NO.259 脂肪 fat その2 「オメガ3とオメガ6のバランス」

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健康に詳しい人なら、オメガ3の油のことは話に聞いたりするのではないでしょうか?
今日はそのオメガ3とオメガ6の油についてのお話です。


動物性脂に対して、おもに菜種やコーン、紅花、亜麻などの植物性の油に多く含まれる脂肪酸を「不飽和脂肪酸」と言います。
これは炭素が連なった鎖に水素がところどころ抜け落ちて「穴」ができている構造から、「水素が飽和していない脂肪酸」という意味です。

前回のblogでもお話しましたが、不飽和脂肪酸は、その構造上、2つのグループに分けられます。水素の穴がひとつだけあるものを「一価不飽和脂肪酸」、水素の穴が複数あるものを「多価不飽和脂肪酸」といいます。
オリーブオイルに多く含まれる「一価不飽和脂肪酸」に対し、「多価不飽和脂肪酸」には2種類あり、炭素の鎖の先頭(カルボキシル基)から数えて6番目の炭素に水素の穴があいているものを「オメガ6」、3番目に水素の穴があいているものを「オメガ3」といいます。



オメガ6の中で、一番知られているのが「リノール酸」です。
リノール酸は、不飽和脂肪酸の中の一つで、紅花(サフラワー)油やサラダ油、ひまわり油、コーン油、ゴマ油、綿実油に豊富に含まれています。
一般的に家庭で使われている油の多くがこの「リノール酸である」ということがおわかり頂けるでしょうか?
その他、フライドポテトやスパゲティ、カップラーメン、スナック菓子、ドーナツ、カレーライス、天ぷら、ドレッシング、マヨネーズなど、ありとあらゆる加工食品に利用されています。

一方、オメガ3の代表となる脂肪酸が、サバやイワシなどの青背の魚に多い「エイコサペンタエン酸(EPA)」と「ドコサヘキサエン酸(DHA)」、そして亜麻仁油やシソ油に多い「α―リノレン酸」です。


オメガ6とオメガ3は、どちらも細胞膜の材料になることは共通していますが、オメガ6は主にアラキドン酸、オメガ3は主にEPAという物質に転化した形で細胞膜を構成していきます。
おもしろいのは、オメガ6とオメガ3がまったく正反対の働きをすること。オメガ6は細胞膜を硬くするのに対し、オメガ3は柔らかくするのです。


細胞膜は、細胞内に酸素や栄養素を取り込んだり、細胞内で発生した老廃物を排出したり、細胞同士の情報を伝達したり、有害物質の侵入を防止するなど、私たちが生きるうえで基礎となる大切な機能を持っています。
もしもオメガ6に偏った食事をすれば、細胞が硬くなり、動きに柔軟性がなくなって栄養素や老廃物などのやりとりがスムーズに行われにくくなるかもしれません。逆にオメガ3ばかり摂っていれば(現代ではあまりあり得ないですが・・・)、細胞膜に張りがなくなるかもしれません。
要は、両者のバランスがうまく取れて補いあっている状態がベストと言えますね^^。


またその他にもこのオメガ6とオメガ3の相反する働きがあります。
これが一番注目するべきところなのですが、オメガ6とオメガ3からそれぞれつくられるエイコサノイドが相反する作用をすることです。
エイコサノイドとは、限られた部分でホルモンのようにさまざまな体内機能に作用することから「局所ホルモン」とも呼ばれていますが、トロンボキサン、プロスタグランジン、ロイコトリエンといったいくつかの種類があります。
たとえば、転んで出血が起こるとオメガ6、アラキドン酸由来のトロンボキサンが増え、血液を固めて止血しようとします。また、血栓ができそうになると、今度はオメガ3、EPA由来のトロンボキサンが作られて血液を流れやすい状態にします。
またアラキドン酸由来のプロスタグランジンは炎症を促進しますが、EPA由来のプロスタグランジンは炎症を抑える働きがあります。
そして、アラキドン酸由来のロイコトリエンは気管を収縮するのに対し、EPA由来は弛緩することになります。
(病気が嫌なら油を変えなさい 山田豊文 引用)



これらの働きは、身体の中で発生する異常事態に柔軟に対応するうえで非常に大切なことなのです。
また両方の機能がしっかり働くためには、これらの材料となるオメガ6とオメガ3をバランスよく摂ることが大切になりますね^^。


みなさん大分わかってきたでしょうか?


