし、あまり同じ食物繊維ばかりに偏って食べているのもあまりよくはないので、やはりバランスが重要ということでしょうか。

不溶性食物繊維ばかりを摂取し、さらに水分をあまり摂らないでいると、便が硬くなってしまったり、腹部膨満感が強くなったりするのです。
便秘の改善を目的に玄米菜食的な食事を摂取し続けると、ますます便秘の症状が悪化してしまうこともあります。これは玄米を中心にした不溶性食物繊維の割合が多くなってしまうためなのですね。不溶性食物繊維を多くとるときには、水分も比較的多くとることが肝要です。

食物繊維をバランスよく補うためには、穀物、いも、豆、果物、野菜や海草など、いろいろな線維性の食品を幅広く食べることです。



このように人の老廃物排泄には欠かせない食物繊維。
実際にはどのくらい摂ればよいのでしょう?


現在、成人の場合は1日に20〜25gの摂取が必要だとされています。
しかし、今、日本人の食物繊維摂取量は年々、減少しています。

厚生労働省「平成19年国民健康・栄養調査」から算出されたデータによると、昭和30年(1955年)頃には1日当たり22g程度摂取していたのが、日本が豊かになり始めた高度経済成長期の頃から減少しはじめ、現在では平均14g前後まで減ってしまっています。
厚生労働省の食品摂取基準によれば、1回の食事当たり女性は20~21g程度(男性は26~27g)の摂取が理想とされているのですが、実際には難しいので、目標値として1日当たり女性17g、男性20という数字が提示されています。
しかし、食物繊維を計算することは難しいので、なかなか摂取できていないというのが現状ですね。


20gというと、ごぼうでいえばおよそ2本、かぼちゃでいえば半個、にんじんなら3〜4本、ブロッコリーなら2株という計算です。
けっこう多いんです。
こうなると、1日1~2回食しか摂らない人は極端に減ってしまいますよね。1日1〜2食しか摂らない人は、食物繊維の摂取量が10~11g前後まで低下するといわれているくらい。
もちろん野菜以外の食品の中にも食物繊維は含まれていて、とくに大豆や小豆の豆類、寒天、ひじきなどの海藻類にも豊富なので、私たちが昔から食べていた食品が日本人の腸内環境にはいちばん適しているということですよね^^。



食物繊維をよく食べ、良い便をし、大腸の環境を良くしていくことは非常に重要です。
また大腸が良好であると、その手前の小腸にも影響を与えるのです。
小腸は、いままでやってきたように食べ物から栄養を吸収するところ。吸収するということは、異物も侵入しやすい場所ということなので、強い免疫機能を持ち合わせているということです。またこの免疫機能は、体全体の免疫力に大きな影響をもっていると考えられているので、大腸の状況が悪化したら、小腸の機能が低下して病気になりやすくなるとも言えるわけです。
つまり食物繊維をしっかり摂り、大腸の善玉菌の働きをよくすることは、体全体の働きにもつながるということなのですね^^。
重要です。

ごぼうを野菜として栽培し、食べるのは、世界でも日本人だけです。
ごぼうは、たくさんの食物繊維を含んだ優れた野菜ですが、その食物繊維の大切さを、日本人はいち早く理解していたのかもしれません。

みなさんも日本人っぽい食事とは何なのか、そして美味しくて健康的な日本食の良さを思い出してみてくださいね。



小菅一憲

CHIROPRATICA|健康の素晴らしさを伝える治療院


C-Magazine|カイロプラクター小菅一憲が提供する健康情報発信基地

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by chiropratica | 2014-11-06 10:42 | 腸管免疫


カイロプラクティック理学士/サプリメント指導士のカラダと食を考える日記


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