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まじめ日記 「本当の種はどこにある?」/chiropratica 小菅一憲

まじめ日記 「本当の種はどこにある?」/chiropratica 小菅一憲_b0195635_13374746.jpg


今日は、ひさしぶりにまじめ日記ということですが、植物の種の話をしたいと思います。
なんじゃそれ?と思うかもしれませんが、へぇ〜と言うような話です。

私もなんとなく聞いたことはあったのですが、先日友人の家にお邪魔した時に、食に詳しい友人からこの話を聞いて、あらためて少し調べてみました。



作物の種には、昔から代々伝わる「在来種」と現代主流のハイブリッド「F1種」があります。
在来種とは、何代にもわたってその土地でつくられてきた作物のことで、「固定種」ともよばれている種のこと。農家が自家採取をして代々作り続けてきた在来種は、自然の織り成す気候、風土に合った形で育ち、その地域の食文化を作ってきました。何十年も作られ続けてきた理由は、ただ「おいしい」から。在来種の作物は、収量や均一性に欠けますが、個性があって味も良いといわれています。


しかし、こうした在来種も、今、絶滅の危機に瀕しています。
農家は昭和30年の半ばくらいまでは、自家採取で種を取り、作物を作ってきましたが、高度経済成長のなかで、経済性や効率性が最優先され、均一性があり見栄えがよく、さらに収量もある「F1品種」にとってかわり、在来種は急速に作られなくなってしまったのです。

スーパーなどで販売されている野菜のほとんどはこの「F1」と呼ばれる種から育てられています。ある品種と、遺伝的にかけ離れている別の品種を掛け合わせると「雑種強勢」という現象が起こって、その1代目(F1)に限ってはとくに丈夫で生育速度も早く、収穫量も増えます。そしてさらには形や大きさ、それに風味も均一になるのです。これは農家や流通業者にとっては効率的にもコスト面でも有利なことでした。


しかし、作業効率ばかりを考えていても、風味が劣ることがあります。
このF1野菜が広まったことで、伝統野菜を栽培する農家が激減してしまいました。そして在来種は、不揃い、収量に欠ける、機械化に向かないなどの理由で、どんどん追いやられ、絶滅の危機に瀕しているわけです。
現在では、ごく一部の農家がごく少量を自家用として食べる分だけ作り、残ったものを地元の収穫祭、道の駅で売っている程度になってしまったのですね。

これは本当に悲しいことです。

本当の伝統的な作物というのは、もともとそれぞれの地域で質の良いものだけを掛け合わせ、今度はその特徴を守るために他の品種と交雑させることなく古くから固定して受け継いできたものなのです。




在来種とは・・・
自家採種を10年以上続けている種子。自家採種とは、その土地でよくできた野菜や米を選んで、そこからタネを採り、次の年も同じエリアの土でその野菜や米をつくるとのことです。 「在来種」は40年・50年と自家採種を続けることが可能であり、生命そのものの持つ力を活用した種子であり、もともとその土地で長く栽培されてきた原種に近い野菜の種が持っている力を最大限に発揮させることで、無農薬、無肥料栽培ができるといいます。地域の気候風土に適した遺伝子が自然に淘汰され、その土地にあった、健康で濃厚な味の野菜ができるので、昔の味を知っている人は在来種を選びます。


F1種とは・・・
Filial 1の略語で「第一世代の」という意味。ハイブリッド品種です。
「雑種強制」つまり多収性や耐病性などに優れた形質を持つ新品種同士をかけ合わせて作ったもの。雑種の1世代目のことで、掛け合わせた1世代目の野菜のみが優れた性質を持ち合わせる、という植物の性質を応用した品種です。しかし、この種子は1年で死んでしまうため自家採種が不可能で、ゆえに、農家は種苗メーカーから毎年新しい種を購入し、栽培する必要があります




日本の食料自給率が約40%と低いことは近年良く知られるところとなりましたが、種子の自給率の低さについて聞いたことがあるでしょうか?

皆さんが種を蒔く時や種苗店で種子を選ぶ際に生産地に注目してみると、日本語の名前の種子が意外にも海外から輸入されていることに気付くでしょう。
農林水産省の資料によると、稲・麦・大豆の国内使用種子は100%(ただし大豆生産の自給率は5%なので、大豆の国内での需要に対する種子の自給率は5% ということになる)、野菜は14%であるとのことです(出典:ピースシード)。ですが、「在来種」普及を推進するナチュラルシードネットワークの話による と、1985年くらいから種苗メーカーは「在来種」の保護、保存活動を打ち切り、種子の生産はアメリカや中国で行われるようになったため、現在栽培されて いる野菜の種はほぼ100%、アメリカや中国からの輸入に頼っている状況にあり、伝統野菜(京野菜や丹波の黒豆等)もかけ合わせの種や海外からの輸入品等であるものが多いというのが実態だといいます。

これってショックな現実だと思いませんか?