一般に、オメガ6とオメガ3の理想バランスは、4対1が適切であると言われています。
しかし、現代人のほとんどが、オメガ6とオメガ3の食事バランスが10対1、あるいは50対1という、とんでもない比率になっており、これこそが様々な現代病を引き起こす大きな問題となっているのです。


たとえば、現代人にアレルギーが多くなってきたのも、オメガ6の摂り過ぎで炎症反応が過剰に起こるようになったからでしょう。
またオメガ6のリノール酸が増えすぎると、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めると言われています。
これはリノール酸が増えて、体内のアラキドン酸由来のエイコサノイドが増えることと関係しています。アラキドン酸由来のエイコサノイドのひとつであるトロンボキサンは、血液を凝集する働きがあるため、血液がドロドロになります。このため、血栓ができやすくなってしまうわけです。脳梗塞や心筋梗塞以外にも、高血圧、狭心症、喘息、リウマチといった慢性疾患や生活習慣病、ガンなど、ほとんどの病気がこのオメガ6系のリノール酸から作られるエイコサノイドと深くかかわりあっています。


この中でとくに注目してほしいのが、オメガ6系から作られるエイコサノイドは、炎症を促進する役割があるということです。
皮膚のトラブルや花粉症、慢性的な鼻づまりなどは、アレルギー性のものが一般的ですが、おもなアレルギー反応のひとつに炎症があります。私たちの身体は血液の量を増やしたり、血管の浸透性を高めたりといった炎症反応を通して異常事態から身体を守ろうとします。これが腫れやかゆみ、くしゃみといった不快な症状につながっているわけですが、炎症反応は、体内でつくられるいくつかの物質が介在することによって生じていることが知られています。
これらの物質がエイコサノイドで、その一部が体内の「油」を原料に作り出されているわけなのです。


通常、オメガ6から作られるエイコサノイドにより、様々な炎症反応が促され、異常事態が解決すればオメガ3由来のエイコサノイドがそれを鎮めるといったように両者がバランスよく作用し、身体を守っているわけですが、もし、オメガ6の油を頻繁に摂取しているとどうでしょう?
本来身体を守ろうとするために生じている炎症反応が治まる気配をみせず、必要以上に続いたままになります。いわば「高炎症状態」に陥るわけです。

以前のblogでも触れましたが、身体の炎症状態が続くことは危険なことです。
体内が常に高炎症状態にあるとガン細胞の増殖を促してしまうことも言われています。
先ほどのアレルギーの症状以外にも、アトピー性皮膚炎や副鼻腔炎、関節炎、肺炎、腎炎、肝炎、すい炎、大腸炎、虫垂炎など・・・「~炎」と名のつく健康上の問題の全てに関わると言ったら、とても広範囲ですよね。




痛みや熱があるとき、医師は非ステロイド系抗炎症薬やステロイドホルモンを利用します。この薬はオメガ6系のアラキドン酸がプロスタグランジンに変換させるのを抑制する薬です。同時にトロンボキサンへの合成も抑えるため、心筋梗塞、脳卒中の予防に非ステロイド系抗炎症薬の一つアスピリンがよく利用されているわけです。
また多くの抗アレルギー薬は、アラキドン酸から、ロイコトリエン等が合成されるのを抑制するものです。
そしてさらに炎症/アレルギーからガンの治療にまで使われるステロイドホルモンは、エイコサノイドの元となるアラキドン酸の細胞膜からの遊離を抑えることにより、作用を発揮していきます。
このように見ると、病気の発生や炎症に、オメガ6系アラキドン酸由来のエイコサノイドが深く関わっていることがよくわかります。


