NO.287 低血糖症 その11 「低血糖症で不足する栄養素」

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低血糖症の治療において、食事とならび、とても重要なことは、「不足した栄養素を補給する」ということです。
低血糖症を起こすような食生活は、当然栄養失調を起こしやすい食生活です。
血糖値が上がりやすい食べ物、つまり精製された炭水化物には、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどはほとんど入っていません。
そのような栄養素の不足は、それ自体がいろいろな症状の原因となるだけでなく、ホルモンや自律神経のバランスを崩し、低血糖症の症状をひどくさせてしまいます。

また低血糖症になりやすい人は、もともとビタミンの必要量が多い人だと言われています。
そもそも栄養素の必要量は個人差が大きく、もっとも大きい場合で200倍の開きがあるとも言われているのですね。ある人には十分な栄養素がとれると考えられる食事でも、ある人にはまったく足りないというのはよくあることなのです。


低血糖症に必要な栄養素は・・・

たんぱく質・アミノ酸
脂質(オメガ3)
ビタミンB群
ビタミンC

亜鉛
カルシウム・マグネシウム
クロム
食物繊維
などなど・・・


タンパク質は、60兆個の細胞でできている私たちの身体の材料です。頭の先から爪や髪の毛まですべてがタンパク質でできています(以前のblog参照)。
血糖調節にも、もちろん必要です。タンパク質をしっかり意識した食事にすると血糖値が安定しますね。また脳内の神経伝達物質の材料は、アミノ酸なので、タンパク質が足りないと神経伝達物質がうまく作られず、鬱やキレやすいなどの精神症状の原因となります。


ビタミンCは、みなさんもよく知っている抗酸化作用以外にも、免疫の働きやコラーゲンを作ったりするような様々な働きを持っています。低血糖に陥ると、脂肪酸をエネルギーに変えなくてはならないのですが、その際にはビタミンCが必要で、不足しているとエネルギー産生不足になり、疲労感が出やすくなります。


そして鉄。鉄は低血糖症でなくても、欠乏すると鬱や疲れやすい、頭痛、だるい、やる気がない、不注意、多動、集中力の低下などの原因になります。
低血糖症の方に不足していることが多い栄養素でもあります。


次に亜鉛。亜鉛は細胞分裂のときに必要なミネラル。不足すると、成長障害、知能の発達障害、味覚障害、毛髪の問題、皮膚炎、傷の治りが遅い、免疫低下、インスリン分泌低下、疲労、混乱、興奮しやすいなどの原因になります。
インスリンを大量に分泌している低血糖症では、亜鉛は常に不足しやすい栄養素と言えます。


さて、最後に炭水化物のテーマのところでもやりましたが、糖質を摂ることですごく消費する栄養素があります。それはビタミンB群。
ビタミンB群は、糖分を中心に食べた栄養素をエネルギーに変えるために必須の栄養でしたね(以前のblog参照)。

グルコースは細胞内に入ると、ピルビン酸に変換され、今度は細胞内のミトコンドリアに入ってアセチルCoAとなり、TCAサイクルで様々な代謝を受け、ATPと呼ばれるエネルギーを産生します。この過程で必ず必要になるのがビタミンB群。
ビタミンB群には、B1、B2、B3(ナイアシン)、B6、B12、葉酸、パントテン酸、ビオチンがありますが、すべて協調しあって働いています。
糖質の代謝で主に働くのはビタミンB1ですが、これらのビタミンB群は助け合って働くため、どれも欠くことのできない栄養素なのです。

ビタミンB群が不足していると、エネルギーがうまく産生されません。
イコール疲れやすいということですよね。
低血糖症の方の最も多い主訴である「疲れやすい」というのはここからも来ています。

現代の食べ物のビタミンB群含有量は低下しています。またビタミンB群はとても壊れやすいので、精製した食品や加工食品ではその多くがなくなってしまっています。
ただでさえ、現代人に不足しているビタミンB群。
糖分の摂取が過剰になることに加え、お菓子や清涼飲料水、加工食品、白米、白いパンなど精製された食事が多いと、食事で含まれるビタミンB群の量より、大量の糖質代謝に必要な量が上回ってしまい、ビタミンB群欠乏状態に陥ってしまいます。
その点未精製の穀類は、もともとビタミンB群を含んでいるので、そのことが精製されていないものが勧められる理由でもあり、完全な食品と言われる所以でもあるのです。


さらに言うと、ビタミンB群の働きは様々ありますが、低血糖症を考える上で一番お話したいのは、精神や脳に及ぼす影響です。
低血糖症では、アドレナリン・ノルアドレナリンなどの「攻撃ホルモン」が分泌されるため、怒りっぽい、イライラする、キレやすい、パニック、不安、抑うつなど、様々な精神症状が起こりますが、ビタミンB群が欠乏するとさらにそれを助長してしまうと言えるのです。
まず、ビタミンB群は神経の働きに重要で、欠乏するだけでも、様々な精神症状、行動の変化を引き起こすということ。
そして、アドレナリンやノルアドレナリンのような興奮性ホルモンに対して、抑制的に働くセロトニンやGABAなどの神経伝達物質もアミノ酸からビタミンB群を介して作られるので、ビタミンB群が不足するとまずいのがわかりますよね。
セロトニンは、ノルアドレナリンやドーパミンなどの暴走を抑え、心のバランスを整える作用のある伝達物質で、セロトニンが不足すると、精神のバランスが崩れて暴力的(キレる)になったり、うつ病を発症すると言われています。またセロトニンが代謝を受けて睡眠ホルモンであるメラトニン(以前のblog参照)にもなるので、低血糖症に不眠の方がいるのもうなづけます。
GABAは、みなさんも「ストレス社会に・・・」というキャッチコピーで聞いたことがあると思いますが、脳内で抑制系に働く神経伝達物質で、脳内の働きを正常にし、極度の緊張を緩和し、リラックスした状態を作り出す作用があります。イライラしたり、神経が高ぶって眠れなかったり、パニック状態にある時は、脳内のGABAの量が減っていると研究もあります。

