NO.258 脂質 fat その1 「脂肪は悪者ではない」

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さて、今日から脂質のお話がスタートです。

一般的に脂肪というと健康や肥満の敵。健康のためには油はあまり摂らない方が良いというのが、みなさんのイメージですよね。
油は長い間、病気の根源であるように言われてきました。低脂肪・低カロリーを謳った商品が売れ、「油は健康とは相反するもの」「油は摂らない方が良いもの」という間違った考えが常識とされてきたのです。

しかし、無脂肪食で育てられたネズミが、「成長が止まる」、「子供が出来ない」、「しっぽの皮膚がうろこ状になってしまう」、などの問題を抱えるのは、それだけ脂肪が重要な栄養の一つだからです。

これらの問題は、成長ホルモンが分泌されなくなる、女性・男性ホルモンが出なくなる、細胞膜の成分が供給されなくなるなどのことから起こっているわけですが、これら全てに脂質という栄養が関わっているとしたらみなさんビックリされるでしょうか?
もちろんこのことは、人間にも言えます。脂質をバランス良くに摂らないと成長障害やアトピーなどの問題も増加します・

実は、こういった問題には脂質の中でも特に「コレステロール」と「多価不飽和脂肪酸」が重要となります。このテーマではこのことについてじっくり話していきましょうね。


私もたまに海外の論文を読みますが、アカデミックなところでは脂肪の大事さを示す論文を多く見かけます。
それだけ油(脂質)の摂り方は、大事なのです。油(脂質)は、私たちの大切なエネルギーとなる無二の栄養素といえるでしょう。


さて、では脂質のことについて少しずつ解明していきましょう!




脂質はタンパク質や糖質と並ぶ3大栄養素の一つです。
生命の維持に欠かせない栄養素の一つである脂質は、体脂肪として体温を保つのを助けたり、筋肉や臓器を衝撃から守るクッションの役割を果たすほか、細胞膜、血液などの構成要素にもなります。

一つずつ見ていきましょうか。

まず脂質は細胞膜などの生体膜を形成します。
細胞膜は、栄養素を取り込んだり、老廃物を排出したり、細菌やウィルスの侵入を防ぐ、そして細胞同士の情報を伝達する、ホルモン様物質の材料になるなど、私たちが生きていくうえで基本となる大切な役割をもっています。

次に、脂質はエネルギー源として働きます。
成人の場合は、まっさきに使われるエネルギーはご飯やパンなどの糖質ですが、糖質がなくなってくると脂質からエネルギーを補うようになります。糖質に比べて4倍くらいのエネルギー量を持ち、効率の良いエネルギー源でもあるのです。

ほかには、脂質は、熱の発散を防いで体温を保ったり、太陽の光を利用してビタミンDを合成したり、脂溶性ビタミンA、D、E、Kなどの吸収を助けたりします。
またみなさんが毛嫌いする体脂肪も実は必要です。内臓を支えたり外の衝撃から守るためには、しなやかな筋肉とともに、脂肪もある程度は必要なのですね。

またコレステロールもこの脂質の一種というとみなさんは敬遠しがちだと思いますが、コレステロールは身体で必要なホルモンの材料になったり、脳の構成物質としても非常に重要なものです。最近の研究ではコレステロールを取ると神経の伝達スピードが早くなり、頭が良くなることも分かっています。




脂質は、科学的な構造によって「単純脂質」「複合脂質」「誘導脂質」の3つに大別されます。
簡単に紹介しておきましょう。

〈単純脂質〉
脂肪酸とアルコールが結びついたもの。アルコールの種類によって、中性脂肪(脂肪酸とグリセロールが結合したもの)と蝋(脂肪酸と炭素数の多いアルコールが結合したもの)に分類されます。
中性脂肪はありすぎると問題になりますが、必要に応じて体のエネルギー源となります。

〈複合脂質〉
単純脂質がリンや糖、タンパク質などと結びついたもの。エネルギー源にはなりませんが、細胞膜の構成成分となるなど、重要な役割を担っています。

〈誘導脂質〉
単純脂質と複合脂質のどちらにも分類されない脂質を呼びます。
この仲間にはコレステロール、脂質性ビタミンなどが含まれ、コレステロールはホルモンの合成など大切な役目を果たしています。






さて、突然ですが、実は私たち現代人は、「油」が不足しています。

現代人は揚げ物や加工品ばかり食べているから、むしろ摂り過ぎているので?という声も聞こえますが、日頃みなさんが「油」と思っているマーガリンやショートニング、精製油などは本物の油ではありません。
問題になるのは、油の種類とその摂取バランスにあるのです。
私たちには、本物の「油」が不足しています。



ではどのような油を食べれば良いのでしょう?

油(脂質)は、体の中に入ると「脂肪酸」になります。脂質は、炭素、水素、酸素が結合した「脂肪酸」によって構成されているのですが、その組み合わせによって、いくつかに分類されているのですね。
まず二重結合があるかどうかによって大きく「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」分けられます。
牛肉や豚肉、乳製品などの動物性の脂肪、パーム油、ヤシ油、バター、ラード(豚脂)、ヘット(牛脂)は「飽和脂肪酸」が多く含まれ、ベニバナ油やコーン油、ゴマ油、サフラワー油、オリーブ油などの植物性の脂肪、魚の油などは「不飽和脂肪酸」が多く含まれています。
そして、「不飽和脂肪酸」は、化学構造の違いから、「オメガ3」「オメガ6」「オメガ9」とさらに細かく分類されます。いくつの二重結合を持つかによって「一価不飽和脂肪酸」(オメガ9)と「多価不飽和脂肪酸」に分けられ、多価不飽和脂肪酸は二重結合が2つある「リノール酸」(オメガ6)、3つ二重結合がある「α–リノレン酸」(オメガ3)などに分けられるのです。

