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NO.141 胃 stomach その3 「消化の中心的存在“胃酸”」

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今日は、消化のまさに中心とも言っていいであろう”胃酸”の話です。
大事な大事な話ですので、みなさんしっかり読んでください。


胃の内壁には多くの分泌腺があり、食物の分解を助けるために1日約1.5~2.5ℓもの胃液を分泌します。胃液は、無色透明で99%は水分です。残りの1%の主な成分は、塩酸、ペプシノーゲン(ペプシンに変わる)、粘液の3つです。胃酸とはこの塩酸を指し、胃内での殺菌・消毒や、消化酵素の活性化などに活躍しています。
また粘液は山芋などの野菜に含まれているネバネバ成分と同様のムチンで、この粘液が胃の粘膜を保護してくれています。


胃酸の分泌は「アセチルコリン」「ガストリン」「ヒスタミン」の3つの物質によってコントロールされています。アセチルコリンは神経伝達物質で、見たりかいだりすることで胃酸の分泌を促します。ガストリンは胃壁の細胞を刺激して、胃酸を分泌させ、またヒスタミンを分泌させます。ヒスタミンもまた、胃壁の細胞を刺激して、胃酸を分泌させます。

たんぱく質の分解には、「ペプシン」という酵素が働きます。ペプシノーゲンが胃の中で変化したものですが、胃酸のpHが5以上ではペプシンに変化しません。このため、たんぱく質の分解に支障をきたすこともあります。



さて、今日はこの中でも胃酸の酸である「塩酸」の話題です。この「塩酸」はpH1.0~2.5とかなり強い酸性で皮膚をただれさせるほどの力があります。
この強烈な酸性の液が、消化に重要な役割を果たしているのです。


胃に関連しているすべての問題は、ほとんどと言って良いほど「塩酸」に関連しています。

胃酸は消化過程に不可欠なものです。胃酸の消化過程がなければ、栄養素の吸収はおおいに減少し、消化不良と吸収障害を起こしてしまう上、病気の危険性が高まるとも言えます。


みなさんは常識の中で、「胃酸が多くなるから胃が痛くなる」、「胃酸は少ない方が良い」と考えている方が多いのではないでしょうか。
それは大きな間違いです。


実は日本人の7割〜8割は胃酸分泌が少ないとも言われています。
胃酸の分泌を妨げる要因は、ストレスや病気、加齢などが大きく関わっていますが、様々な病気や身体の問題が、胃酸のレベルが低い(低酸症)か酸の欠乏状態(無酸症or胃酸欠乏)から引き起こされていると言っても過言ではないでしょう。

これは、胃酸分泌の低下による栄養素の吸収不良(カルシウムや亜鉛、鉄、ビタミンB12、たんぱく質)の結果によって起こると言えます。
胃酸の低下により、栄養吸収が制限されてしまうのですね。

例えば、胃酸が胃を刺激することで、膵臓やその他の消化酵素が小腸に出ますが、適当な胃酸がなければ小腸の機能が正常に働くことは困難になってしまいます。これにより栄養吸収が低下してしまうほかに、胃酸の酸と結びつくことによって吸収される栄養素も多々あるので、胃酸の低下により栄養吸収不良が起こることはおおいにあり得るのです。


その他、胃酸が少ない状態だと、胃にバクテリア、ウイルス、寄生虫、イースト菌や真菌類などが住める環境になってしまうことも大きな問題でしょう。
胃酸はこれらの有機体に対する殺菌・防御の役割があり、通常ではこれらの有機体が存在することはありません。

また胃酸分泌低下により、様々な腸管の問題が起こる可能性があります。
その他、低い胃酸状態にある人は、リウマチ性関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化やカンジダ菌などの伝染病を持っている可能性が高くなります。



こう考えていくと・・・
制酸剤を用いることは消化と吸収には逆効果になる恐れがあることは、少し見えてきたのではないでしょうか。

特に胃酸不足をすでに持っている人では、胃酸を中和するために薬剤を使用したりすることは、胃酸機能を低下させ、消化栄養吸収に問題を起こしかねません。


また今の人達は、胃炎というとすぐ薬を飲みます。
薬を使うと胃液を少なくすることで、後に消化に重要なペプシンという酵素の分泌も少なくしてしまいます。今度は逆に胃もたれが起こってしまうとも言えるのです。

私はできれば、胃酸を中和する薬もしくは止めてしまう薬(H2ブロッカー)をすぐ飲むのではなく、まず食べ物を食べてみることをオススメします。
食べることで胃酸は薄まります。
胃壁は1〜2日で修復できるので、まず食べて様子をみましょう。

それでもダメならカルシウム剤をとってみましょう。カルシウムはアルカリ性です。海藻や小魚で胃酸を中和してみましょう。またカルシウムは胃酸と一緒になってイオン化し、吸収率が上がるので一石二鳥ですね。

また甘いものは胃液の分泌を促すので、胃酸過多の人は甘いものは止めた方が良いでしょう。酢の物やビタミンCなどの酸っぱいものを摂るときも食後の方が良いかもしれません。


そして、いままで胃酸を中和もしくは分泌を止めてしまう薬をある期間飲んでいて消化不良に心当たりのある方は、ペプシン(消化酵素)が出ないようになってしまっている可能性があります。
その場合は、「しっかりと噛むこと」を明日からスタートしましょう。
胃酸、ペプシンは唾液と連動しているので、しっかり噛むことが改善のキッカケになります。


さて次回は「胃酸分泌低下は珍しくない」です。



小菅一憲

CHIROPRATICA|健康の素晴らしさを伝える治療院


C-Magazine|カイロプラクター小菅一憲が提供する健康情報発信基地

by chiropratica | 2011-02-17 23:00 | 消化と栄養吸収


カイロプラクティック理学士/サプリメント指導士のカラダと食を考える日記


by chiropratica

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