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NO.179 腸内細菌2 「免疫力を強くする」

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風邪をひいた人の腸内細菌を調べると、善玉菌の数が極端に減り、悪玉菌の数が優勢になっています。便秘や下痢の時も同じです。
また最近の調査で、胃がんの人の腸では、大腸菌よりももっと悪質なウェルシュ菌が異常に増加していることが確かめられています。
一見、腸とは関係なさそうな認知症の人にも、胃がんの人に似た悪玉菌の異常増殖が見られるのです。その他、心臓疾患や脳梗塞との関連もわかっているそう。


最近の研究によれば、腸内細菌は腸内環境を保つだけでなく、腸内免疫系にも作用することがわかってきました。
腸内細菌のうち、悪玉菌は結果的に蠕動運動を遅らせたり、消化管の反応を鈍くしたりするのに対し、善玉菌は蠕動運動を促進し、ビタミンを合成、免疫を高める働きをもつとされています。
これら善玉菌と悪玉菌のバランスを整えることで腸内細菌は活性化され、実は免疫力をも高めてくれるのです。


免疫とは、人体にダメージを与える物質から成体を守る仕組みのことです。人間の身体に備わる免疫機能は、病気の原因となるような細菌やウイルスなど、つまり抗原が体内に入ると、自己防衛のために抗体をつくります。
その重要な役割を担うのがリンパ球なのですが、そのうち60%以上が腸管に集中しており、抗体の60%が腸管でつくられているといわれています。それゆえに腸管が人体最大の免疫器官だとされているのです。リンパ球は腸内細菌と連動して免疫力を高めていると考えられているので、排便力が低下し、悪玉菌が増加するなど腸内細菌のバランスが崩れると免疫力が低下する恐れもあるのです。腸内環境の悪化は、確実に免疫力の低下を招き、病気の原因にもなりかねません。
腸内の約100兆個もの腸内細菌とそこから作り出される腸内細菌バランスはは、まさに免疫システムの重要なカギを握っているといえるのですね^^。



私たちの体を守るためには、リンパ球であるB細胞、ヘルパーT細胞、NK細胞といった免疫細胞やマクロファージが活躍していますが、これらの免疫細胞を活性化しているのが「腸内細菌」です。
腸内には乳酸菌やビフィズス菌などの「善玉菌」、大腸菌やウェルシュ菌などの「悪玉菌」などがすんでいます。これらの「腸内細菌」が免疫細胞を刺激する物質を出しているのです。

実際に免疫反応が起こっているのは血液中ですが、それを大もとで左右しているのはまさに腸といえます。免疫細胞を活性化する力の約70%は体内の微生物、残り約30%は内分泌系の刺激によるものがほとんどだと考えられています。
約70%に関与するという「体内の微生物」とは、その大部分が「腸内細菌」なのです。
つまり免疫力の大半は「腸内細菌」が働かせているといっても過言ではありません。

健康を維持している人は腸が元気な人とも言えるわけです^^。


風邪やインフルエンザが、季節を問わずはやること。花粉症やアトピーが増え続けていること。頭痛、不眠、うつ、更年期障害などの自律神経の乱れからくる不調、生活習慣病、感染しやすく治りずらい状態などなど・・・

不調のすべては、腸を健康にして免疫力を高めれば、一掃できるといえます。
そしてそのカギを握るのは、腸内細菌なのですね。



アレルギー性疾患と並んで腸内の病気が多いこともまた、現代の日本人の特徴です。
象徴的なのが、1995年に起こったバリ島のコレラ騒ぎです。
インドネシアのバリ島から帰国した200人以上の日本人がコレラを発症しましたが、おかしなことに発症者は日本人だけだったのです。
バリ島には現地の人はもちろんのこと、世界各国の観光客がいましたが、日本人以外の誰一人としてコレラを発症しなかったのです。

このバリ島でのコレラ菌の大部分を占めたのは、「エルトール小川型」という弱いタイプのコレラ菌でした。
免疫力がちゃんと働いていれば、たとえ飲み込んでも、ほとんど発症しない弱い菌です。日本人だけが発症したのは、身体を守ってくれる腸内細菌が少なく、免疫力が弱かったからに他なりません。

これは、のちに大流行した病原性大腸菌O-157にしてもそうです。
この菌は、毒素を生み出すことにエネルギーを使っているので、生命力は案外弱いものです。ですからO-157は、他の菌がいるところでは、生き延びることができません。
他に敵となる菌がいないから、人間の体内にもぐり込んで大きな顔をしていたのです。

腸にさまざまな細菌がしっかりすみついていれば、O-157にたとえ感染しても、軽い下痢程度ですんでしまいます。O-157の被害があれほど大きかったことも、日本人の腸の弱さを示しているのかもしれません・・・。


そしてこんな話も・・・
O-157の集団感染が発生したという大阪の堺市の小学校で、検便をしたところO-157の菌が多量に見つかったのに、1回も下痢しなかった子供が30%いました。
同時に下痢を繰り返して重症になり入院した児童も10%いたのです。

同じO-157菌をお腹に入れても1回も下痢をしない子と、下痢を繰り返して重症になった子がいたのは何故なのでしょう。確かに同じ菌に対しても、強い人間、弱い人間がいます。
しかし、その差はいったいどこからきたのでしょうか。

調べてみると、重症の児童はいずれも、とても神経質な子供たちでした。ほとんどが一戸建てに住んでいて、泥んこ遊びなどをしたことのない「清潔好き」の子供たちでした。O-157菌を飲み込んでも1回も下痢をしなかった児童は、みな泥んこ遊びなどを得意とする「清潔に無頓着」な子供たちでした。
彼らのお腹のなかには、大腸菌などのいろんな菌が大量にすんでいて、「ヤワな菌」であるO-157菌を追い出していたのです。

もしかすると日本人の清潔志向も、免疫力を弱くしてしまう一つの原因になるのかもしれませんね。



小菅一憲

CHIROPRATICA|健康の素晴らしさを伝える治療院


C-Magazine|カイロプラクター小菅一憲が提供する健康情報発信基地

by chiropratica | 2011-04-16 23:05 | 腸内細菌の話


カイロプラクティック理学士/サプリメント指導士のカラダと食を考える日記


by chiropratica

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