これらの油にはそれぞれ特徴があり、調理法によって使い分けたり、食べるバランスを考えることで、健康な身体に貢献してくれます。

ちょっと難しいので、一つずつ見ていきましょう^^。




飽和脂肪酸
水素がそれ以上結合する余地のない脂肪酸 ⇒ 主に動物性の脂

飽和脂肪酸は、炭素の鎖にぎっしりとくっついている構造になっているため、「水素が飽和状態でくっついている脂肪酸」という意味なのですね。
飽和脂肪酸を豊富に含んだ食べ物には、牛や豚、羊などの脂身、バターなどの乳製品があります。また、植物性の油でも、ココナッツ油、パーム油、ヤシ油、綿実油などには飽和脂肪酸が豊富に含まれています。

飽和脂肪酸の最大の特徴は、融点が高く、劣化しにくいことです。油は本来、熱を加えると酸化して質が悪くなります。ですので、揚げ物や炒め物など高温調理する場合には、飽和脂肪酸の油を使うのが良いということになりますが、飽和脂肪酸はあまり評判がよくありません。これは摂りすぎると中性脂肪などを増やしてしまうということがあります。

しかし、人乳を見てみると、飽和脂肪酸が40%(パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸)、一価不飽和脂肪酸が40%(オレイン酸)、多価不飽和脂肪酸が20%(リノール酸、EPA、DHAなど)と、人体には飽和脂肪酸も大事なことがわかりますね^^。


不飽和脂肪酸
水素がまだ結合する余地(二重結合)のある脂肪酸 ⇒ 主に植物性の油、魚油

不飽和脂肪酸は、さらに「一価不飽和脂肪酸(n-9系)」と「多価不飽和脂肪酸(n-3系、n-6系)」とに分けられます。
ちなみにn-9系脂肪酸はオメガ9とも呼ばれますが、不飽和結合が1つしかありません。そのため一価不飽和脂肪酸なのです。一方オメガ3系(n-3系)脂肪酸、オメガ6系(n-6系)脂肪酸は不飽和結合の数が複数あります。そのため多価不飽和脂肪酸と呼ばれるのですね。さらに不飽和結合している場所の違いによってオメガ3系(n-3系)脂肪酸、オメガ6系(n-6系)脂肪酸、オメガ9系(n-9系)脂肪酸とに分けられています。ω炭素の側から数え始めて最初の不飽和結合している炭素が3番目の脂肪酸をオメガ3系(n-3系)脂肪酸といいます。6番目だとオメガ6、9番目だとオメガ9です。

オリーブ油は「一価不飽和脂肪酸」、サフラワー油、魚の油は「多価不飽和脂肪酸」の割合が高いといえます。実は、この不飽和脂肪酸の摂り方のバランスが非常に重要になってきます。



不飽和脂肪酸について代表的なものを下にあげておきますね^^。



α-リノレン酸(n-3系)
シソ油、エゴマ油、亜麻仁油に多く、血液をさらさらにして動脈硬化を予防します。また体内で炎症を抑える物質に変換されます。ただ酸化しやすいという欠点があります。

EPA、DHA(n-3系)
マグロ、イワシ、サバなど青背の魚に多く含まれます。悪玉であるLDLコレステロールや中性脂肪を減少させ、善玉のHDLコレステロールを増やし血液をさらさらにします。α-リノレン酸同様、酸化しやすいので注意しましょう。

リノール酸(n-6系)
血清コレステロール低下作用があります。ただ善玉コレステロールを下げてしまうこともわかってきました。過剰摂取では、乳癌や結腸癌の成長を促進したり、アレルギーを誘発します。また心臓に影響を与えたりします。コーン油や紅花油、ひまわり油などの調理油に多く含まれます。

オレイン酸(n-9系)
オリーブ油に多く含まれます。悪玉のLDLコレステロールのみを低下させるという利点があります。またオリーブ油には抗酸化作用のある成分が含まれているので酸化しにくいと言えます。




多価不飽和脂肪酸の中の「α‐リノレン酸(n-3系)」と「リノール酸(n-6系)」は、どちらも体内で合成されないため食事から摂る必要がある「必須脂肪酸」と言われています。一般的な脂肪酸は体内で合成したり、他の脂肪酸に転換することも出来るのですが、必須脂肪酸は体内で合成も転換もできないものなのです。ただ、同じ系列の中では、n-3はエイコサペンタエン酸に、n-6は、ジホモ–γ–リノレン酸に変換やアラキドン酸に合成されて、生理活性物質(エイコサノイド)に変換されます。またこの点は次回以降に詳しくやっていきますね^^。

多価不飽和脂肪酸(n-3やn-6)とは・・・
→ 生命維持に欠かせない必須脂肪酸
→ 細胞膜の流動性、柔軟性を保つ
→ 生理活性物質(エイコサノイド)の前駆物質になる



最近では、この必須脂肪酸の摂取比率が崩れるとアレルギーや炎症疾患のリスクが高まることが分かっています。n-3系:n-6系の摂取比率は1:4がベストだと言われていますが、食生活の欧米化やファーストフードの台頭で現状は1:14と大きく崩れています。

健康のためには、n-6系の調理油を控え、魚の油、亜麻仁油などでn-3系の摂取量を増やすことが重要になってくるのですが・・・。そしてここがこのテーマで、私が一番お話したいポイントなのです。

次回はこのn-3系とn-6系のバランスについてのお話をしていきましょう^^。



小菅一憲

CHIROPRATICA|健康の素晴らしさを伝える治療院


C-Magazine|カイロプラクター小菅一憲が提供する健康情報発信基地

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by chiropratica | 2011-09-03 00:12 | 栄養(基礎編)


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