また最近の化学では、身体の中ではリノール酸が一番過酸化を受けやすいということがわかってきました。空気中では、通常オメガ3系のDHAやEPAなどが一番酸化しやすいと言われていますが、水中では過酸化の過程が違うそうです。
脂肪酸を構成しているのは炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の3元素ですが、炭素同士の結合に二重結合を含まないものが「飽和脂肪酸」、含むものが「不飽和脂肪酸」でした。二重結合とは、一言で言えば「不安定な状態」で、二重結合がないとかたい(固体)の油となり、二重結合があると、液体などのやわらかい油になります。そして不飽和脂肪酸の中で二重結合が1つしかないものを一価不飽和脂肪酸と呼び、2つ以上あるものが多価不飽和脂肪酸でしたが、リノール酸は炭素の二重結合が2つで、α–リノレン酸は炭素の二重結合が3つあります。

このことからもオメガ3系の方が酸化しやすいことがわかりますよね。

しかし、最近わかったのは身体の外ではオメガ3系が酸化しやすいのに、身体の中のように水っぽいところでは、リノール酸の方が酸化しやすく、DHA、EPAが一番安定していると言うのです!

これはびっくり。

脂肪酸を酸化させるような条件下で行った実験では、水溶液の中でリノール酸は一日で酸化し、DHAは1ヵ月たっても問題なく安定していることがわかりました。
もし、リノール酸が多すぎて余ってしまうと、代謝がうまくいかず酸化してしまいます。動物性食品からとったアラキドン酸の方が、リノール酸より20倍エイコサノイドに変換されるということを考えると、摂り過ぎのリノール酸が余りやすいのも納得がいきます。とくに身体の調子があまり良くない人は、リノール酸をなかなかアラキドン酸まで変換できません。こうして余ったリノール酸は酸化し、ガンのもとになります。
酸化した油は様々な悪さをすることは想像つきますよね。



長くなりましたが、こういう風に見ていくと、リノール酸系(オメガ6)の植物油を摂り過ぎなければ、多くの病気が消失することがわかります。
現代社会では、オメガ6の食品が溢れかえっています。しかし、オメガ3の摂取源は一部に限られ、摂取量がかなり減少していると言えるでしょう。
このような状況下で、みなさんは、驚くほどにオメガ6(リノール酸)過多に陥っているかもしれません。


参考までに・・・
〈食品可食部100g当たり脂肪酸組成表(mg)〉

ごま油         :リノール酸 42,022 リノレン酸 563
米ぬか油        :リノール酸 33,269 リノレン酸 1,273
サフラワー油      :リノール酸 72,274 リノレン酸 189
大豆油         :リノール酸 49,854 リノレン酸 7,473
サラダ油        :リノール酸 29,453 リノレン酸 9,346
トウモロコシ油     :リノール酸 47,319 リノレン酸 1,406
なたね油        :リノール酸 20,536 リノレン酸 10,174
綿実油         :リノール酸 53,543 リノレン酸 471 

(アミノ酸&脂肪酸組成表より)


油の話は、知ると怖くなりますが、この摂り方を変えるだけで身体の体調はだいぶ変わります。
私もアレルギーの患者さんには、かならず油の摂り方についてのアドバイスをしますが、これによってアレルギー症状がかなり軽減しています。


ポイントは「オメガ6をしっかりと控えて、オメガ3を積極的に摂取していくこと!」です。

この話はちょっと長いので、また次回も続けてやっていきますね^^。



小菅一憲

CHIROPRATICA|健康の素晴らしさを伝える治療院


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by chiropratica | 2011-09-05 10:15 | 栄養(基礎編)


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