また栄養療法では、精神疾患と言えばB3(ナイアシン)がよく取り上げられます。
ビタミン剤投与で精神疾患の治療を試みた分子整合医学のパイオニア、エイブラハム・ホッファー博士も、統合失調症の治療において中心的に用いた栄養素がこの「ナイアシン」なのです。


少し長くなりましたが、精製された糖質過剰摂取で不足しやすいビタミンB群が、このように脳や精神に影響していることがわかって頂けたでしょうか?



食事からビタミンB群を摂るためには、まず精製されていない穀物、玄米や全粒粉パンに変えること、そして肉、魚、貝類などの動物性食品や野菜やくだものをなるべく加工していない形で食べることです。
もちろんなかなか食事からは、まかないきれないところもあるので、サプリメントも有効ですね^^。ビタミンB群はそれぞれが協力し合って働くので、ビタミンBコンプレックスのなどの形で摂ってください。




さて、低血糖症に不足しやすい栄養の話を終えたところで、低血糖のテーマを終了にしたいのですが、もう一つ低血糖症の方にお勧めが・・・。

それは「軽めの運動をすること」です!
運動をすることで筋肉が糖をとりこむことにより、血糖値の上昇を防ぐことができ、血糖値が安定します。

食後の運動がとくにおすすめです。
あ。軽めでいいですよ^^。何かをもって腕の曲げ伸ばしをするのでも良いし、食後少し散歩をするのでもいいです。食後に行う場合は、心拍数を上げすぎたりする運動はインスリンの働きを悪くする場合もありますので、なるべく心拍数を上げすぎないもので行った方が良いでしょう。

また、通常の運動では、一番効果があるのはスクワットかなと思います。なるべく大きな筋肉(太ももの筋肉など)を使うようにした方が運動の効果がより発揮されます。足は日常生活でも一番使う筋肉なので、筋肉量がつけば代謝も上がってきます。
また、筋肉運動によってインスリンの効きがよくなり、インスリン抵抗性の改善にも役立ちます。継続して行うためには、自分のライフスタイルに合った運動を選んだ方が良いですね^^。





最後に・・・

まちがった食事や生活習慣が低血糖症を起こす原因となり、さまざまなホルモンバランスの乱れを起こす原因となることを話してきましたが、逆になんらかの原因による「ホルモンバランスの乱れ」が低血糖症を引き起こしている場合があります。
隠れた甲状腺機能低下症や、副腎機能低下症はその代表的なものでしょう。これら臓器から分泌されるホルモンは血糖値を上げるはたらきがあるため、その低下が低血糖症の原因になっている場合があるのです。この場合、ホルモンバランスの乱れを整えることが、低血糖症の治療になります。


また私が臨床に出ていて思うのが、低血糖と合併していることが多いのが副腎機能低下症と食物アレルギーです。これらが低血糖症を起こす原因となっていることも多くみられます。

副腎はストレス臓器です。長期的なストレスは副腎を疲労させてしまうのですが、副腎は血糖調整に関わっている臓器でもあり、血糖値をあげるホルモンを分泌するので、副腎疲労に陥ることは、低血糖症が起こりやすい状況につながるとも言えるのです。
また精神的なストレスはアドレナリンを分泌させ、血糖値を不安定にさせます。
自分なりのストレス解消法や、リラックス法を見つけ、うまく心と体をリラックスさせるように工夫しましょう。

そして内分泌臓器(ホルモンを作る臓器)をいためてしまう原因としてあげられるのが、食物アレルギー。食物アレルギーがあると、アレルゲンに対抗するためにコルチゾール・アドレナリン・ノルアドレナリンなどのホルモンが過剰に分泌され、ホルモンバランスを崩す原因になることが指摘されています。
食物アレルギーがある場合は、原因となる食品を避けることで、症状の改善が期待できます。この場合、即時型のIgE抗体ではなく遅延型のIgG抗体を調べることが重要になりますね。この遅延型は、即時型と違って、症状がゆっくり現れることやあまりハッキリしない症状が多いので、本人が気づいてない場合が多々あります。

このほかにも、腸内細菌のアンバランス、カンジダ菌などの感染症、重金属の蓄積などが、低血糖症をはじめとするさまざまな難病や症状の原因となっている場合があります。
適切な検査をおこない、原因に応じた治療をしていくことが必要ですね^^。



さて、長かった低血糖症のテーマも今日でおしまい。
次回は、副腎機能低下症、副腎疲労のテーマを予定していますが、その前に砂糖つながりで、有名な書籍「シュガーブルース」を少し紹介したいなと思います。

なにかご質問があれば、
こちらから
気軽に聞いてくださいね。



小菅一憲

CHIROPRATICA|低血糖症と副腎疲労のためのカイロプラクティックと栄養療法


C-Magazine|カイロプラクター小菅一憲の治療実績




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by chiropratica | 2011-11-10 14:30 | 低血糖症


カイロプラクティック理学士/サプリメント指導士のカラダと食を考える日記


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