実は、そのような中で「環境」や「健康」の面から真の国産品である「在来種」が見直されてきています。

「在来種」は自然の摂理に即した農法でつくられているため、地球環境にも良く、日本の農業の未来を守るとされています。また、その土地の気候風土に適した在来種は、そこで生活する人の体にも適しており、食べる人の健康を支える意味でも大切です。実際、極度のアトピーやアレルギーの過敏症である子どもが増えてきている現状の中で、無農薬、無肥料栽培を達成し、有機農法と違い、有機質すらも与えていない在来種の野菜だけは食べることができるという学術研究データも出てきているところです。

在来種は、何世代にもわたって 選抜淘汰を繰り返し、数十年という歳月をかけてその土地の風土に適応していくため、自らを変容して生き残ってきたたくましさに満ち溢れています。一般市場には出てこなくなった一方で、農家の畑の片隅でひっそりと生き延びていました。
それは、在来種の味を知っている60代以上の農家は、そのおいしさに品種改良されたF1種では満足できず、自家用につくっていたからなのです。

「おいしい」「味が好き」、ただそれだけの理由で何十年も作られてきた在来種こそ、作物本来の豊かな味わいと 生命力にあふれた本物の作物ではないでしょうか。個性豊な在来種がなくなるのは、本当に寂しいことです。



私はベランダで家庭菜園をやっているのですが、ふと家庭菜園の雑誌を見ていたら、この在来種を扱っている「野口種苗」という店が載っていました。
私の友人も話していた「野口種苗」。
雑誌に掲載されていた文を少し紹介しますね!


「伝統野菜というと、以前から京野菜などが知られていましたが、最近では、全国各地のさまざまな伝統野菜を見直そうという気運が高まりをみせています。東京でも、練馬大根をはじめ、亀戸大根、千住ネギ、金町こかぶなどが伝統野菜としてよく知られ、各地にこのような個性的な野菜が多く存在しています。・・・一般的に伝統野菜というと、地域の特産品のことを、そう呼んでいます。さらに特産品だけではなく、地方だけで流通している野菜を総じて地方野菜といっています。京野菜のように数百年という古い歴史のあるものだけでなく、数十年くらいのもので、ある限られた地方だけで栽培され続けているものが、特産品の伝統野菜と括られているのです。そしてこの伝統野菜、品種として遺伝の点で固定されている野菜を「固定種」といいます。伝統野菜とされている品種のほとんどは、この固定種です。(出典:ベランダ野菜)」

いわゆる全国各地でその土地ごとの個性的な野菜を伝統野菜と呼んでいたわけです。しかもそれはほとんどが在来種(固定種)なわけなのです。

野口種苗の野口さんは、こう言っています。
今、伝統野菜が注目されているのは、「懐かしいあの昔の味をもう一度食べたい」という気持ちがあるようで、とくに年輩の方は、昔の野菜の味を知っているので、今一般に流通している多くの野菜と、その方たちが若い頃に食べていた味との違いが分かるのでしょう。そして、一方で若い世代の人たちにも、自然志向が広がりをみせ、昔からのナチュラルな風味の野菜を味わいたいという人が増えています・・・と。

そして何かの機会に昔ながらの伝統野菜を口にした人は、その風味の豊かさにびっくりして、自分でも作りたい、また味わいたいと思うのですね。

たしかに、私の両親も京都のレストランで出会った京野菜の美味しさに感動し、それからというもの、そこの野菜を作っている地元の農家さんに毎月京野菜を送ってもらっています。私もその京野菜を初めて口にした時は、その個性的な風味豊かな味と美味しさにびっくりした覚えがあります。


野口種苗の野口さんのところで扱っている野菜もまったく味が違うそうです。
オリジナルのカブ「みやま小かぶ」は、肉質に甘味が強く、味噌汁の具にするととろけるようなやわらかさが際立つそう。またキュウリの伝統野菜のひとつ「奥武蔵地這胡瓜」にはしっかりとした味の濃さがあり、スーパーなどに流通している一般のキュウリとはまるで違うと言うのです。



そして野口さんの言うには、まさに家庭菜園にはこの「固定種」が適しているとのこと。それは、その味わいだけでなく、自分で採種できることにあります。
F1の場合、F2になるとF1とは違った形質が現れるので、F1の野菜は1代限りで終わってしまいます。家庭菜園でF2の種をまいても、元の野菜とは似ても似つかないものができることもあるそう。
その点、固定種(在来種)の野菜は、ある程度バラバラな育ち方をするものの、何世代でも元々の形質が大きく変わることはありません。
また、固定種の種がおもしろいのは、形質がある程度バラバラになるので、たとえば早く収穫したいと思ったら、早く育った株の種を残して何代も守り育てていけば、早生に近くなっていくし、また酸味が強い野菜が食べたいのなら、そうした株からだけ採種すればよいというわけなのです。

これはおもしろい。

これまでも、環境配慮とおいしさのため、土壌にこだわった野菜はありましたが、その意識をを「種」にまで広げていくと、また新たな意味を持ってくると思います。土壌にいくら配慮しても、その元となる「種」が遺伝子組み換えや農薬等により化学処理されていれば、せっかくの土壌も活きてきません。

野口さんが言うには、固定種の種を集めるのは、どんどん難しくなっているそう。それは、昔からの伝統野菜を細々作ってきた農家の高齢化が進んでいることが原因です。しかし、もしある固定種を誰も作らなくなったら、その種がなくなってしまったら、その野菜を復活させるのはほぼ不可能になります。


なんとかこの昔からその土地土地で守られてきた元来の野菜の種を守っていきたいものですね!
私も家庭菜園ではこの固定種を使って作ってみたいと思います^^。



小菅一憲

CHIROPRATICA|健康の素晴らしさを伝える治療院


C-Magazine|カイロプラクター小菅一憲が提供する健康情報発信基地

by chiropratica | 2011-07-24 13:59 | まじめ日記


カイロプラクティック理学士/サプリメント指導士のカラダと食を考える日記


by chiropratica

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