2011年 04月 12日 ( 1 )

NO.175 大腸 Large Intestine その8 「セカンドブレイン ~うつ病と腸の関係~」

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今日は、「腸が独自の脳を持っている」というお話を・・・。


小腸には脳からの神経細胞がほとんどつながっていないので、脳の支配下になく、独自に働いています。
胃や肝臓、腎臓などは腸から分化した臓器なので、肝臓に「胆汁を出せ」と司令を出したりするのも、小腸が自己判断で行っています。
逆に脳に干渉する場合もあります。毒物や腐ったものが口に入ると、腸は瞬間的に、神経細胞を介して脳の嘔吐中枢を刺激します。
吐くことで体のダメージを最小限に食い止めようというわけです。
すごい仕組みですよね。

なので、私たちはたとえ脳死状態になったとしても、小腸の中に栄養が入ってくる限り、それを消化することができます。

そして、腸の中でも「大腸」は、進化の過程で小腸の働きをフォローするためにできた器官。大腸は脳と神経でつながり、自律神経の支配を受けています。
だからストレスにも敏感に反応するというわけなのですが・・・。



さて、排便に関わるもっとも重要な働きは、腸の「蠕動運動」です。これは、胃から直腸までの道のりを便がスムーズに移動するために欠かせないものであるだけでなく、便意を起こしたり、食べ物の分解や消化に欠かせない酵素やホルモンの分泌を促す働きを担っています。

この蠕動運動には、腸に約1億個あるとされる神経細胞が深くかかわっています。
そして、これこそが今「第2の脳(セカンド・ブレイン)」として注目されているものなのです。

1980年代、アメリカのコロンビア大学医学部の解剖細胞生物学教授マイケル・D・ガーション博士が発表した「腸は第2の脳である」という学説は、世界に一大センセーションを巻き起こしました。彼は、脳に存在し、精神を安定させる神経伝達物質、セロトニンの95%が腸で作られることを指摘しています。
また腸だけが、脳や脊髄からの司令がなくても反応をおこさせる神経系を持つことにも触れ、「あの醜い腸は心臓よりずっと賢く、豊かな感情を持っている。進化はうまい工夫をした。われわれの先祖はアメーバの原生的生物から進化して脊椎を獲得した時、頭蓋と腸の両方に、それぞれ別の感情をもつ脳を発達させたのだ」と言っています。


この発見によって、体のあらゆる器官をコントロールしてくれるのは「脳」であるというそれまでの常識が覆され、腸の中にも一部脳と同様の機能があることが証明されたのです。

つまり、腸はただ便が通過するための臓器ではなく、そこには脳に次ぐたくさんの神経細胞があることがわかってきたのです。
腸の神経細胞は、独立したネットワークで他の消化管と協調して働いているととともに、他の臓器にも直接司令を出す重要な器官で、脳と同様に自律神経回路によって、神経細胞と神経細胞の間に神経伝達物質を飛ばしながら情報を伝達しています。

脳には約150億個以上の神経細胞があり、ここから指令を出すことで全体をコントロールしています。その数には及ばないものの、小腸、大腸を合わせた腸内には、約1億個以上の神経細胞があるといわれているのですね^^。その数は他の体内臓器の中でもとくに多く、脳に次いで2番目に多いとされています。


脳とつながる腸の神経束は約2000本と比較的少なく、それは腸独自の神経ネットワークをもっていることを示しています。腸はいくつかの筋肉の層から構成されているため、腸管内部だけではなく、それぞれの筋層間にも神経叢(マイスナー神経叢、アウエルバッハ神経叢など)が存在し、腸管はこれらの神経叢とリンクしながら活動しているのです。
こうした腸独自の神経叢のネットワークが、「第2の脳」だと言われる所以でもあるわけです。



さて、腸管の働きは、交感神経によって抑制され、副交感神経によって活性化されるのですが、第2の脳を通したその働きを少し見てみましょう。

胃の中に食べ物が入ると、結腸が動きはじめることで(胃・結腸反射)大蠕動がおこり、胃から小腸、結腸、直腸へと便が移行し、直腸に便が貯留すると直腸壁に分布している骨盤神経経て興奮が脊髄、大脳へ伝えられて内臓感覚である便意が起こります。

そして、これら中枢神経とは別に、腸管の粘膜を何らかの形で刺激することでも消化管活動は活性化されます。先程出てきた腸管の粘膜下組織に存在する、マイスナー神経叢(消化管壁などに加わる刺激を感知)およびアウエルバッハ神経叢(腸管の筋肉の間にある)などが働いて、活性化するのですね。これらの神経叢は、互いに連携しつつ、平滑筋や消化管ホルモン分泌細胞をコントロールして、自律神経系から独立して腸管を支配しています。
これが第2の脳のはたらきです。




また腸は独自の脳として存在する一方、大腸などは脳とかなり密接的なつながりを持っているとも言われます。

「腸脳相関」といわれるように、近年、大腸と脳の密接な関係に注目が集まっています。
大腸には脳と同じ神経が多く分布していることは話してきましたが、それらは密接なネットワークで結ばれています。
そして自律神経によって脳とつながり、いつも情報をやりとりしているのですね。
脳が、不安、あせり、プレッシャーなどのストレスを感じると、自律神経を介してそれが瞬時に大腸に伝わり、便秘や腹痛や下痢を引き起こします。

これは逆のことも言えます。
下痢や便秘などの大腸の不調は、自律神経を介して脳のストレスになります。つまり、ストレスの悪循環がおきやすいんです。


うつ病が、脳だけでなく、大腸と自律神経およびセカンド・ブレインが大きく関与することもわかっています。
うつ病の患者さんが治療薬として抗うつ剤を服用すると、その副作用として便秘になりやすいのはそのためなのです。

便秘は精神的悪循環と身体的悪循環の2つが重なりあい、交互に悪影響を及ぼしています。
うつ症状は、自律神経に影響して腸管の運動を低下させます。そして排便がスムーズにいかなくなると、便が滞留し腹痛や腹部膨満感などの精神的苦痛も出てくるというわけです。


そして、ここでカギをにぎるのがセカンドブレイン、いわゆる腸神経において重要なはたらきをするセロトニンという物質。
うつ病にいたらずとも、誰にでもイライラしたり、どうにもやる気がおきなかったりと、情緒不安定になることがありますが、こうした人間の精神活動に大きく影響しているのがセロトニンという伝達物質。
セロトニンは、喜びや快楽を感じたときに分泌されるノルアドレナリンなどの神経伝達物質などの情報をコントロールし、興奮をおさえ、感情を安定させるはたらきがあります。常に心穏やかな生活が送れるのは実はセロトニンのおかげでもあります。
うつ病は脳内のセロトニンの減少が影響すると言われています。
セロトニンが何らかの理由で不足してしまうと、感情にブレーキがかかりにくくなるため、イライラしやすくなり、ストレスを強く感じたり、うつ病の引き金になるともいわれています。
これはまだわかっていませんが、セロトニンの大半は腸で作られるので、これが、脳内のセロトニンとも何らかのつながりがあるのかもしれません。


脳と腸のつながり。
遠いようで、実は密接なつながりともいえます。^^。
現代によくみられる過敏性大腸炎もまさにそのことが関わっていると言えるでしょう。


腸は独自の脳を持っているとともに、大脳とも密接に関わっている。
知れば知るほど、深い臓器です。



小菅一憲

CHIROPRATICA|健康の素晴らしさを伝える治療院


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by chiropratica | 2011-04-12 22:06 | 腸の話


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