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NO.579 骨粗鬆症NEW その12 「女性ホルモンと骨粗鬆症」

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骨粗鬆症はサイレント・ディジーズ(静かな病気)ともいわれ、深く静かに進行していき、女性は男性よりも早く、30歳前後から始まるとされています。
そして、中年になるとさらに進行し、骨粗鬆症を患う老人の80%が女性であると言われています。
とくに日本では、約1000万人が骨粗鬆症であり、その9割が女性とされています。

【男性】
70歳以上総人数(2010年)
8,396,000人

骨粗鬆症人数
約2,000,000人
割合:23.8%(約1/4人)

【女性】
70歳以上総人数(2010年)
12,226,000人

骨粗鬆症人数
約8,000,000人
割合:65.4%(約2/3人)




では、なぜ女性の方が男性より骨粗鬆症になりやすいのでしょう?


「骨粗鬆症」のテーマの最初に少し触れましたが・・・
それには2つの理由が考えられます。

一つは、女性の骨は、男性の骨に比べて、「骨量が少ない」ということです。
これは単に、骨の在庫量が少ないということですね。
同じ理由で身長が低い人や細い人は、骨粗鬆症になりやすいと言えます。
そしてもう一つは、女性では、骨からカルシウムが溶け出すのを防止する役割を負っていた女性ホルモン「エストロゲン」が閉経後に急激に減少することが関わっています。
一方、年をとった男性でのホルモン「テストステロン」の産生は次第には減少するものの、女性に比べるとわずかです。


女性ホルモン「エストロゲン」はカルシウムの吸収に関わっていて、カルシウムの吸収率を上げると言われています。閉経後「エストロゲン」の分泌がなくなるとカルシウムの吸収率が急に下がってきます。
カルシウムは骨や歯の形成以外に、「血液凝固」「神経伝達」「筋肉収縮」という人間のカラダにとっては不可欠な大事な役割を担っています。そのため、血中のカルシウム濃度は厳しく一定に保たれているのです。
閉経後、カルシウムの吸収が減ると血中のカルシウム濃度が減ります。そうするとカルシウム濃度を一定に保つために、PTH(副甲状腺ホルモン)が分泌され、骨からカルシウムを溶出することになるのです。

このことにより、閉経後、骨からカルシウムが抜けやすくなり骨量が減少することになります。

副甲状腺ホルモンが、骨からカルシウムを取り出す作用をするのは男性も一緒ですが、男性では血液中にカルシウムが増えると甲状腺ホルモンが余ったカルシウムを骨に戻す役割をしてくれます。
一方、女性ではこのカルシウムを骨に戻す役割を先程の女性ホルモン「エストロゲン」が担っているので、閉経後にはこのルートがSTOPしてしまうのですね。

これが男性よりも女性に骨粗鬆症が多い理由なのです。



また女性では、閉経後にカルシウムの吸収力、骨の再生力が弱まっているのに、カルシウム剤をたくさん摂り過ぎることで、血液中のカルシウムが過剰になり血管にカルシウムが沈着して、動脈硬化を起こしやすくなります。またさらにカルシウムが細胞の中に入ってくると、脳障害(認知症)などが起こりやすくもなるので、注意が必要です。
女性では男性の2倍も認知症が多いと言われるのは、このことが背景にあるのかもしれません。



さて、このような性ホルモンによる影響以外に
骨粗鬆症を引き起こす危険因子をあげておくと・・・

家族の病歴
人種
細い体型ないし小さな体型
長期間の安静・寝たきりや運動不足
早期の閉経(手術による卵巣摘出、卵巣機能低下など)
甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症
糖尿病
喫煙
多量の飲酒
カフェイン摂取
ある種の投薬(ステロイド剤や甲状腺ホルモン剤、抗がん剤、抗痙攣剤)
食生活
・ ダイエットの経験
・ カルシウムとビタミンDが不足した食事
・ ビタミンC欠乏症
・ 加工食品・インスタントの摂り過ぎ
・ 食塩・タンパク質の摂り過ぎ

・・・

などですね。

また長期間の安静や運動不足、低身長、細い骨格、身内に骨粗鬆症がいる人などは、自分の不注意ではなく、どうしても骨塩量が少なくなりやすい身体の状況を持っています。このテーマでも骨の在庫と最初お話したと思いますが、身長が少なければやはり在庫は少ないということなんです。逆に身長が高ければ在庫量が多いということになるので、身長が低い人や身体が小さい人は、骨格的に骨粗鬆症になりやすいと言われます。女性で細い人もやはり在庫量は違いますよね。そういうことから考えていくと男性の方が在庫量が多いということはあるかもしれません。もちろん、倉庫がいくら大きくっても若い時に詰めなければそれは在庫量はもともと少ないのですが・・・。

それ以外にもお薬を長期で飲んでいる方や、ホルモンの病気を持っている方、女性の場合は閉経前に卵巣を両方取っていたりすると、リスクが高くなります。




骨粗鬆症の治療としては、ホルモンを投与するような治療法や薬などがあり、閉経後の女性に対するエストロゲンの補給が、骨粗鬆症の予防や治療に役立つことは多くの研究から指摘されています。しかし、エストロゲンによる治療は、ガンのリスクを高めることも懸念されます。
多くの女性にとって、早い時期から十分な量のカルシウムやミネラルを摂り、運動することが、歳をとってから治療や薬、カルシウムの補助食品を摂るよりも、はるかに効果的でしょう。



小菅一憲

CHIROPRATICA|健康の素晴らしさを伝える治療院


C-Magazine|カイロプラクター小菅一憲が提供する健康情報発信基地

by chiropratica | 2015-01-31 22:42 | 骨粗鬆症


カイロプラクティック理学士/サプリメント指導士のカラダと食を考える日記


by chiropratica

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